ドラゴンが最強だなんて誰が言った?

文月 蓮

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第二部

クエスト……の前に、お勉強です!

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 私の手続きが終わったあとで、クラウディオもついでに魔石を換金してもらって、もう一度ギルドの窓口のところまで戻ってきた。

「せっかく、だから、探索クエストを受けて、おくか?」

 それは、ぜひ受けておきたい! が、しかし。私にはそれよりも先にやらなければならないことがあるのだ。
 それは、文字の習得である。
 数字はなんとなく魔石の計算書をもらったので覚えたのだが、文字はほとんどわからない。このままでは、クエストの張り紙もまともに読めないし、この先も困るだろう。
 ニホン語だったら読み書きできるんだけどなぁ。

「クラウディオ、クエストはぜひ受けたいのですが、先に文字を覚えてしまいたいです。勉強ができそうなところって、ありますか?」
「文字か……。なら、図書館かな」

 やっぱりあるんだ。図書館!

「すみません。お願いします」

 私はクラウディオに向かって頭を下げた。

「子供が、遠慮、するな」

 クラウディオはわしゃわしゃと私の頭を撫でた。
 うーん。子供じゃないってば。成竜してます! と言いたいところだけれど、ぐっと我慢しておく。

「金には、困ってない。メンターとして、当然の、ことだ」
「ありがとうございます!」

 そんなわけで、クラウディオに案内されて私たちは図書館にやってきた。
 石造りの重厚な感じのする建物だ。質素で飾り気のないギルドの建物より豪華に見える。

「ギルドカードを、出せ」

 クラウディオに言われるままに、私は入り口に立っている係の人にギルドカードを見せる。
 係の人はやはり何かの機械にギルドカードをかざし、図書館の扉を開けてくれた。

「どうぞ」

 どうやらギルドカードは入館証代わりに使えるようだ。
 マジで、ギルドカード優秀すぎる。
 なかに入ると二階建てになっていて、ずらりと書架が並んでいる。前世で見た図書館とほとんど変わりがないように見えた。
 司書さんらしき男性を見つけて、文字の勉強できそうな本を教えてもらう。

「この辺ですね」

 司書さんが文字の一覧や、書き順などの載った本を二、三冊ほど選び出してくれた。

「じゃあ、これを借りることにします」

 私はそのうちの一冊を選び出した。

「絵本なども文字を学ぶには役立つと思いますよ? あちらのほうにありますから」

 司書さんが微笑みながら立ち去る。私はそのうしろ姿を見送って、絵本の棚に向き合った。

「うーん」

 どれにしようかな?

「これが、おすすめだ」

 クラウディオは迷いのない手つきで、一冊の本の背表紙を引っ張って、本棚から取り出した。
 手渡されたその絵本には、冒険者らしき主人公と、ドラゴンが描かれている。

「俺も、子供の頃に、読んだ」

 うわ。このドラゴンかっこ悪い。
 かっこよく描かれた主人公に比べて、ドラゴンはいかにも邪悪そうな雰囲気を漂わせている。

「う、ん。じゃあ、読んでみるね」

 クラウディオの期待するような目に逆らうことができず、私はその絵本を借りる予定の本と一緒にまとめた。
 とりあえずはこんなところだろうか。読み終わるまでどれくらいかかるかもわからないので、最初はこれくらいにしておくのがいいと思う。
 私は本を借りようとカウンターに向かった。
 予想通りギルドカードで借りられるようだ。本当にギルドカードは優秀だね。

「最初に図書館をご利用いただく際に、利用料として銀三枚をお支払いいただいております。貸出期間は二週間です。保証金として銀五枚をお預けいただくことになります。貸出期間を過ぎても返却いただけない場合、本を紛失してしまった場合、この保証金は没収されるとともに、今後図書館の利用はできなくなりますので、ご注意ください。もちろん返却の際には、この保証金はお返ししたします」

 私がギルドカードを差し出すと、司書さんは慣れた手つきで貸出し手続きをしてくれた。
 銀五枚が高いのか安いのかよくわからないけど、ギルドで魔石を換金しておいてよかった~。
 でも、手持ちの二十五枚の銀貨があっという間に十七枚になってしまった。
 当分の生活費に充てるつもりだったけど、早めにクエストをこなして金策に走ったほうがいいのかもしれない。
 ニホンとはちょっと違う図書館のシステムに戸惑いつつも、私は無事に本を借りることができてほっとする。
 あとお勉強と言えば、ノートとペンだよね。

「クラウディオ、筆記用具を売っているお店を教えてもらえますか?」

 私はクラウディオに申し訳なく思いつつも、冒険者にはあまり関係のないことだが、開き直って教えてもらうことにする。

「もちろんだ」

 クラウディオは爽やかな笑みを浮かべ、私の依頼を承知してくれた。
 クラウディオに案内された雑貨屋で、ノートのような紙の綴りと、羽ペンとインクを手に入れた。
 しめて半銀貨なり。

 ノートの値段に比べると、本を借りるのは結構お金がかかるのだということがわかる。
 買ったものを背中の袋にしまっていると、クラウディオが私の手を引っ張った。

「次は、武器屋に、行くぞ」
「え?」

 私は完全にあることを失念していた。
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