異世界転移二児の母になる

ユミル

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 少し不服を感じつつ魔王城に戻る。
 街では元気な姿の魔王を見た者は感激に震えて、ちょっととしたお祭りが始まっていた。
 そんな中ユーリ達は魔王を含め四天王と食事を楽しんでいた。
 ラミアは自分の父親が元気になったと事で刺々しい口調は無くなり、べったりと甘えている。
 まぁ100年と言う長い間、床に伏せていたのだ。人目も気にしないで甘えるのもしかたがないと言うものだ。
 そんな微笑ましい姿を見ながら楽しい時間を過ごしていると、ドアをノックする音が響く。
 その音から何やら慌ただしい感じが伝わるのである。
「なんだ?」
 ドレアムが低い声で音がする方に声を飛ばす。
 すると、魔族の兵士が慌ただしく入って来る。
「伝令です。魔王城南部から魔物が迫って来ています。数は現在調査中との事です!」
「何だと!?」
 ヒルデでがガタンと椅子を倒して立ち上がる。
 敵の襲撃ペースが急に早くなったのだ。
 魔王が復活したからなのかはわからないが、魔族には魔王が復活をしたとしても軍事はかなり低下しているのだ。
 かと言って戦場に赴かなければ、魔族は潰えてしまう。
「ふふふ、虫の居所の悪かったのよね」
「何じゃ? 先の事をまだ根に持っているのか?」
 ドレアムがクスクスと笑いながら問いかけてくる。
「当たり前じゃない? あんな事をされて納得いくわけないでしょ?」
 ぷりぷりと頬を膨らましながら文句を言う。
「ふむ、なら我も行こうか、娘との楽しい時間を邪魔した償いをして貰わないとな」
「はぁ? 貴方達は座っときなさいよ!」
「いくら何でも一人で行かせるわけがないだろうに、いくら強いと言っても危険だ」
「じゃ着いてこられるなら来ればいいわよ」
 皆が食事している場所はテラスに出れば街が一望できるほど高い場所である。
 ガラスが入った扉を開ける。
 心地よい風が室内を駆け抜ける。
 ユーリは空を見上げると背中から真っ白な翼が生える。
 魔王と四天王はユーリが人ならなぬ者と知っていたが、口で聞いただけで実際に見てはいない。
 初めてユーリの真の姿を見た者達は開いた口が閉じない。
 そしてユーリの翼が徐々に赤黒く変色をし始める。
 炎のようにメラメラと燃え上がる。
 今の不満を抱えたユーリの感情の様にだ。
 神と言えば異世界であっても白い羽を持つ者と知れ渡っているが、ユーリの姿はそれに似つかない姿である。
 その事に一同こんあくをしている。
 そんな事を気にしないユーリは後ろを見る事無く、軽いステップを踏むだけで瞬間移動をしたかのように姿が見えなくなると同時に、室内は突風に襲われる。
 並べられていた料理は無残に吹き飛ばされる。
 もちろん上座に座っていたドレアムとラミアは一番被害を蒙っていた。
「……何の嫌がらせだ!!」
 ぽたぽたと全身に付着した残念な料理が床に落ちながら吠えるが、その声はユーリには届かない。
 料理を払いながら席を立ちテラスに向かうと同時にとてつもない魔法陣が南部の空に展開され、一斉に光魔法が放たれる。
「なっ!」
 その光景に唖然とする。
 先の戦いでユーリがどれほど手加減をしていたのだろうか、少し恐怖と興奮を覚える。
 全力であるユーリと戦ってみたいと言う興奮である。
 
 時間は少し戻り、空に無数の魔法陣を展開しているユーリは魔物が迫ってくる正面にたたずんでいる。
「バーチカルホリーレーザー」
 とそう唱えると垂直に魔法が降り注ぎ、魔物達を光の線で焼き始める。
 放たれた魔法は無数の太い線を地面に生やして魔物達を追いかけるように動く。
 その光にふれた魔物は灰すら残らない程に焼かれて、存在すら無かった事にされる。
 あらかた魔物を滅するとユーリの翼は白く戻り、ふよふよと背中で優雅に泳いでいる様に動いている。
「ふぅ、楽しかった。あとは…… あそこね」
 一番魔力が強い場所を感じ取ったユーリはその場所に移動する。
 すると一人の人物がポケットに手を突っ込んで立っている。
 灰色の髪にトカゲの様な顔をしている。
 見た事もない種族であった。
「こんにちは、貴方が今回の首謀者かな?」
「ん? 何だ貴様は? 人族か?」
 この時翼をしまっていた。
「ん~ そんな感じよ。それにしても貴方こんなに頻繁に攻めて来ないでくれない? 正直面倒なのだけれど?」
「ふむ、それなら魔人族に滅ぼされれば良いではないのかね? 攻められる事も無くなるぞ?」
 憎たらしい表情で笑う。
「それはそうだけど解決になっていないわね。それに私は貴方達の親玉に用事があるのよね。まぁ近いうちに会いに行くと伝えておきなさい」
 その言葉にピクリと顔の表情が変わるが、すぐに元に戻る。
「伝えておきましょう」
 と執事の様に右手をお腹の前に持って来て一礼をした後に黒ずんだ靄の中に姿を消す。靄が無くなる時にはすでに姿は無くなっていた。
 
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