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第1章 アストリア王国に転生
57 腐女子サチャーシャ
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アリタリカ帝国へ行く前に、王都アンディーヌのレオポルド侯爵邸で文官候補の面接をしました。御父様と御母様と一緒です。
国王陛下の紹介で面接に来たのは、母娘の2人連れでした。
母ケイシー・ティルス46歳と娘サチャーシャ・ティルス26歳です。
母の方は私の御父様であるレオポルド侯爵の長姉で、娘はその長女です。つまり私の従姉妹にあたります。
今回私は、2人供に始めてお会いしました。
面長で目尻の長い中年女性が、穏やかな表情を作って挨拶をしました。
「レオポルド侯爵様、お久しぶりで御座います。侯爵婦人様、侯爵令嬢様お初にお目にかかります」
何処と無く御父様に似ている気がします。隣で娘が無言で一緒に頭を下げていました。
「姉上お久しぶりで御座います。陛下の御紹介で姉上が見えられるとは思っていませんでした」
「御使え申し上げていた王族の御令嬢が伯爵家に嫁がれましたので、お役御免と成ったのです。宜しければこちらで召抱えて下さいますようお願い申し上げます」
「長年王族に使えていた姉上が、娘の文官と成って頂けるのは有り難い事です」
「私達はマリエル様専属の文官に成るのですね?」
「はい、マリエルはローザンヌに有るグリュエーレ城の主なのです。その城は対フランク王国の重要拠点なのですが。2人には、そこで専属の文官として働いて欲しいのです」
「はい、畏まりました。ですが娘はチョット変わっておりまして、魔法学院を卒業後は王宮図書館で司書をしておりました。聞こえは良いのですが、実は図書館では娘の扱いに困っていたようです」
「ほぅ、王宮図書館で問題児だったのですか?」
「えぇ、まぁ何と言いましょうか……魔法も知識も下級貴族とは思えない程に優れているのですが、癖が酷いのです」
「「癖が酷い!?」」
人形の振りをして、椅子の上に大人しく座っていたケンちゃんが、思わず私と一緒に呟きます。
すると、俯いてるサチャーシャの目が、ケンちゃんをキッと見つめました。
母ケイシーが御父様に話を続けます。
「娘は文官としての才能と実力が十分に有るのです。血縁の誼で、我慢して暫く使って見て頂けないでしょうか?」
「ほほぅ、暫く使ってみて、解雇しても良いと言うのですな?」
「はい、それで結構で御座います。
マリエル様、この子は博識で技術も有るのです。只、癖が酷いだけなのです。それを我慢して飲み込んで頂ければキットお役に立てると思います。どうか暫く使って遣って下さいませ」
「はい、分かりました。
叔母様には側使えを、御姉様には文官をして頂きとうございます。どうか宜しくお願い致します」
「有難う御座います。以後、私の事はケイシー、娘の事はサチャーシャとお呼び付け下さいませ」
2人には早速グリュエーレ城に部屋を与えて、住み込みで働いてもらう事にしました。
マリエル騎士団員に手伝ってもらい、荷馬車に2人の引越し荷物を運び込みます。
ティルス親子は私の馬車に一緒に乗ってもらいました。
そしてケンちゃんの出した【転移門】で一瞬にしてグリュエーレ城に移動します。
すると、俯いてるサチャーシャの目が、ケンちゃんをキッと見つめました。
ゾゾゾッ!
