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第三部
目が覚めて
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目が覚めたら、ベッドに寝ていました。
あっれ~? どうしたんだっけ。
「あ、岩鳥!」
一気に記憶がよみがえり、私はベッドの上で横になったまま思わず叫んでいた。
「起きたか……」
クラウディオの声がして、頭に手が当てられた。
やさしく撫でられる感触に私はうっとりともう一度目をつぶる。
「すまなかった。俺の、判断ミスだ」
クラウディオに謝罪されて、失った存在を思い出す。
オルテンシアは眠っているだけ。二度と会えないわけじゃない。いつか魔力が満ちたら……。
そう自分に言い聞かせてみるけれど、喪失感は拭えない。
ぽろりと涙がこぼれて頬を伝った。
声を上げないまま、ただぽろぽろと涙をこぼす。
クラウディオは黙ったまま、私が泣き止むまでそっと頭を撫でてくれていた。
うん。なんだかお父さんというよりお母さんみたいだ。
「ヴィートも、心配している。起きられ、そうか?」
そうだった。二人のおかげで私は無事に岩鳥を倒すことができたのだ。
「うん。クラウディオも、ヴィートも、身体の調子は大丈夫?」
きちんと解毒魔法が発動した手ごたえはあったし、私の身体に入った毒は消えていた。だけど、元がドラゴンの私と、人間のクラウディオやヴィートとは基準が違う。
ちゃんと魔法が効いていたのか心配になってくる。
「大丈夫だ。ぴんぴん、している。しかも、あの男は、下の酒場で、昼間から、飲んでいる」
ええっ?
私は思わずがばりとベッドから起き上がる。
すこしめまいがするけれど、魔力切れの症状はほとんど治まっていた。
「なにやってるの。もう……」
クラウディオの手を借りてベッドから降りる。
トイレの場所を教えてもらって、ようやく人心地ついた。
クラウディオのあとについて階段を下りると、見覚えのある場所だった。
情報収集をしたセッキの村の酒場だ。
岩鳥が討伐されたことを聞きつけた住人たちが、やっと明日から仕事ができると喜んで、飲めや歌えやの酒盛りに突入したと、クラウディオが教えてくれた。
村中の人が集まったのではないかと思うほど、たくさんの人で酒場はぎゅうぎゅうになっている。
かなり出来上がっている人がたくさんいて、顔は真っ赤だし、酒臭い。
でもみんなの顔が一様にほっとして、うれしそうなのがいい。
かなりてこずったけれど、討伐できてよかったなぁ。
「おお、ルチアちゃ~ん! 目が覚めたのか~!」
急に抱きつかれ、酒臭い息を吹きかけられて、びっくりする。
誰かと思ったらヴィートだった。
いつもの貴族っぽい、気障な仕草じゃなくてかなりぐでっとしている。そして、語尾にハートマークでもつきそうな甘えた声で話しかけてくる。
「かなり、酔ってるね」
性格変わりすぎじゃない?
「いいじゃないか~。無事討伐できた祝いだぞぅ?」
「やだ、つぶれる!」
ぎゅうっとヴィートに抱きしめられて、寄りかかられて、息が苦しい。
「ルチアちゃ~ん、尻尾触らせて~」
「チェンジィィ!」
誰なの、この人。キャラ変わりすぎだよ!
