7 / 44
プロローグ
⑦
しおりを挟む
「NGワードが混ざっていたけれど、言いたい事は伝わったよ。だけれど、そんな事が可能なのだろうか?」
「不可能だろうね。少なくとも、現代の科学技術でどうこう出来る話じゃない。SFにしたってぶっ飛んだ内容だから。俺達よりも何世代も先の話か、そうじゃなければ、こんなの神の所業だよ。まあ、これはあくまで俺の推測であって、信じるか信じないかは東雲さん次第だよ」
「そう…だね…」
東雲鈴音の眉間に皺が寄る。
こんな非科学的な話をしても、普通は信じられないだろう。
俺が東雲鈴音狂人説を排除しないのと同様に、東雲鈴音も俺が嘘を吐いている可能性を排除しないだろう。
これは俺自身がそれを頭に入れて立ち回れば良いってだけの話。
他の誰かに信じて貰えなくたって、何の問題もない。
「私は成木原君の推測が正しいと思うよ。成木原君が私を騙そうとするとは思えないからね。寧ろ全面的に乗っかっても良いかな?」
「決断が早過ぎる。どうして同じ高校って以外に接点の無かった俺をそこまで信用出来るんだ」
普通、大して知りもしない奴は疑って掛かるよな?
俺が逆の立場だったら、絶対に疑う。
「どうしてって、私達はもう友達じゃないか。私は友達の言葉すら信じられないような不義理な人間になるつもりはないよ」
「は…?」
友達だから信じる?
その気持ちは嬉しくはあるけれど、あまりにも危うい。
何て純粋で危うい人間なんだ、東雲鈴音。
「あーもう、わかったよ!俺と東雲さんは今から友達だ!同じ考えを共有した者同士、協力してくれると助かる」
「やった!漸く私にもにゃんにゃん以外の友達が出来たぞ!目指せ友達100人だ!」
友達100人は、類い稀なるビジュを存分に発揮して、ヤリ目男を引っ掛ければ一瞬だと思うぞ。
東雲鈴音ならやりかねないから、決して口には出さないけれども。
「それじゃあ、友達として初めての共同作業って事で、試練の扉行ってみますか」
早い内に検証しておきたい事はある。
けれども、試練の扉の優先入場時間切れが迫っている。
ならば検証に時間を費やして誰かに横取りされるよりは、先に試練の扉をクリアして、その後で検証をした方が効率的だろう。
「そうしよう!嬉しいなぁ!私が前衛をやるから、成木原君は後衛を頼む」
「了解」
試練の扉VERY EASYは、地味な西洋風の木の扉だ。
東雲鈴音が開いて中に入ると、そこは灯りになる謎の鉱石が幾つも剥き出しになっている洞窟だった。
幅は学校の廊下と同じくらいか。
武器を構えながら慎重に先へ進むと、真っ直ぐ左右と三つ又に分かれた道に行きついた。
「ゲームにありがちな分岐路かな?」
「かもしれないね。どこに進もうか」
別のゲームだったら、【バトル】とか【ショップ】とか何かしらの目印があるのもだが、見た感じそういった物はなさそうだ。
「じゃんけんにするか」
「ほう…友達っぽいじゃないか。ルールは?」
「俺が勝ったら右、東雲さんが勝ったら左。あいこは真ん中で」
「自慢じゃないけれど、私はじゃんけんで一度も敗北を味わった事が無いんだ。これは左で決まりだね」
「自慢じゃないけど、俺はじゃんけん弱いぞ。最初はグー、じゃんけんぽん」
真ん中。
分岐を進むと、学校の教室ぐらい広い空間に行きついた。
ここまでの洞窟と違い、こちらから向こう側まで真っ直ぐに赤い絨毯が敷かれていて、中央には数時間前に俺を飲み込んだ憎き相手スライムがいた。
奴は近接職にとって非常に厄介な存在である。
スライムとガチバトル繰り広げた経験者として、ここは東雲鈴音にアドバイスといこう。
「スライムと戦った経験はあるか?」