と、ケンちゃんが肩をすくめて身震いをします。
ケイシーが、私に抱かれてるケンちゃんを見詰めながら言いました。
「御嬢様は、特別な魔道具をお持ちなのですね」
「……スーパーレア?」
サチャーシャが呟きます。
「はい、ケンちゃんと言います。私の古くからのお友達なんです」
「古くからの……」
「マリちゃん、あの娘ちょっと怖いかも……」
「そぉ?」
「くっくっくっ……」
「ほらぁぁ!」
「そぉかなぁ?」
それまでは、マリエル騎士団員が側使えと文官の仕事をしてくれていましたが、ケイシーとサチャーシャが専属として働く事に成りました。
外交官や平民との面会が必須に成って来たので、騎士団員にはちょっと難しかったのです。様子を見て上手に働いてくれるようでしたら、役職に就ける予定でいます。
そうそう、サチャーシャの癖とは腐女子の事でした。2次元好きのBL好きだったのです。こちらの世界では、まだ市民権を得ていないようでした。
図書館の片隅で『ぐへへ……』とBL本を読んでるのを見られてしまい、気持ち悪がられていたらしいです。
私はBL好きでは有りませんけど、個人の趣味は理解したいと思っています。
「サッチャン(サチャーシャ)には内政をして欲しいのです。私は細かい事は苦手なので、ゆくゆくはサッチャンに丸投げしたいです」
「……はい。……サッチャン……」
「私の執務室を自由に使って下さい。書庫も出入り自由です」
「……はい。……書庫……嬉しい」
「私は魔法学院に通っているから留守が多いのですけど、できたら幕府の執権の様な者に成って欲しいのです」
「鎌倉時代じゃ無いんだから! マリちゃん、そんな話をしてもコッチの人には通じないよ」
「女性だから尼将軍の北条正子かしら」
「えっと……鎌倉幕府? 私は梶原景時が好き…かな」
サチャーシャが呟いた。
「「……っ!」」
「サッチャンまさか! 転生者なの?」
「御嬢様も?」
「うん」
「俺も」
「……ヌイグルミが転生?」
「俺は元人間だよ! 日本人だったんだから」
「人間からヌイグルミに転生……?」
「そうだよ」
「……そう……呪われたの?……クククッ」
「呪われてない!」
ケンちゃんプンプンです!
「薄い本のネタに出来そう」
「しないで!」
「サッチャンも赤ちゃんの時からサッチャンなの?」
「そう」
マリエルは、根掘り葉掘り聞き始めました。
サチャーシャも少し舌が軽くなります。
「前世は事故死なの?」
「たぶん」
「覚えてないの?」
「自室で薄い本作ってて、気が付いたら女神様の前にいた」
「チートスキルは貰ったの?」
「チートはダメって言われたから、『本の有る人生』を願った」
「それだけ?」
「そう」
「執権の仕事は出来そう?」
「梶原景時や大谷吉継レベルでなら」
「それなら大丈夫だね……って、それも薄い本での知識なの?」
「武家に男色は付き物。でも、私は日本史と政治の知識も有る」
「そう。気楽にマイペースでお願いしますね」
「はい。……それから私の日本名は馬場幸子……サッチャンでした」
「ワォ! 偶然、正解引いちゃった!」
国王陛下の紹介で面接に来たのは、母娘の2人連れでした。
母ケイシー・ティルス46歳と娘サチャーシャ・ティルス26歳です。
母の方は私の御父様であるレオポルド侯爵の長姉で、娘はその長女です。つまり私の従姉妹にあたります。
今回私は、2人供に始めてお会いしました。
面長で目尻の長い中年女性が、穏やかな表情を作って挨拶をしました。
「レオポルド侯爵様、お久しぶりで御座います。侯爵婦人様、侯爵令嬢様お初にお目にかかります」
何処と無く御父様に似ている気がします。隣で娘が無言で一緒に頭を下げていました。
「姉上お久しぶりで御座います。陛下の御紹介で姉上が見えられるとは思っていませんでした」
「御使え申し上げていた王族の御令嬢が伯爵家に嫁がれましたので、お役御免と成ったのです。宜しければこちらで召抱えて下さいますようお願い申し上げます」
「長年王族に使えていた姉上が、娘の文官と成って頂けるのは有り難い事です」
「私達はマリエル様専属の文官に成るのですね?」
「はい、マリエルはローザンヌに有るグリュエーレ城の主なのです。その城は対フランク王国の重要拠点なのですが。2人には、そこで専属の文官として働いて欲しいのです」
「はい、畏まりました。ですが娘はチョット変わっておりまして、魔法学院を卒業後は王宮図書館で司書をしておりました。聞こえは良いのですが、実は図書館では娘の扱いに困っていたようです」
「ほぅ、王宮図書館で問題児だったのですか?」
「えぇ、まぁ何と言いましょうか……魔法も知識も下級貴族とは思えない程に優れているのですが、癖が酷いのです」
「「癖が酷い!?」」
人形の振りをして、椅子の上に大人しく座っていたケンちゃんが、思わず私と一緒に呟きます。
すると、俯いてるサチャーシャの目が、ケンちゃんをキッと見つめました。
母ケイシーが御父様に話を続けます。
「娘は文官としての才能と実力が十分に有るのです。血縁の誼で、我慢して暫く使って見て頂けないでしょうか?」
「ほほぅ、暫く使ってみて、解雇しても良いと言うのですな?」
「はい、それで結構で御座います。
マリエル様、この子は博識で技術も有るのです。只、癖が酷いだけなのです。それを我慢して飲み込んで頂ければキットお役に立てると思います。どうか暫く使って遣って下さいませ」
「はい、分かりました。
叔母様には側使えを、御姉様には文官をして頂きとうございます。どうか宜しくお願い致します」
「有難う御座います。以後、私の事はケイシー、娘の事はサチャーシャとお呼び付け下さいませ」
2人には早速グリュエーレ城に部屋を与えて、住み込みで働いてもらう事にしました。
マリエル騎士団員に手伝ってもらい、荷馬車に2人の引越し荷物を運び込みます。
ティルス親子は私の馬車に一緒に乗ってもらいました。
そしてケンちゃんの出した【転移門】で一瞬にしてグリュエーレ城に移動します。
すると、俯いてるサチャーシャの目が、ケンちゃんをキッと見つめました。
ゾゾゾッ!
