Genius≒Pervert~最強バンド、伝説への序章

伊瀬カイト

文字の大きさ
4 / 20

異常

しおりを挟む
 両親が共働きの伊織の家には、妹の小春がいた。
 どうやら伊織の通う高校よりも早く、中学校の始業式を終えて帰宅していたらしい。

 小春は伊織より一つ年下の14歳。クラスで一番背が低くて可愛いと評判の美少女である。
 伊織はリビングで昼食を食べていた小春にただいまを言ってから制服を着替えに自室へ戻ろうとした。
 しかし小春に呼び止められて、その場に残ることとなる。

「お兄ちゃん。小春のパンツ1枚足りないんだけど、間違えて穿いてないよね?」

 男であり体の大きさも随分と違う伊織に対して、洗濯物にパンツが紛れてしまったのではなく、穿いているのではないかというぶっ飛んだ質問を浴びせた小春。
 誰もが“そんな筈ないやろ”と思わず関西弁でツッコんでしまう質問に、伊織もノータイムで返事をした。

「いやいや、流石に可愛い妹のパンツを穿いてたら気付くだろ。いくら何でも失敬だぞ」

「そうだよね。お気に入りのパンツだったのに何処行っちゃったんだろう?」

 伊織の言葉に納得して、首を傾げた小春。
 常識的に考えるならば、母親の下着の中に紛れてしまった可能性が高いだろうか。
 少なくとも伊織が穿いているなんて可能性は、万に一つもないだろう。ある筈がない。

 伊織は話が終わったとして、さっさと部屋着に着替えようと身を翻し、自室に向けて一歩を踏み出した。
 その瞬間、股間の辺りを強烈な違和感に襲われた。

「あれ?何だか股間の辺りがきついような…」

 その場でカチャカチャとベルトを外してチャックを下ろし、ズボンも下ろしてシャツの裾を捲った伊織。
 すると小春はガタっと椅子を素早く引いて立ち上がった。

「あー!やっぱり私のパンツ穿いてるじゃん!」

 そう。伊織の下半身を体に合わぬ布面積で隠していたのは、お尻の部分にクマさんのキャラクターがついた白いパンツだった。
 どこからどう見たってサイズ感が合っていないし、これを穿いたまま平然と高校の入学式に出ていたなんて、驚愕である。

「そう言えば今朝パンツの中に紛れてたから、ワンチャン穿けるかなと思って試したんだった。すまんすまん。洗って返すよ」

「返してくれれば良いけどさぁ。ちょっと歩き方おかしくなってるし、次からは気を付けた方がいいよ」

「おう。気を付ける」

 お気に入りのパンツを穿いていた兄をゴビ砂漠のように寛大な心で許してみせた小春。
 中学3年生にして、ここまで器の大きな女の子もなかなかいないだろう。
 そんな妹の成長を嬉しく思った伊織は、新しくイチゴ柄のパンツでも買ってあげようと心に決めたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...