近すぎる距離に私は叫んで逃げ出そうとする。が、ヴィートの力は強くて彼の腕から抜け出せない。
「ルチアが、嫌がっている。放せ」
クラウディオがヴィートを引き離してくれたおかげで、ようやくまともに息ができるようになった。
「クラウディオ、ありがとう」
私はヴィートから距離を置いて、用意された席に腰を下ろした。
「お嬢ちゃんには、ジュースをあげよう」
酒場のマスターが私の前にグラスを置いた。
「ありがとうございます」
私はありがたくグラスを受け取って、口をつける。
ん、おいしい。
見た目はトマトジュースだけど、味はオレンジジュースだった。あれ、でも前世ではブラッドオレンジがあったから、変でもないのか。
「岩鳥を倒してくれてありがとな。まさか変異種になっとるとはなぁ」
「正直、ダメかと、思ったが、ルチアの、魔法のおかげだ」
向かいに座っているクラウディオも、褒めてくれる。
「でも、私……、何もできなかったよ。ふたりが倒してくれたんだよね。これって、クエスト達成できたってことでいいのかな?」
私は自分の不甲斐無さにうつむいた。
ぽんと、頭の上に手の重みを感じて顔を上げると、さわやかな笑顔を見せるヴィートがいた。
「何を言っている。ルチアの風魔法がなければ、あの岩鳥は倒せなかった。もっと自分を誇っていいのだぞ」
ぽんぽんとつむじの辺りを撫でられて、じんわりと達成感が込み上げてきた。
全部オルテンシアのおかげだ。落ち着いた今ならば細々ながらも精霊との絆を感じることができる。その絆によってオルテンシアが眠っているだけだとわかる。私が不甲斐無い契約主だったせいで、魔力を失ったオルテンシアは眠りについてしまった。
オルテンシア、ごめんね。そして、ありがとう。あなたを早く目覚めさせられるように、私はもっと頑張るよ。
私は心の中でそっと誓う。
「そして、これが、岩鳥の、尾羽と、魔石だ」
とてもきれいで大きな紫色の尾羽と、とても大きな魔石がテーブルの上に置かれた。
これ、上級じゃなくて最上級くらいあるんじゃないかな。
私は尾羽をつまんでくるくると回した。
「じゃあ、これを持って帰ればいいんだね」
「ああ、恐らくギルドランクも上がるはずだ」
え?
ヴィートの言葉に驚いて、私は思わず立ち上がった。
「若葉から昇級するには試験を受けなければならないが、岩鳥の変異種を討伐したとなると、試験を受けずとも認められるだろう」
「ほんとに!?」
クラウディオの顔を見ると、彼もうなずいている。
「だいぶパーティでの戦い方も覚えたみたいだし、大丈夫さ」
ずっと若葉を卒業して星をもらいたいと思っていたけれど、考えていたよりも早くなりそうでうれしい。
「やったぁ」
星一つになったら、ヴェルディの街からほかの街に行くのもいいなぁ。気が早いとは思うけど、いずれは叔父さんのいる王都にも行かないといけないしね。
あっれ~? どうしたんだっけ。
「あ、岩鳥!」
一気に記憶がよみがえり、私はベッドの上で横になったまま思わず叫んでいた。
「起きたか……」
クラウディオの声がして、頭に手が当てられた。
やさしく撫でられる感触に私はうっとりともう一度目をつぶる。
「すまなかった。俺の、判断ミスだ」
クラウディオに謝罪されて、失った存在を思い出す。
オルテンシアは眠っているだけ。二度と会えないわけじゃない。いつか魔力が満ちたら……。
そう自分に言い聞かせてみるけれど、喪失感は拭えない。
ぽろりと涙がこぼれて頬を伝った。
声を上げないまま、ただぽろぽろと涙をこぼす。
クラウディオは黙ったまま、私が泣き止むまでそっと頭を撫でてくれていた。
うん。なんだかお父さんというよりお母さんみたいだ。
「ヴィートも、心配している。起きられ、そうか?」
そうだった。二人のおかげで私は無事に岩鳥を倒すことができたのだ。
「うん。クラウディオも、ヴィートも、身体の調子は大丈夫?」
きちんと解毒魔法が発動した手ごたえはあったし、私の身体に入った毒は消えていた。だけど、元がドラゴンの私と、人間のクラウディオやヴィートとは基準が違う。
ちゃんと魔法が効いていたのか心配になってくる。
「大丈夫だ。ぴんぴん、している。しかも、あの男は、下の酒場で、昼間から、飲んでいる」
ええっ?
