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「裕ちゃん?家の前で何をしているの?もしかして私に用かな?」
今度はスライムを一方的に倒してやるぜって意気揚々と外に出ると、隣の家から出て来た顔馴染みと出くわした。
癖の強い赤毛を、今日日あまり見掛けないおさげ髪にしたクリクリお目目のリス顔女子。
彼女こそ、我が幼馴染の柊京香その人である。
会話の内容から推察される通り、頭の上にはNPCと表示されている。
どうやら柊はNOT THE GAMEに登録していないか、まだNOT THE GAMEを始めていないらしい。
まあ、俺はサ開と同時に始めているから、後からログインする方が多数派だろう。
「今さっきスライムと戦って殺されかけた所だぜ。ほら、俺の後ろに扉が見えるだろ?あれは俺がスライムを倒した戦果って訳だ」
「扉?って何の事を言っているの?」
「は?あるだろ?扉が」
柊が不思議そうな顔をするので振り返ってみると、さっきまであった筈の青い扉が消えていた。
「宝箱の中身を全部取ったから消えたのか?あー、っと。俺の勘違いだったかもしれない」
「あはは。変な裕ちゃん」
笑う時に右手の袖で口元をおさえる仕草。
NOT THE GAMEは人の解像度が高過ぎて怖い。
会話の内容や頭の上にNPCと表示される事を除けば、本人と言われたって遜色ないぐらいの出来栄えだ。
この先AI技術が目覚ましい発展を遂げたとして、果たしてこの域まで達するのに、一体どれだけの時間が掛かるのだろうか。
そう考えると、NOT THE GAMEと作った人物は凄まじい金と権力を持った稀代の大天才なのかもしれない。
将又神か…なんてのは話が飛躍し過ぎだろう。
「外は魔物がいて危険だぜ?家の中にいた方が良いんじゃないか?」
「うん。だけどお米が切れちゃったから買い物に行かなきゃいけなくて」
如何にも柊が口にしそうな言葉だ。
柊の家は両親共に土日なんて関係無い多忙な人達だから、家事全般を柊が担当している。
柊の両親…特におじさんは大層な米好きで、家で食事をする時は相撲取りの如く白米を平らげるのだと聞いている。
だから柊が10kgの米を抱えてスーパーから帰っている姿は、窓から何度も目撃していた。
本当にここは現実世界なんじゃないのかってぐらいリアルだ―――。
「そうなのか。だったら魔物には気を付けて行ってこいよ」
「うん、ありがとう。いってきます」
柊はにこりと微笑んで、スーパーの方向へと背中を向けた。
俺も柊に背を向けて、スライムを探しに行こうと考えたのだが…。
「柊、俺もついて行って良いか?」
何だかわからないが、妙に嫌な予感がして、柊の背中に声を掛ける。
この嫌な予感の正体が何なのかは、はっきり言ってわからない。
「珍しいね。どういう風の吹き回し?」
柊は振り向いて、不思議そうに小首を傾げる。
そりゃ俺は買い物だったらコンビニ派な上、近頃は幼馴染と仲良さげなのを誰かに見られるのが恥ずかしいって理由で、柊とは少し距離を置いていた。
だからリアルであったならば、柊の買い物に付いていくなんて真似は、まずありえない。
「いや、その、あれだよ。魔物が出たら、俺が守ってやろうと思ってさ」
そう言ってホルスターから銃を抜き、古い刑事ドラマのなんちゃら刑事みたいな警戒小走りで柊の横まで移動した。
「何それ、おっかしいっ!あはは、それじゃあ裕ちゃんに身辺警護をお願いしちゃおうかな」
「おう、任せておけ」
俺の嫌な予感が杞憂に終わればそれでいい。
現実では関係性が希薄になった幼馴染とも、ゲーム内ならば幼い頃みたいな関係でいられる。
俺は周りの目を気にせず、NPCである柊と楽しく会話をしながら買い物に付き合った。
嫌な予感とかいう確実且つ明確なフラグを回収するのは、柊が10kgの米を背負った帰り道であった。
