26 / 81
第二部
クエスト……の前に、お勉強です!
しおりを挟む
私の手続きが終わったあとで、クラウディオもついでに魔石を換金してもらって、もう一度ギルドの窓口のところまで戻ってきた。
「せっかく、だから、探索を受けて、おくか?」
それは、ぜひ受けておきたい! が、しかし。私にはそれよりも先にやらなければならないことがあるのだ。
それは、文字の習得である。
数字はなんとなく魔石の計算書をもらったので覚えたのだが、文字はほとんどわからない。このままでは、クエストの張り紙もまともに読めないし、この先も困るだろう。
ニホン語だったら読み書きできるんだけどなぁ。
「クラウディオ、クエストはぜひ受けたいのですが、先に文字を覚えてしまいたいです。勉強ができそうなところって、ありますか?」
「文字か……。なら、図書館かな」
やっぱりあるんだ。図書館!
「すみません。お願いします」
私はクラウディオに向かって頭を下げた。
「子供が、遠慮、するな」
クラウディオはわしゃわしゃと私の頭を撫でた。
うーん。子供じゃないってば。成竜してます! と言いたいところだけれど、ぐっと我慢しておく。
「金には、困ってない。メンターとして、当然の、ことだ」
「ありがとうございます!」
そんなわけで、クラウディオに案内されて私たちは図書館にやってきた。
石造りの重厚な感じのする建物だ。質素で飾り気のないギルドの建物より豪華に見える。
「ギルドカードを、出せ」
クラウディオに言われるままに、私は入り口に立っている係の人にギルドカードを見せる。
係の人はやはり何かの機械にギルドカードをかざし、図書館の扉を開けてくれた。
「どうぞ」
どうやらギルドカードは入館証代わりに使えるようだ。
マジで、ギルドカード優秀すぎる。
なかに入ると二階建てになっていて、ずらりと書架が並んでいる。前世で見た図書館とほとんど変わりがないように見えた。
司書さんらしき男性を見つけて、文字の勉強できそうな本を教えてもらう。
「この辺ですね」
司書さんが文字の一覧や、書き順などの載った本を二、三冊ほど選び出してくれた。
「じゃあ、これを借りることにします」
私はそのうちの一冊を選び出した。
「絵本なども文字を学ぶには役立つと思いますよ? あちらのほうにありますから」
司書さんが微笑みながら立ち去る。私はそのうしろ姿を見送って、絵本の棚に向き合った。
「うーん」
どれにしようかな?
「これが、おすすめだ」
クラウディオは迷いのない手つきで、一冊の本の背表紙を引っ張って、本棚から取り出した。
手渡されたその絵本には、冒険者らしき主人公と、ドラゴンが描かれている。
「俺も、子供の頃に、読んだ」
うわ。このドラゴンかっこ悪い。
かっこよく描かれた主人公に比べて、ドラゴンはいかにも邪悪そうな雰囲気を漂わせている。
「う、ん。じゃあ、読んでみるね」
クラウディオの期待するような目に逆らうことができず、私はその絵本を借りる予定の本と一緒にまとめた。
とりあえずはこんなところだろうか。読み終わるまでどれくらいかかるかもわからないので、最初はこれくらいにしておくのがいいと思う。
私は本を借りようとカウンターに向かった。
予想通りギルドカードで借りられるようだ。本当にギルドカードは優秀だね。
「最初に図書館をご利用いただく際に、利用料として銀三枚をお支払いいただいております。貸出期間は二週間です。保証金として銀五枚をお預けいただくことになります。貸出期間を過ぎても返却いただけない場合、本を紛失してしまった場合、この保証金は没収されるとともに、今後図書館の利用はできなくなりますので、ご注意ください。もちろん返却の際には、この保証金はお返ししたします」
私がギルドカードを差し出すと、司書さんは慣れた手つきで貸出し手続きをしてくれた。
銀五枚が高いのか安いのかよくわからないけど、ギルドで魔石を換金しておいてよかった~。
でも、手持ちの二十五枚の銀貨があっという間に十七枚になってしまった。
当分の生活費に充てるつもりだったけど、早めにクエストをこなして金策に走ったほうがいいのかもしれない。
ニホンとはちょっと違う図書館のシステムに戸惑いつつも、私は無事に本を借りることができてほっとする。
あとお勉強と言えば、ノートとペンだよね。
「クラウディオ、筆記用具を売っているお店を教えてもらえますか?」
私はクラウディオに申し訳なく思いつつも、冒険者にはあまり関係のないことだが、開き直って教えてもらうことにする。
「もちろんだ」
クラウディオは爽やかな笑みを浮かべ、私の依頼を承知してくれた。
クラウディオに案内された雑貨屋で、ノートのような紙の綴りと、羽ペンとインクを手に入れた。
しめて半銀貨なり。
ノートの値段に比べると、本を借りるのは結構お金がかかるのだということがわかる。
買ったものを背中の袋にしまっていると、クラウディオが私の手を引っ張った。
「次は、武器屋に、行くぞ」
「え?」
私は完全にあることを失念していた。
「せっかく、だから、探索を受けて、おくか?」
それは、ぜひ受けておきたい! が、しかし。私にはそれよりも先にやらなければならないことがあるのだ。
それは、文字の習得である。
数字はなんとなく魔石の計算書をもらったので覚えたのだが、文字はほとんどわからない。このままでは、クエストの張り紙もまともに読めないし、この先も困るだろう。
ニホン語だったら読み書きできるんだけどなぁ。
「クラウディオ、クエストはぜひ受けたいのですが、先に文字を覚えてしまいたいです。勉強ができそうなところって、ありますか?」
「文字か……。なら、図書館かな」
やっぱりあるんだ。図書館!
