ドラゴンが最強だなんて誰が言った?

文月 蓮

文字の大きさ
34 / 81
第二部

討伐クエスト

しおりを挟む
「だけど、私が受けられるのって、若葉マークのクエストだけだよ?」

 うろ覚えだけど、そうだったはず。ギルドランクの高そうなこのお兄さんと一緒に受けるって、できるの? 
 私は疑問をクラウディオにぶつけた。

「できるよ。パーティを組めば、パーティの中で最もギルドランクの高いメンバーと同じクエストを受けられる。普通はメンバーの平均くらいのクエストを受けることが多いけどね。クエストのランクはあくまで目安でしかないからな」

 クラウディオが口を開くよりも先に、ヴィットーレが説明してしまう。
 もう、強引だなぁ、この人。

「私はギルドランクが星四つだから、クエストは選び放題だぞ?」
「と、言われてもさすがに星四つは無理じゃない?」
「ルチアが、受けるなら、星二つまでに、しておけ」

 やっぱりそんなものだよね。

「んーと、星二つのクエストは……」

 クラウディオが無言で私を持ち上げて、掲示板を見せてくれる。
 流石師匠ですね。

「これなんかはどうだ?」

 ヴィットーレが指したのは、魔物退治らしかった。
 まあ、そういうクエストじゃないと、一緒に戦ってみるという目的は達成できないよね。

「いいんじゃ、ないか?」
「じゃあ、これにする」

 私は掲示板からクエストの張り紙をはがした。

「少し待て。先にパーティ登録をしておこう」

 クラウディオに下ろしてもらって、ギルドの窓口に行こうとしてヴィットーレに呼び止められた。
 おお、忘れてた。
 三人で窓口の近くにある魔道具に近づく。

「ギルドカードを出せ」

 私は腰の物入れを探って、ギルドカードを取り出した。
 クラウディオもヴィットーレも首元を探ってカードを取り出している。
 ギルドカードを魔道具にかざすと、一瞬カードが光った。
 パーティのメンバーの名前が、カードの隅っこに刻まれていた。
 クラウディオ、ヴィットーレ、ルチア。おお、パーティだ。

「よし、いいぞ」

 許可が出たので、私は張り紙をもって窓口に向かった。今日は窓口がいつもよりすいていて、すぐに私の順番が来た。

岩鳥ロックバードの討伐クエストですね。討伐証明として、尾羽を持ち帰ってください」

 討伐したことを証明するために倒した魔物の一部を持ち帰らないといけないらしい。

「お気をつけて」
「はーい」

 私はギルドカードを返してもらって、クエストを受注した。

「さあ行こう。すぐに行こう」

 ヴィットーレが私の背中を押して、すぐにもクエストに出発したそうだ。

「まて、お前は、いいかも、しれないが、ルチアには、準備が、必要だ」
「うん」

 やっぱり事前調査は大事だよね。
 岩鳥ロックバードがどこにいるのかとか、そこからわからないんだもん。
 早速図鑑を開いて、岩鳥ロックバードの生態を調べる。
 その名の通り、岩場に住む鳥らしい。なになに、弱点は風魔法って、そういうことか。
 きっとクラウディオはそういうことも考慮に入れて、クエストを選んでくれたのだろう。
 ちょっと待って、この魔物、毒攻撃とかしてくるの!?

「クラウディオ、これ毒攻撃ってあるけど」
「ああ、毒霧を吐く。薬草を、口に、当てておけば、大丈夫だ」
「私が持っているぞ」

 ヴィットーレが満々の笑みで葉っぱを差し出してきた。
 この人、いやに準備がいいな。

「このシレアの葉をバンダナに挟んで、口と鼻を塞いでおけば毒霧は防げる」
「ほほう」

 私はありがたくヴィットーレからシレアの葉を受け取った。

「じゃあ、パーティを組んだことだし、改めて自己紹介するね。ルチアです。マリーニ山脈の近くの村出身で、十五歳。魔法使いです」

 十五歳と言ったところで、ヴィットーレの目が大きく見開かれる。
 うん、見えないって言いたいんでしょう。知ってるよ。

「クラウディオ、二十五歳。ギルドランクは、星三つ。ザナルディ、出身だ。戦士を、している」

 クラウディオが隣の国の出身だというのは知らなかった。
 どうして隣の国のこんなところまで、クラウディオがやってきたのか気になるけれど、互いの素性はあまり詮索しないのが冒険者の間では常識らしい。

「私の名はヴィットーレ。長いのでヴィートと呼んでくれ。年齢は二十五歳、見てのとおり騎士だ。サデーロから来た」

 サデーロって確か王都だよね。ラウル叔父さんが住んでいるところだ。
 ギルドランクが若葉から卒業したら行ってみたいなあと、思っている。

「クエストの報酬は等分でいいな?」
「うん」
「それでいい」

 ヴィットーレ改め、ヴィートの提案に私とクラウディオはうなずいた。
 そんなわけで私たち三人は、岩鳥ロックバードの討伐依頼をこなすべく、ヴェルディの街を旅立った。




 そもそも討伐依頼を出したのはセッキの村という所らしい。
 歩いて一時間ほどの場所にある村に向かう途中、ヴィートが依頼の内容を説明してくれた。
 岩山から切り出した岩を、建材として販売するのがッキの村の主な産業となっていて、近くに岩鳥ロックバードが住み着いてしまい、毒霧を吐くために岩山に近づけなくて仕事にならないと、ギルドに討伐を依頼したそうだ。

「困っている人を助けるのも大事な冒険者の仕事だ」

 ヴィートの言い分も正しいとは思うけど、実際のところ私にはそんな余裕はない。
 ドラゴンの姿ならばともかく、今の私ではちょっと苦戦しそうな予感がしていた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...