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第三部
いくつになったら大人ですか?
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ベッドの上で寝転がりながら、みんなが帰ってくるのを待っているうちに眠ってしまったらしい。
気付いたら朝だった。
「おい、ルチア。起きろ」
「ん……、おはよう」
寝癖をつけたルフィに揺さぶられて目を覚ます。
「ふぁー」
大きなあくびを一つして、ぐうっと背筋を伸ばす。
よしっ。今日は観光とお買い物だ!
今日の予定を思い出すとテンションが上がってくる。
他のみんなはとっくに準備ができていたみたいで、ロビーで待っていると言い置いて一階に下りていった。
ぴょんとベッドから飛び降りて、共同のトイレと洗面所に向かう。
新しい服に着替えて、きていた服は備え付けのかごに入れて洗濯に出しておく。
んー、そろそろ新しい服を買ったほうがいいかな?
基本的に私が着ているのはただの『ぬののふく』なので、これから魔法使いとして戦っていくならば、その役目に相応しい装備を手に入れた方がいいのはわかっていた。
魔法使いはローブを身に着けていることが多い。
動きやすさと魔法防御を考えれば、選択肢はおのずと定まってくる。
本当はヴェルディの街で装備をそろえようと思っていたけれど、お金に余裕がなかったということもあったけれど、売っている装備がほとんどなかったので、後回しにしていた。
けれど、冒険者が多く集まるこのコルシニでも、ローブ姿の者はほとんど見かけられなかった。
やはり魔法使いの数は少ないのだ。
流石にここなら売ってるよね?
下に降りると、皆そろって待ってくれていた。
フェルナンドに挨拶をして宿を出る。
適当に屋台で朝食を買って、食べながら歩く。
「ルチアは果物だっけ?」
「あっちの、通りで、売っていたぞ」
「行く!」
クラウディオが教えてくれた通りに行って、果物を物色する。
うわぁ、結構いろんな果物がある!
八百屋の店先にならんでいる果物はいろんな種類があって、目移りする。
「お嬢ちゃん、どうだい? このピーナ」
おじさんが差し出してきたのは、どう見てもパイナップルだ。
おお。これで味が違ってたらやだなぁ。
「買います!」
「二つで半銀貨だよ。切ってやろうか?」
「一つだけ、お願いします! 残りはそのままで」
物入れから銀貨を取り出しておじさんに手渡す。
「ちょっと待ってな」
おじさんはスパン、スパンと手慣れた手つきで上下を切って、ピーナをカットしてくれた。半分にカットしたピーナを器のようにして、その中に一口サイズに切った実を入れて渡してくれた。
残りは袋に入れてもらって、おつりと一緒に受け取る。
ヴィートがすかさず持つのを手伝ってくれて、私は切っていないピーナを保存魔法のかかった袋に片づけた。
「いただきまーす」
一つつまんで口に放り込む。
……ん? パイナップルっぽいけど、ちょっと酸っぱい。でも、いける?
もぐもぐとピーナを食べていると、ルフィが横から一つ奪っていった。
「あーっ!」
「たくさんあるんだから、一つくらいいいだろ?」
ルフィは奪ったピーナを美味しそうに頬張っている。
「子供、みたいな、ことを、するんじゃ、ない」
クラウディオがルフィの頭をはたいた。
「そうだよ。ただでさえルチアは果物しか食べないのだ。奪うような大人げない真似は感心しないな」
ヴィートにまでたしなめられて、ルフィはしゅんと肩を落としている。
ルフィって、ちょっと子供っぽいところがあるよね。
「ねえ、ルフィっていくつなの?」
はたかれた頭が痛むのか、彼はちょっと涙目になりながらも答えた。
「え? 十七だけど」
「そうなんだ」
やっぱり思っていたとおり、それほど歳は離れていない。
「ガキだな」
「子供、だったか」
「俺はガキじゃない!」
ヴィートとクラウディオに断言されて、ルフィは完全にすねていた。
あれ? 人の成人っていくつだっけ。ドラゴンなら十五歳なんだけど、人の場合がわからないよ?
「十七って大人じゃ、ないの?」
「国によっても違うが、この国では十六だな」
「俺の、国でも、十六だ」
なるほど、それで私が十五歳って言ったからクラウディオは私を子供扱いしているのか。納得だ。
「だが、振る舞いが伴わなければ、大人として扱われなくても仕方ないだろう?」
まあ、そうだね。前世の記憶でも、結婚しないと一人前として扱われない国があった気がする。
「じゃあルフィは大人に相応しい行動をした方がいいってことだね」
私のダメ押しに、ルフィはちょっと涙目になっていた。
「……ルチアまで、ヒドイ」
だんだんかわいそうになってきたので、話題を変えることにする。
「ねえ、ルフィ。私新しい装備をそろえたいんだけど、見立てるの手伝ってくれない?」
回復魔法の使い手であるルフィならば、魔法使いに相応しい装備には詳しいはずだ。
「おう、いいぜ。俺に任せとけ」
ルフィは急に元気を取り戻したみたいで、足取りも軽く防具の店に案内してくれた。
気付いたら朝だった。
「おい、ルチア。起きろ」
「ん……、おはよう」
寝癖をつけたルフィに揺さぶられて目を覚ます。
「ふぁー」
大きなあくびを一つして、ぐうっと背筋を伸ばす。
よしっ。今日は観光とお買い物だ!
