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亀頭伊織という男①
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ライブハウスの外は繁華街になっていて、それなりに人通りは多い。
もちろん車通りもあるが、ライブハウスの中と比べてしまうと随分と静かに感じられる。
爆音のライブを聴いていたので、稔琉は静けさに耳が慣れない感覚を味わっている。
マオは周囲を見回して話すのにちょうど良い場所を見付け、ガードレールに腰掛けた。
「それで、えっと名前は何だっけ?」
そう言えば名乗るのを忘れていたと思い出してマオに名前を告げる。
「岡稔琉です。妹は里菜です」
「里菜ちゃんって名前だったんだ!改めてよろしく!っとごめんね。
稔琉君はいおちんとバンドを組みたいんだよね?本気?」
今まで何度もライブに足を運んでいたのに喋ることがなく、名前も知らなかった里菜の名前を知って若干テンションの上がったマオ。
その様は年相応に見えたが、一瞬で元の大人びた雰囲気に戻って稔琉に質問をした。
「本気…のつもりです。いや、本気です!」
伊織とバンドは組みたいと思っているが、保険で“つもり”と付けたら背中を思いっきり抓られたので稔琉は訂正した。
ここまで来て何を尻込みしているんだという妹なりの後押しであり、そんな軽い気持ちで仮性神様とバンドを組みたいだなんて烏滸がましい言葉を吐いているんじゃない、という怒りも籠っている。
どちらかというと後者の方が強いのだが、稔琉がそれに気付くことはないだろう。
「そっか。稔琉君はいおちんのことどれぐらい知ってる?」
そう聞かれて考えてみるが、知り合ったばかりの稔琉が知っていることなんて殆んどない。
「あんまり知らないっすね。日本オナニー最前線のヴォーカルをやってたのと…ヤバい奴で女好きで変態ってことぐらいです」
自分の知っている伊織について言葉にして伝えると、マオはケラケラと笑いだした。
「殆んど知ってるじゃん。稔琉君が言ったことに、いおちんの殆んどが集約されてるよ。
まあ、いおちんはそれだけじゃないんだけどさ」
伊織のことを語るマオは楽しそうで表情が柔らかく、それこそ15歳の少女に見える。
「正直言って、どうすればいおちんがやる気になるかは私にもメンバーにも分からない。
いおちんってほら、ヤバい奴じゃん?だからいおちんを正確に理解出来る人って、あんまりいないと思うんだよね」
一緒にバンドをやっていたメンバーにすら、そんな風に言われるのかと複雑な気持ちになった稔琉。
ここに来たことは全く無駄足ではなかったが、伊織に関してだけ言えば無駄足になるかもしれないと覚悟した。
しかしマオは言葉を続ける。
もちろん車通りもあるが、ライブハウスの中と比べてしまうと随分と静かに感じられる。
爆音のライブを聴いていたので、稔琉は静けさに耳が慣れない感覚を味わっている。
マオは周囲を見回して話すのにちょうど良い場所を見付け、ガードレールに腰掛けた。
「それで、えっと名前は何だっけ?」
そう言えば名乗るのを忘れていたと思い出してマオに名前を告げる。
「岡稔琉です。妹は里菜です」
「里菜ちゃんって名前だったんだ!改めてよろしく!っとごめんね。
稔琉君はいおちんとバンドを組みたいんだよね?本気?」
今まで何度もライブに足を運んでいたのに喋ることがなく、名前も知らなかった里菜の名前を知って若干テンションの上がったマオ。
その様は年相応に見えたが、一瞬で元の大人びた雰囲気に戻って稔琉に質問をした。
「本気…のつもりです。いや、本気です!」
伊織とバンドは組みたいと思っているが、保険で“つもり”と付けたら背中を思いっきり抓られたので稔琉は訂正した。
ここまで来て何を尻込みしているんだという妹なりの後押しであり、そんな軽い気持ちで仮性神様とバンドを組みたいだなんて烏滸がましい言葉を吐いているんじゃない、という怒りも籠っている。
どちらかというと後者の方が強いのだが、稔琉がそれに気付くことはないだろう。
「そっか。稔琉君はいおちんのことどれぐらい知ってる?」
そう聞かれて考えてみるが、知り合ったばかりの稔琉が知っていることなんて殆んどない。
「あんまり知らないっすね。日本オナニー最前線のヴォーカルをやってたのと…ヤバい奴で女好きで変態ってことぐらいです」
自分の知っている伊織について言葉にして伝えると、マオはケラケラと笑いだした。
「殆んど知ってるじゃん。稔琉君が言ったことに、いおちんの殆んどが集約されてるよ。
まあ、いおちんはそれだけじゃないんだけどさ」
伊織のことを語るマオは楽しそうで表情が柔らかく、それこそ15歳の少女に見える。
「正直言って、どうすればいおちんがやる気になるかは私にもメンバーにも分からない。
いおちんってほら、ヤバい奴じゃん?だからいおちんを正確に理解出来る人って、あんまりいないと思うんだよね」
一緒にバンドをやっていたメンバーにすら、そんな風に言われるのかと複雑な気持ちになった稔琉。
ここに来たことは全く無駄足ではなかったが、伊織に関してだけ言えば無駄足になるかもしれないと覚悟した。
しかしマオは言葉を続ける。
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