今度はスライムを一方的に倒してやるぜって意気揚々と外に出ると、隣の家から出て来た顔馴染みと出くわした。
癖の強い赤毛を、今日日あまり見掛けないおさげ髪にしたクリクリお目目のリス顔女子。
彼女こそ、我が幼馴染の柊京香その人である。
会話の内容から推察される通り、頭の上にはNPCと表示されている。
どうやら柊はNOT THE GAMEに登録していないか、まだNOT THE GAMEを始めていないらしい。
まあ、俺はサ開と同時に始めているから、後からログインする方が多数派だろう。
「今さっきスライムと戦って殺されかけた所だぜ。ほら、俺の後ろに扉が見えるだろ?あれは俺がスライムを倒した戦果って訳だ」
「扉?って何の事を言っているの?」
「は?あるだろ?扉が」
柊が不思議そうな顔をするので振り返ってみると、さっきまであった筈の青い扉が消えていた。
「宝箱の中身を全部取ったから消えたのか?あー、っと。俺の勘違いだったかもしれない」
「あはは。変な裕ちゃん」
笑う時に右手の袖で口元をおさえる仕草。
NOT THE GAMEは人の解像度が高過ぎて怖い。
会話の内容や頭の上にNPCと表示される事を除けば、本人と言われたって遜色ないぐらいの出来栄えだ。
この先AI技術が目覚ましい発展を遂げたとして、果たしてこの域まで達するのに、一体どれだけの時間が掛かるのだろうか。
そう考えると、NOT THE GAMEと作った人物は凄まじい金と権力を持った稀代の大天才なのかもしれない。
将又神か…なんてのは話が飛躍し過ぎだろう。
「外は魔物がいて危険だぜ?家の中にいた方が良いんじゃないか?」
「うん。だけどお米が切れちゃったから買い物に行かなきゃいけなくて」
如何にも柊が口にしそうな言葉だ。
柊の家は両親共に土日なんて関係無い多忙な人達だから、家事全般を柊が担当している。
柊の両親…特におじさんは大層な米好きで、家で食事をする時は相撲取りの如く白米を平らげるのだと聞いている。
だから柊が10kgの米を抱えてスーパーから帰っている姿は、窓から何度も目撃していた。
本当にここは現実世界なんじゃないのかってぐらいリアルだ―――。
「そうなのか。だったら魔物には気を付けて行ってこいよ」
「うん、ありがとう。いってきます」
柊はにこりと微笑んで、スーパーの方向へと背中を向けた。
俺も柊に背を向けて、スライムを探しに行こうと考えたのだが…。
「柊、俺もついて行って良いか?」
何だかわからないが、妙に嫌な予感がして、柊の背中に声を掛ける。
この嫌な予感の正体が何なのかは、はっきり言ってわからない。
「珍しいね。どういう風の吹き回し?」
柊は振り向いて、不思議そうに小首を傾げる。
そりゃ俺は買い物だったらコンビニ派な上、近頃は幼馴染と仲良さげなのを誰かに見られるのが恥ずかしいって理由で、柊とは少し距離を置いていた。
だからリアルであったならば、柊の買い物に付いていくなんて真似は、まずありえない。
「いや、その、あれだよ。魔物が出たら、俺が守ってやろうと思ってさ」
そう言ってホルスターから銃を抜き、古い刑事ドラマのなんちゃら刑事みたいな警戒小走りで柊の横まで移動した。
「何それ、おっかしいっ!あはは、それじゃあ裕ちゃんに身辺警護をお願いしちゃおうかな」
「おう、任せておけ」
俺の嫌な予感が杞憂に終わればそれでいい。
現実では関係性が希薄になった幼馴染とも、ゲーム内ならば幼い頃みたいな関係でいられる。
俺は周りの目を気にせず、NPCである柊と楽しく会話をしながら買い物に付き合った。
嫌な予感とかいう確実且つ明確なフラグを回収するのは、柊が10kgの米を背負った帰り道であった。
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