今日の予定を思い出すとテンションが上がってくる。
他のみんなはとっくに準備ができていたみたいで、ロビーで待っていると言い置いて一階に下りていった。
ぴょんとベッドから飛び降りて、共同のトイレと洗面所に向かう。
新しい服に着替えて、きていた服は備え付けのかごに入れて洗濯に出しておく。
んー、そろそろ新しい服を買ったほうがいいかな?
基本的に私が着ているのはただの『ぬののふく』なので、これから魔法使いとして戦っていくならば、その役目に相応しい装備を手に入れた方がいいのはわかっていた。
魔法使いはローブを身に着けていることが多い。
動きやすさと魔法防御を考えれば、選択肢はおのずと定まってくる。
本当はヴェルディの街で装備をそろえようと思っていたけれど、お金に余裕がなかったということもあったけれど、売っている装備がほとんどなかったので、後回しにしていた。
けれど、冒険者が多く集まるこのコルシニでも、ローブ姿の者はほとんど見かけられなかった。
やはり魔法使いの数は少ないのだ。
流石にここなら売ってるよね?
下に降りると、皆そろって待ってくれていた。
フェルナンドに挨拶をして宿を出る。
適当に屋台で朝食を買って、食べながら歩く。
「ルチアは果物だっけ?」
「あっちの、通りで、売っていたぞ」
「行く!」
クラウディオが教えてくれた通りに行って、果物を物色する。
うわぁ、結構いろんな果物がある!
八百屋の店先にならんでいる果物はいろんな種類があって、目移りする。
「お嬢ちゃん、どうだい? このピーナ」
おじさんが差し出してきたのは、どう見てもパイナップルだ。
おお。これで味が違ってたらやだなぁ。
「買います!」
「二つで半銀貨だよ。切ってやろうか?」
「一つだけ、お願いします! 残りはそのままで」
物入れから銀貨を取り出しておじさんに手渡す。
「ちょっと待ってな」
おじさんはスパン、スパンと手慣れた手つきで上下を切って、ピーナをカットしてくれた。半分にカットしたピーナを器のようにして、その中に一口サイズに切った実を入れて渡してくれた。
残りは袋に入れてもらって、おつりと一緒に受け取る。
ヴィートがすかさず持つのを手伝ってくれて、私は切っていないピーナを保存魔法のかかった袋に片づけた。
「いただきまーす」
一つつまんで口に放り込む。
……ん? パイナップルっぽいけど、ちょっと酸っぱい。でも、いける?
もぐもぐとピーナを食べていると、ルフィが横から一つ奪っていった。
「あーっ!」
「たくさんあるんだから、一つくらいいいだろ?」
ルフィは奪ったピーナを美味しそうに頬張っている。
「子供、みたいな、ことを、するんじゃ、ない」
クラウディオがルフィの頭をはたいた。
「そうだよ。ただでさえルチアは果物しか食べないのだ。奪うような大人げない真似は感心しないな」
ヴィートにまでたしなめられて、ルフィはしゅんと肩を落としている。
ルフィって、ちょっと子供っぽいところがあるよね。
「ねえ、ルフィっていくつなの?」
はたかれた頭が痛むのか、彼はちょっと涙目になりながらも答えた。
「え? 十七だけど」
「そうなんだ」
やっぱり思っていたとおり、それほど歳は離れていない。
「ガキだな」
「子供、だったか」
「俺はガキじゃない!」
ヴィートとクラウディオに断言されて、ルフィは完全にすねていた。
あれ? 人の成人っていくつだっけ。ドラゴンなら十五歳なんだけど、人の場合がわからないよ?
「十七って大人じゃ、ないの?」
「国によっても違うが、この国では十六だな」
「俺の、国でも、十六だ」
なるほど、それで私が十五歳って言ったからクラウディオは私を子供扱いしているのか。納得だ。
「だが、振る舞いが伴わなければ、大人として扱われなくても仕方ないだろう?」
まあ、そうだね。前世の記憶でも、結婚しないと一人前として扱われない国があった気がする。
「じゃあルフィは大人に相応しい行動をした方がいいってことだね」
私のダメ押しに、ルフィはちょっと涙目になっていた。
「……ルチアまで、ヒドイ」
だんだんかわいそうになってきたので、話題を変えることにする。
「ねえ、ルフィ。私新しい装備をそろえたいんだけど、見立てるの手伝ってくれない?」
回復魔法の使い手であるルフィならば、魔法使いに相応しい装備には詳しいはずだ。
「おう、いいぜ。俺に任せとけ」
ルフィは急に元気を取り戻したみたいで、足取りも軽く防具の店に案内してくれた。
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