私は思わずがばりとベッドから起き上がる。
すこしめまいがするけれど、魔力切れの症状はほとんど治まっていた。
「なにやってるの。もう……」
クラウディオの手を借りてベッドから降りる。
トイレの場所を教えてもらって、ようやく人心地ついた。
クラウディオのあとについて階段を下りると、見覚えのある場所だった。
情報収集をしたセッキの村の酒場だ。
岩鳥が討伐されたことを聞きつけた住人たちが、やっと明日から仕事ができると喜んで、飲めや歌えやの酒盛りに突入したと、クラウディオが教えてくれた。
村中の人が集まったのではないかと思うほど、たくさんの人で酒場はぎゅうぎゅうになっている。
かなり出来上がっている人がたくさんいて、顔は真っ赤だし、酒臭い。
でもみんなの顔が一様にほっとして、うれしそうなのがいい。
かなりてこずったけれど、討伐できてよかったなぁ。
「おお、ルチアちゃ~ん! 目が覚めたのか~!」
急に抱きつかれ、酒臭い息を吹きかけられて、びっくりする。
誰かと思ったらヴィートだった。
いつもの貴族っぽい、気障な仕草じゃなくてかなりぐでっとしている。そして、語尾にハートマークでもつきそうな甘えた声で話しかけてくる。
「かなり、酔ってるね」
性格変わりすぎじゃない?
「いいじゃないか~。無事討伐できた祝いだぞぅ?」
「やだ、つぶれる!」
ぎゅうっとヴィートに抱きしめられて、寄りかかられて、息が苦しい。
「ルチアちゃ~ん、尻尾触らせて~」
「チェンジィィ!」
誰なの、この人。キャラ変わりすぎだよ!
近すぎる距離に私は叫んで逃げ出そうとする。が、ヴィートの力は強くて彼の腕から抜け出せない。
「ルチアが、嫌がっている。放せ」
クラウディオがヴィートを引き離してくれたおかげで、ようやくまともに息ができるようになった。
「クラウディオ、ありがとう」
私はヴィートから距離を置いて、用意された席に腰を下ろした。
「お嬢ちゃんには、ジュースをあげよう」
酒場のマスターが私の前にグラスを置いた。
「ありがとうございます」
私はありがたくグラスを受け取って、口をつける。
ん、おいしい。
見た目はトマトジュースだけど、味はオレンジジュースだった。あれ、でも前世ではブラッドオレンジがあったから、変でもないのか。
「岩鳥を倒してくれてありがとな。まさか変異種になっとるとはなぁ」
「正直、ダメかと、思ったが、ルチアの、魔法のおかげだ」
向かいに座っているクラウディオも、褒めてくれる。
「でも、私……、何もできなかったよ。ふたりが倒してくれたんだよね。これって、クエスト達成できたってことでいいのかな?」
私は自分の不甲斐無さにうつむいた。
ぽんと、頭の上に手の重みを感じて顔を上げると、さわやかな笑顔を見せるヴィートがいた。
「何を言っている。ルチアの風魔法がなければ、あの岩鳥は倒せなかった。もっと自分を誇っていいのだぞ」
ぽんぽんとつむじの辺りを撫でられて、じんわりと達成感が込み上げてきた。
全部オルテンシアのおかげだ。落ち着いた今ならば細々ながらも精霊との絆を感じることができる。その絆によってオルテンシアが眠っているだけだとわかる。私が不甲斐無い契約主だったせいで、魔力を失ったオルテンシアは眠りについてしまった。
オルテンシア、ごめんね。そして、ありがとう。あなたを早く目覚めさせられるように、私はもっと頑張るよ。
私は心の中でそっと誓う。
「そして、これが、岩鳥の、尾羽と、魔石だ」
とてもきれいで大きな紫色の尾羽と、とても大きな魔石がテーブルの上に置かれた。
これ、上級じゃなくて最上級くらいあるんじゃないかな。
私は尾羽をつまんでくるくると回した。
「じゃあ、これを持って帰ればいいんだね」
「ああ、恐らくギルドランクも上がるはずだ」
え?
ヴィートの言葉に驚いて、私は思わず立ち上がった。
「若葉から昇級するには試験を受けなければならないが、岩鳥の変異種を討伐したとなると、試験を受けずとも認められるだろう」
「ほんとに!?」
クラウディオの顔を見ると、彼もうなずいている。
「だいぶパーティでの戦い方も覚えたみたいだし、大丈夫さ」
ずっと若葉を卒業して星をもらいたいと思っていたけれど、考えていたよりも早くなりそうでうれしい。
「やったぁ」
星一つになったら、ヴェルディの街からほかの街に行くのもいいなぁ。気が早いとは思うけど、いずれは叔父さんのいる王都にも行かないといけないしね。
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