「すみません。お願いします」
私はクラウディオに向かって頭を下げた。
「子供が、遠慮、するな」
クラウディオはわしゃわしゃと私の頭を撫でた。
うーん。子供じゃないってば。成竜してます! と言いたいところだけれど、ぐっと我慢しておく。
「金には、困ってない。メンターとして、当然の、ことだ」
「ありがとうございます!」
そんなわけで、クラウディオに案内されて私たちは図書館にやってきた。
石造りの重厚な感じのする建物だ。質素で飾り気のないギルドの建物より豪華に見える。
「ギルドカードを、出せ」
クラウディオに言われるままに、私は入り口に立っている係の人にギルドカードを見せる。
係の人はやはり何かの機械にギルドカードをかざし、図書館の扉を開けてくれた。
「どうぞ」
どうやらギルドカードは入館証代わりに使えるようだ。
マジで、ギルドカード優秀すぎる。
なかに入ると二階建てになっていて、ずらりと書架が並んでいる。前世で見た図書館とほとんど変わりがないように見えた。
司書さんらしき男性を見つけて、文字の勉強できそうな本を教えてもらう。
「この辺ですね」
司書さんが文字の一覧や、書き順などの載った本を二、三冊ほど選び出してくれた。
「じゃあ、これを借りることにします」
私はそのうちの一冊を選び出した。
「絵本なども文字を学ぶには役立つと思いますよ? あちらのほうにありますから」
司書さんが微笑みながら立ち去る。私はそのうしろ姿を見送って、絵本の棚に向き合った。
「うーん」
どれにしようかな?
「これが、おすすめだ」
クラウディオは迷いのない手つきで、一冊の本の背表紙を引っ張って、本棚から取り出した。
手渡されたその絵本には、冒険者らしき主人公と、ドラゴンが描かれている。
「俺も、子供の頃に、読んだ」
うわ。このドラゴンかっこ悪い。
かっこよく描かれた主人公に比べて、ドラゴンはいかにも邪悪そうな雰囲気を漂わせている。
「う、ん。じゃあ、読んでみるね」
クラウディオの期待するような目に逆らうことができず、私はその絵本を借りる予定の本と一緒にまとめた。
とりあえずはこんなところだろうか。読み終わるまでどれくらいかかるかもわからないので、最初はこれくらいにしておくのがいいと思う。
私は本を借りようとカウンターに向かった。
予想通りギルドカードで借りられるようだ。本当にギルドカードは優秀だね。
「最初に図書館をご利用いただく際に、利用料として銀三枚をお支払いいただいております。貸出期間は二週間です。保証金として銀五枚をお預けいただくことになります。貸出期間を過ぎても返却いただけない場合、本を紛失してしまった場合、この保証金は没収されるとともに、今後図書館の利用はできなくなりますので、ご注意ください。もちろん返却の際には、この保証金はお返ししたします」
私がギルドカードを差し出すと、司書さんは慣れた手つきで貸出し手続きをしてくれた。
銀五枚が高いのか安いのかよくわからないけど、ギルドで魔石を換金しておいてよかった~。
でも、手持ちの二十五枚の銀貨があっという間に十七枚になってしまった。
当分の生活費に充てるつもりだったけど、早めにクエストをこなして金策に走ったほうがいいのかもしれない。
ニホンとはちょっと違う図書館のシステムに戸惑いつつも、私は無事に本を借りることができてほっとする。
あとお勉強と言えば、ノートとペンだよね。
「クラウディオ、筆記用具を売っているお店を教えてもらえますか?」
私はクラウディオに申し訳なく思いつつも、冒険者にはあまり関係のないことだが、開き直って教えてもらうことにする。
「もちろんだ」
クラウディオは爽やかな笑みを浮かべ、私の依頼を承知してくれた。
クラウディオに案内された雑貨屋で、ノートのような紙の綴りと、羽ペンとインクを手に入れた。
しめて半銀貨なり。
ノートの値段に比べると、本を借りるのは結構お金がかかるのだということがわかる。
買ったものを背中の袋にしまっていると、クラウディオが私の手を引っ張った。
「次は、武器屋に、行くぞ」
「え?」
私は完全にあることを失念していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる