異世界転移二児の母になる

ユミル

文字の大きさ
58 / 175

58

しおりを挟む
 お城の一室に戻ってきたユーリは、用意されている布団にもぐり込みながら考え事をする。
 外国の来訪者達についての事だ。いくらこの国で魔法の発達が少ないと言えど、身体強化を使えば、魔道師と互角に立ち回れる。それなのに一方的に相手の要求を飲もうとしている事に不思議に思っていた。
 信長、柴田を見る限りでは並の魔道師は相手にならないと思う。
 だが、それを出来ないと言う事は、新兵器を持ってこられたのかもしれないと思いながら眠りについた。 
 
 ドタドタと慌ただしい音で目が覚める。
 手を伸ばして背伸びをする。
「ん~~! っはぁ」
 まだ寝たりないのか、眠そうに目を擦り部屋を出る。
 侍女達は忙しそうに準備をしているのを横目で流しながら、風呂場に足を向ける。
 しばらく歩くと聞きなれない声に呼び止められる。
「そこのお嬢さん。少しよろしいでしょうか?」
 その言葉にユーリは振り向くと、20歳前後の青年が立っていた。
 サラサラとした青髪、男性としては長い髪を後ろで括って、爽やかな雰囲気を作り出している。
 容姿も整っていて、おっとりとした目、表情が何とも言い難い。
 見慣れない鎧を着ていたのでユーリは、この人が外国の兵士なのかなと思いながら返事をする。
「どうしました?」
 当たり障りなく返事を返す。
「いや~ 妖精の様にお美しい人が見えたので、つい声をかけてしまいました」
 恥ずかしそうに頭を搔いている青年。
「そう? 妖精さんもいつも寝起きで、私みたいに髪がボサボサなのでしょうね」
 クツクツと嫌味を言うように言葉を返す。
 そして侍女達が居る場所を教えてユーリは、本来の目的場所の風呂場着く。
 さっぱりとしたユーリは部屋でゴロゴロとしていると、襖越しに茶々の声が聞こえる。
「ユーリさん。入ってもよろしいですか?」
「ん? 茶々? 良いわよ」
 部屋に入るや、茶々の表情は暗いものであった。
「どうしたの? 茶々?」
「その~ ユーリさんを呼んで欲しいと外国の方が……」
「わかったわ。準備をするから少し時間を貰える?」
「わかりましたぞ…… 伝えておきますぞ……」
 茶々が部屋を出る事を確認した後に、ユーリはロベリアが指定した部屋に飛ぶ。

 部屋に着くと同時に正面に衝撃が走る。あまりの不意の出来事に鈍い声を出す。
「うっ……」
 目を下げると、なんとロイスが抱き着いていた。
「ロイス来ていたの?」
 目線を上げると身内が全員集まっていた。
「なんで? 皆がいるのよ?」
 エトナが口を開く。
「貴方がドレスを着るのでしょ? 見ないと損をしそうじゃない?」
「そっ、そうなの?」
 その言葉に全員が頷く。
 衣装の準備が整い次第、ユーリ、ロベリア、侍女以外のメンバーは部屋を出る。
 お披露目として最後に見る方が、楽しみが増えると言うことらしい。
 着せ替え人形みたいに、立っているだけで準備が終わっていく、着替えが終わると椅子に座らされて、化粧をしていく。
 侍女いわく、ユーリは顔が完璧すぎるので、最低限の化粧だけで終わらす。
 それを聞いたロベリアは不服そうにしている。
 用意が終わると、待機していたメンバーが戻ってくる。
 ユーリの姿を見た者達は、各々綺麗など褒め言葉の声があがる。
 容姿について褒められる事に慣れていたと思っていたが、さすがのユーリでも恥ずかしくなって、逃げる様に言葉を残して、城に戻ろうとする。
「そろそろ行かないと、だからまたね!」
 残されたメンバーは、ユーリの照れた顔をみたことに、お互いを見て笑っていた。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?

咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。 ※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。 ※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。 ※騎士の上位が聖騎士という設定です。 ※下品かも知れません。 ※甘々(当社比) ※ご都合展開あり。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。 そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。 これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。  

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

処理中です...