と、ケンちゃんが肩をすくめて身震いをします。
ケイシーが、私に抱かれてるケンちゃんを見詰めながら言いました。
「御嬢様は、特別な魔道具をお持ちなのですね」
「……スーパーレア?」
サチャーシャが呟きます。
「はい、ケンちゃんと言います。私の古くからのお友達なんです」
「古くからの……」
「マリちゃん、あの娘ちょっと怖いかも……」
「そぉ?」
「くっくっくっ……」
「ほらぁぁ!」
「そぉかなぁ?」
それまでは、マリエル騎士団員が側使えと文官の仕事をしてくれていましたが、ケイシーとサチャーシャが専属として働く事に成りました。
外交官や平民との面会が必須に成って来たので、騎士団員にはちょっと難しかったのです。様子を見て上手に働いてくれるようでしたら、役職に就ける予定でいます。
そうそう、サチャーシャの癖とは腐女子の事でした。2次元好きのBL好きだったのです。こちらの世界では、まだ市民権を得ていないようでした。
図書館の片隅で『ぐへへ……』とBL本を読んでるのを見られてしまい、気持ち悪がられていたらしいです。
私はBL好きでは有りませんけど、個人の趣味は理解したいと思っています。
「サッチャン(サチャーシャ)には内政をして欲しいのです。私は細かい事は苦手なので、ゆくゆくはサッチャンに丸投げしたいです」
「……はい。……サッチャン……」
「私の執務室を自由に使って下さい。書庫も出入り自由です」
「……はい。……書庫……嬉しい」
「私は魔法学院に通っているから留守が多いのですけど、できたら幕府の執権の様な者に成って欲しいのです」
「鎌倉時代じゃ無いんだから! マリちゃん、そんな話をしてもコッチの人には通じないよ」
「女性だから尼将軍の北条正子かしら」
「えっと……鎌倉幕府? 私は梶原景時が好き…かな」
サチャーシャが呟いた。
「「……っ!」」
「サッチャンまさか! 転生者なの?」
「御嬢様も?」
「うん」
「俺も」
「……ヌイグルミが転生?」
「俺は元人間だよ! 日本人だったんだから」
「人間からヌイグルミに転生……?」
「そうだよ」
「……そう……呪われたの?……クククッ」
「呪われてない!」
ケンちゃんプンプンです!
「薄い本のネタに出来そう」
「しないで!」
「サッチャンも赤ちゃんの時からサッチャンなの?」
「そう」
マリエルは、根掘り葉掘り聞き始めました。
サチャーシャも少し舌が軽くなります。
「前世は事故死なの?」
「たぶん」
「覚えてないの?」
「自室で薄い本作ってて、気が付いたら女神様の前にいた」
「チートスキルは貰ったの?」
「チートはダメって言われたから、『本の有る人生』を願った」
「それだけ?」
「そう」
「執権の仕事は出来そう?」
「梶原景時や大谷吉継レベルでなら」
「それなら大丈夫だね……って、それも薄い本での知識なの?」
「武家に男色は付き物。でも、私は日本史と政治の知識も有る」
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