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VOLCANYOS ②
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里菜からチケットを受け取って中に入ると、早速煙草の匂いが鼻をついた。
稔琉は自らが煙草を吸っていそうな見た目をしているが、実際はあまり煙草が好きではない。
妹の里菜の方は、特に気にした様子もなくスタスタと最前列の中央に陣取った。
開演30分前なので、まだ客入りは少ない。
フロアには4人組が2組と5人組が1組いるが、人数と分散の仕方を見るに、それらはライブの出演者であると予想される。
稔琉はドリンクカウンターに行ってドリンクチケットをオレンジジュースに引き換えてから、里菜の隣に並んだ。
大型スピーカーから80年代の洋楽ロックが流れる店内で既に目をキラキラさせている里菜は、ライブハウスでも年齢の割に堂々としている。
見知らぬ人間が出入りするライブハウスでこんなに堂々と出来るなら、学校でも同じように振舞えるのではないかと疑問に思うが、それはまた別のベクトルの話なのだろう。
ライブの邪魔になりそうなのですぐにオレンジジュースを飲み干し、カウンターにコップを戻すと、伊織が店員のお姉さんに絡んでいるのを発見した。そして稔琉は見なかったことにした。
開演時間10分前にもなるとフロアはそれなりの人数で埋まり、ステージの前にはびっしりと観客が押し寄せている。
そして開演5分前。音楽が世界的に有名なプログレッシブメタルバンドのインストロメンタル楽曲に変わった。
変拍子のリズムに変態的な演奏。
こんな曲を登場前のSEにするのは、バンドの自信の表れだろうか。
まだ照明で照らされていない薄暗いステージに人影が見えて、それぞれが位置についた。
上手側のギター、リョウはエフェクターボードを広げ、ギターとエフェクター、アンプをシールドで繋げてからペダルチューナーでチューニングを始める。
下手側のベース、ダンも同様だが、エフェクターの数はギターよりも少なく、早々に音を作りとチューニングを済ませるとブリブリと音を鳴らし始めた。
中央後方のドラムはセッティングの微調整をしてからターン…ターン…とスネアドラムのチューニングをする。
数日前まで中学生だったとは思えない慣れた立ち居振る舞いに、稔琉は少し圧倒された。
中学時代に数える程度のライブは経験したが、今の自分にはここまで落ち着きはらってライブの準備が出来るだろうか?恐らくは難しい。
そんな風に考えた稔琉だったが、ライブの前は間違えてしまわないかと心音が耳に直接届くぐらいに緊張する、見た目と違って小心者な稔琉には到底無理だろう。
伊織は堂々を通り越して好き勝手やっていたから、あれは例外で良いよな?
そう心の中で呟いて、百戦錬磨に見える同学年に再び目を向けた。
あの日本オナニー最前線の楽器陣だ。伊織の勧誘について話を聞くのとは別にして、吸収出来ることは全て吸収してやる。
そんな風に稔琉が意気込んでいると、ギターがジャーーンとアップストロークで解放弦を鳴らした。
ドラムがドラムスティックを持った手を高く掲げ、SEが止まる。
そしてドラムスティックを叩く4つのカウントから、VOLCANYOSの圧倒的な演奏が始まった。
稔琉は自らが煙草を吸っていそうな見た目をしているが、実際はあまり煙草が好きではない。
妹の里菜の方は、特に気にした様子もなくスタスタと最前列の中央に陣取った。
開演30分前なので、まだ客入りは少ない。
フロアには4人組が2組と5人組が1組いるが、人数と分散の仕方を見るに、それらはライブの出演者であると予想される。
稔琉はドリンクカウンターに行ってドリンクチケットをオレンジジュースに引き換えてから、里菜の隣に並んだ。
大型スピーカーから80年代の洋楽ロックが流れる店内で既に目をキラキラさせている里菜は、ライブハウスでも年齢の割に堂々としている。
見知らぬ人間が出入りするライブハウスでこんなに堂々と出来るなら、学校でも同じように振舞えるのではないかと疑問に思うが、それはまた別のベクトルの話なのだろう。
ライブの邪魔になりそうなのですぐにオレンジジュースを飲み干し、カウンターにコップを戻すと、伊織が店員のお姉さんに絡んでいるのを発見した。そして稔琉は見なかったことにした。
開演時間10分前にもなるとフロアはそれなりの人数で埋まり、ステージの前にはびっしりと観客が押し寄せている。
そして開演5分前。音楽が世界的に有名なプログレッシブメタルバンドのインストロメンタル楽曲に変わった。
変拍子のリズムに変態的な演奏。
こんな曲を登場前のSEにするのは、バンドの自信の表れだろうか。
まだ照明で照らされていない薄暗いステージに人影が見えて、それぞれが位置についた。
上手側のギター、リョウはエフェクターボードを広げ、ギターとエフェクター、アンプをシールドで繋げてからペダルチューナーでチューニングを始める。
下手側のベース、ダンも同様だが、エフェクターの数はギターよりも少なく、早々に音を作りとチューニングを済ませるとブリブリと音を鳴らし始めた。
中央後方のドラムはセッティングの微調整をしてからターン…ターン…とスネアドラムのチューニングをする。
数日前まで中学生だったとは思えない慣れた立ち居振る舞いに、稔琉は少し圧倒された。
中学時代に数える程度のライブは経験したが、今の自分にはここまで落ち着きはらってライブの準備が出来るだろうか?恐らくは難しい。
そんな風に考えた稔琉だったが、ライブの前は間違えてしまわないかと心音が耳に直接届くぐらいに緊張する、見た目と違って小心者な稔琉には到底無理だろう。
伊織は堂々を通り越して好き勝手やっていたから、あれは例外で良いよな?
そう心の中で呟いて、百戦錬磨に見える同学年に再び目を向けた。
あの日本オナニー最前線の楽器陣だ。伊織の勧誘について話を聞くのとは別にして、吸収出来ることは全て吸収してやる。
そんな風に稔琉が意気込んでいると、ギターがジャーーンとアップストロークで解放弦を鳴らした。
ドラムがドラムスティックを持った手を高く掲げ、SEが止まる。
そしてドラムスティックを叩く4つのカウントから、VOLCANYOSの圧倒的な演奏が始まった。
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