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第1話 ○○店長
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「お母さん、制服貸与って書いてあったけど生足じゃないとNGとかあるかな?」
「あんた、どんな店で働こうとしてるのよ」
さぁ?どんな店なんだろう?
あやかしカフェって響きが面白そうだからってのと時給の良さで決めちゃったけれど、正直言ってどんな店かは想像も出来ない。
一応“アットホームな職場です”みたいな、それ絶対ブラックだろって言われるアピール欄には“あやかしに囲まれた職場で一緒に働きませんか”と書かれていたから、多分妖怪グッズみたいなのが沢山置かれていて、全国から妖怪好きが集まって何かとウォッチしたり、下駄を飛ばしたり、昔と今とで随分とキャラデザが変わって同一人物とは思えない程に可愛くなった猫の妖怪さんの変節話に花を咲かせたりするのだろう。
「それにしても、あそこにお店なんてあったっけな?」
ワタシは、生足は少しばかり恥ずかしいのでタイツを穿いて家を出て、アルバイト先になるあやかしカフェに向かう。
地図を見る限りは家の近所なんだけれど、最近まで空き地だった気がするんだよね。
「あった。意外と普通のふれあいカフェっぽい?」
見た目は普通のカフェっぽくて、ブラインドで隠れてはいるけれど大きな窓にガラスのドアと開放的なお店なのではなかろうか。
ドアの上に木の看板に“Ayakashy Cafe”ってちょっとお洒落感出してるのが逆にセンス無いけれど。
まあ、給料が良いのでダッサ!だなんて絶対に言わないけれども。
と言うかカフェの店員で時給1800円も貰えるなら、どんな事があったとしても失礼な事も強めの口調も自粛するけれども。
ドアのちっちゃなプレートはCloseになっているけれど、ワタシは従業員なので入ってしまって問題無い。
オープン自体は来週からだから、今日は接客とかレジの打ち方とかを教わるんだろうな。
そんな事を考えながらワタシは職場となるあやかしカフェのドアを開けて。
数秒静止してからそっとドアを閉じた。
「えーと、あれだなぁ。
これ、やっちゃたかもしれないなぁ。
これはちょっとあれだなぁ。
やっちゃったかもしれないなぁ」
ワタシは少しばかり語彙力が乏しくなって額に手を持っていった。
「いや、けど見間違いの可能性もあるし!
微レ存だけどワンチャンあるし!
もう一回だけチャレンジしてみようかな!」
ワタシは気合いを入れてドアを開け。
数秒静止してそっとドアを閉めた。
「女の幽霊が犬の生首に餌をあげてた」
今見た光景を言葉にしてみたのだけれど、全然意味がわからない。
これはあれだなぁ、ワンチャン無さそうなやつだなぁ。
何となく状況を理解したワタシが、思わず半目になっているとドアが開いて。
「いらっしゃい。赤股さんでしょう。
店長の仲間妖よ。よろしくね。
うふふふふふふふふふ」
「あ、お願いしまぁす」
今見た長い髪で顔が隠れた白無垢の幽霊が店長だったと理解して、ワタシは投げやりに返事しつつ。
半目の時間を13秒ほど延長する事となった。
第1話 幽霊店長
「あんた、どんな店で働こうとしてるのよ」
さぁ?どんな店なんだろう?
あやかしカフェって響きが面白そうだからってのと時給の良さで決めちゃったけれど、正直言ってどんな店かは想像も出来ない。
一応“アットホームな職場です”みたいな、それ絶対ブラックだろって言われるアピール欄には“あやかしに囲まれた職場で一緒に働きませんか”と書かれていたから、多分妖怪グッズみたいなのが沢山置かれていて、全国から妖怪好きが集まって何かとウォッチしたり、下駄を飛ばしたり、昔と今とで随分とキャラデザが変わって同一人物とは思えない程に可愛くなった猫の妖怪さんの変節話に花を咲かせたりするのだろう。
「それにしても、あそこにお店なんてあったっけな?」
ワタシは、生足は少しばかり恥ずかしいのでタイツを穿いて家を出て、アルバイト先になるあやかしカフェに向かう。
地図を見る限りは家の近所なんだけれど、最近まで空き地だった気がするんだよね。
「あった。意外と普通のふれあいカフェっぽい?」
見た目は普通のカフェっぽくて、ブラインドで隠れてはいるけれど大きな窓にガラスのドアと開放的なお店なのではなかろうか。
ドアの上に木の看板に“Ayakashy Cafe”ってちょっとお洒落感出してるのが逆にセンス無いけれど。
まあ、給料が良いのでダッサ!だなんて絶対に言わないけれども。
と言うかカフェの店員で時給1800円も貰えるなら、どんな事があったとしても失礼な事も強めの口調も自粛するけれども。
ドアのちっちゃなプレートはCloseになっているけれど、ワタシは従業員なので入ってしまって問題無い。
オープン自体は来週からだから、今日は接客とかレジの打ち方とかを教わるんだろうな。
そんな事を考えながらワタシは職場となるあやかしカフェのドアを開けて。
数秒静止してからそっとドアを閉じた。
「えーと、あれだなぁ。
これ、やっちゃたかもしれないなぁ。
これはちょっとあれだなぁ。
やっちゃったかもしれないなぁ」
ワタシは少しばかり語彙力が乏しくなって額に手を持っていった。
「いや、けど見間違いの可能性もあるし!
微レ存だけどワンチャンあるし!
もう一回だけチャレンジしてみようかな!」
ワタシは気合いを入れてドアを開け。
数秒静止してそっとドアを閉めた。
「女の幽霊が犬の生首に餌をあげてた」
今見た光景を言葉にしてみたのだけれど、全然意味がわからない。
これはあれだなぁ、ワンチャン無さそうなやつだなぁ。
何となく状況を理解したワタシが、思わず半目になっているとドアが開いて。
「いらっしゃい。赤股さんでしょう。
店長の仲間妖よ。よろしくね。
うふふふふふふふふふ」
「あ、お願いしまぁす」
今見た長い髪で顔が隠れた白無垢の幽霊が店長だったと理解して、ワタシは投げやりに返事しつつ。
半目の時間を13秒ほど延長する事となった。
第1話 幽霊店長
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