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VOLCANYOS ③
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ドッドッツクツータッタッタッ ドッドッツクタッタッタッ
ドッドッツクツータッタッタッ ドッドッツクタッタッタッ
カウントが4つ入ってキレのいいドラムから曲が始まった。テンポは120。
ピンスポットライトがドラムの位置に当たり、マオの凛々しい顔と淡々とした正確な動きを照らした。
女でも惚れると言われそうな中性的な顔立ちに、前列にいる女性客が色めき立つ。
ドラムが8小節叩いたところで骨太なベースが入り、ディストーションの効いたギターがコードがジャーンとコードを鳴らしてからカッティングを始めた。
ステージ全体がライトで照らされ、VOLCANYOSの全貌が明らかになる。
髪を金色に染めたギターのリョウと朴訥な印象を持つベースのダン。
若さゆえの昂ぶりや逸りを見せずに、あくまでも淡々と演奏をしている姿が渋い。
誰かの吐いた煙草の煙がスモークとなって照明に味を出している。
入場時に配られたフライヤーに挟まっているアンケートには、一曲目はVOLCANYOSと書かれていた。
要するに、自己紹介代わりでバンド名と同じタイトルの曲を演奏する狙いであろう。
入りのメロディはイントロと言うよりもジャズで言うところのテーマに近い。
完璧に息を合わせたリズム隊にギターも合わせたテーマは、広がりのある重低音で迫力がある。
既にテーマの段階から心を掴まれた者達の体が縦に揺れ始め、特に日本オナニー最前線からのファンである里菜は手摺りに手を置き前のめりになってステージの様子を見つめていた。
3つの楽器が息を合わせたテーマが長めの16小節取られてから展開が変わった。
バスドラムがドッドッドッドッと四つ打ちになり、隙間にオープンハイハット。タッタタと小気味良いスネアドラムを鳴らす。
ベースは音数少なく、歯切れがよくシンプルに。
まるでダンスミュージックのような展開で、観客をノせに掛かっているようだ。
そんなリズムの上を、リョウが波乗りでもするかのようにギターソロをかます。
チョーキングを多用するメロディアスなギターソロはメロディセンスが抜群で、圧倒的なまでに完成度が高い。
トレモロでアクセントを付ける様子はまるでベテランギタリストのようで、恐らくは大枠だけ決めてアドリブで弾いているにも関わらず、鳴らす音に一切の躊躇いが無い。
その演奏はまるでギターが歌っているようで、ヴォーカルが入っていないのに満足感が半端ではなかった。
目を閉じて酔いしれるような演奏と佇まいに、同じギタリストの稔琉は圧倒されていた。
所謂ポップスやロックで言うところのAメロと言えるギターソロは16小節続き、リョウがコード演奏に入ると今度はベースのダンがソロを取り始めた。
先程までは落ち着いて後ろから音を支えていたベースが、1弦と2弦を多用してギターから歌を引き継ぐ。
本来は前面に出ることが少ないベースも、チョーキングを使いながら上手に歌い上げている。
このバンド、日本オナニー最前線の頃よりも個人のプレイを前面に押し出しやがる。
稔琉はそんな感想を抱きつつも、ブンブンと体に響く音を一つ残らず噛み締める。
本当に同年代かと驚愕するしかない実力者達の演奏だ。
こんな実力者達のフロントマンとして、悪ふざけとも言えるステージを披露していた伊織にも悪い意味で驚愕がながら、稔琉は体全体を音に預けた。
16小節のベースソロの後で、また展開が動いた。
ここまで完全にインストロメンタルだと思われた曲にヴォーカルが入ったのだ。
3人全員が初期衝動を声に乗せたような荒々しい歌…叫びが楽曲に新たな熱い色を加える。
「ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!
ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!」
歌詞もメロディも最低限でキャッチーなものだが、VOLCANYOSの熱さに乗せられて観客のヴォルテージも上がる。
稔琉も3人の声に合わせてVOLCANYOS!と声を出したくなるような熱いパフォーマンス。
里菜は初めて聴いた曲である筈なのに、2節目から既に声を合わせて叫んでいた。
そんな里菜に釣られるようにして、それは周囲にも広がっていった。
ドッドッツクツータッタッタッ ドッドッツクタッタッタッ
カウントが4つ入ってキレのいいドラムから曲が始まった。テンポは120。
ピンスポットライトがドラムの位置に当たり、マオの凛々しい顔と淡々とした正確な動きを照らした。
女でも惚れると言われそうな中性的な顔立ちに、前列にいる女性客が色めき立つ。
ドラムが8小節叩いたところで骨太なベースが入り、ディストーションの効いたギターがコードがジャーンとコードを鳴らしてからカッティングを始めた。
ステージ全体がライトで照らされ、VOLCANYOSの全貌が明らかになる。
髪を金色に染めたギターのリョウと朴訥な印象を持つベースのダン。
若さゆえの昂ぶりや逸りを見せずに、あくまでも淡々と演奏をしている姿が渋い。
誰かの吐いた煙草の煙がスモークとなって照明に味を出している。
入場時に配られたフライヤーに挟まっているアンケートには、一曲目はVOLCANYOSと書かれていた。
要するに、自己紹介代わりでバンド名と同じタイトルの曲を演奏する狙いであろう。
入りのメロディはイントロと言うよりもジャズで言うところのテーマに近い。
完璧に息を合わせたリズム隊にギターも合わせたテーマは、広がりのある重低音で迫力がある。
既にテーマの段階から心を掴まれた者達の体が縦に揺れ始め、特に日本オナニー最前線からのファンである里菜は手摺りに手を置き前のめりになってステージの様子を見つめていた。
3つの楽器が息を合わせたテーマが長めの16小節取られてから展開が変わった。
バスドラムがドッドッドッドッと四つ打ちになり、隙間にオープンハイハット。タッタタと小気味良いスネアドラムを鳴らす。
ベースは音数少なく、歯切れがよくシンプルに。
まるでダンスミュージックのような展開で、観客をノせに掛かっているようだ。
そんなリズムの上を、リョウが波乗りでもするかのようにギターソロをかます。
チョーキングを多用するメロディアスなギターソロはメロディセンスが抜群で、圧倒的なまでに完成度が高い。
トレモロでアクセントを付ける様子はまるでベテランギタリストのようで、恐らくは大枠だけ決めてアドリブで弾いているにも関わらず、鳴らす音に一切の躊躇いが無い。
その演奏はまるでギターが歌っているようで、ヴォーカルが入っていないのに満足感が半端ではなかった。
目を閉じて酔いしれるような演奏と佇まいに、同じギタリストの稔琉は圧倒されていた。
所謂ポップスやロックで言うところのAメロと言えるギターソロは16小節続き、リョウがコード演奏に入ると今度はベースのダンがソロを取り始めた。
先程までは落ち着いて後ろから音を支えていたベースが、1弦と2弦を多用してギターから歌を引き継ぐ。
本来は前面に出ることが少ないベースも、チョーキングを使いながら上手に歌い上げている。
このバンド、日本オナニー最前線の頃よりも個人のプレイを前面に押し出しやがる。
稔琉はそんな感想を抱きつつも、ブンブンと体に響く音を一つ残らず噛み締める。
本当に同年代かと驚愕するしかない実力者達の演奏だ。
こんな実力者達のフロントマンとして、悪ふざけとも言えるステージを披露していた伊織にも悪い意味で驚愕がながら、稔琉は体全体を音に預けた。
16小節のベースソロの後で、また展開が動いた。
ここまで完全にインストロメンタルだと思われた曲にヴォーカルが入ったのだ。
3人全員が初期衝動を声に乗せたような荒々しい歌…叫びが楽曲に新たな熱い色を加える。
「ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!
ROCK SCREAM CHAOTIC JAM HEAVY&GROOVY=VOLCANYOS!」
歌詞もメロディも最低限でキャッチーなものだが、VOLCANYOSの熱さに乗せられて観客のヴォルテージも上がる。
稔琉も3人の声に合わせてVOLCANYOS!と声を出したくなるような熱いパフォーマンス。
里菜は初めて聴いた曲である筈なのに、2節目から既に声を合わせて叫んでいた。
そんな里菜に釣られるようにして、それは周囲にも広がっていった。
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