「NOT THE GAMEを始めた直後に倒したよ。核が見えたから斬ったら一撃だった。ブラザーラビットLRと比べれば、非常に弱い魔物だったね」
「その通りだ。戦ろう」
危うく上級者を相手にゴミ以下の知識をひけらかして辱めを受けるところだったぜ。
人気MMOの新規サーバーだと、その手の輩が結構いる。
ちょっと齧った程度の無課金初心者なのに、お節介にも聞きかじりの知識をひけらかして。
苦笑気味に話を合わせてくれてた相手が初期サーバーから流れて来た移籍組だったってパターン。
あの一番恥ずかしいやつをやらかしちまうところだった。
東雲鈴音の言う通り、よく見ればスライムの体内に核が見えた。
武器種が銃の俺の場合、5mの距離から狙って一撃で仕留める事が出来た。
核が壊れるとスライムは溶ける様に絨毯に吸い込まれ、そこに木の宝箱が出現した。
青のオーブ:武器強化用の汎用素材。武器種は問わない。
「青はもう持っているから、東雲さんが使ってくれ」
「ありがとう。刀に重ねれば良いのかな?」
オーブと刀の鍔が光っている。鍔にオーブを重ねると、鍔の上下から僅かに飛び出す形でオーブが収まった。
「威力+3と耐力+5だそうだ。これは素晴らしい強化だね」
「どうやら同じ色のオーブでも個体差があるみたいだな。俺のオーブは威力+3と射程+2だった」
同じ色のオーブでも個体差がある。となると、オーブの厳選も必要になるんだろうか。
「不可能だろうね。少なくとも、現代の科学技術でどうこう出来る話じゃない。SFにしたってぶっ飛んだ内容だから。俺達よりも何世代も先の話か、そうじゃなければ、こんなの神の所業だよ。まあ、これはあくまで俺の推測であって、信じるか信じないかは東雲さん次第だよ」
「そう…だね…」
東雲鈴音の眉間に皺が寄る。
こんな非科学的な話をしても、普通は信じられないだろう。
俺が東雲鈴音狂人説を排除しないのと同様に、東雲鈴音も俺が嘘を吐いている可能性を排除しないだろう。
これは俺自身がそれを頭に入れて立ち回れば良いってだけの話。
他の誰かに信じて貰えなくたって、何の問題もない。
「私は成木原君の推測が正しいと思うよ。成木原君が私を騙そうとするとは思えないからね。寧ろ全面的に乗っかっても良いかな?」
「決断が早過ぎる。どうして同じ高校って以外に接点の無かった俺をそこまで信用出来るんだ」
普通、大して知りもしない奴は疑って掛かるよな?
俺が逆の立場だったら、絶対に疑う。
「どうしてって、私達はもう友達じゃないか。私は友達の言葉すら信じられないような不義理な人間になるつもりはないよ」
「は…?」
友達だから信じる?
その気持ちは嬉しくはあるけれど、あまりにも危うい。
何て純粋で危うい人間なんだ、東雲鈴音。
「あーもう、わかったよ!俺と東雲さんは今から友達だ!同じ考えを共有した者同士、協力してくれると助かる」
「やった!漸く私にもにゃんにゃん以外の友達が出来たぞ!目指せ友達100人だ!」
友達100人は、類い稀なるビジュを存分に発揮して、ヤリ目男を引っ掛ければ一瞬だと思うぞ。
東雲鈴音ならやりかねないから、決して口には出さないけれども。
「それじゃあ、友達として初めての共同作業って事で、試練の扉行ってみますか」
早い内に検証しておきたい事はある。
けれども、試練の扉の優先入場時間切れが迫っている。
ならば検証に時間を費やして誰かに横取りされるよりは、先に試練の扉をクリアして、その後で検証をした方が効率的だろう。
「そうしよう!嬉しいなぁ!私が前衛をやるから、成木原君は後衛を頼む」
「了解」
試練の扉VERY EASYは、地味な西洋風の木の扉だ。
東雲鈴音が開いて中に入ると、そこは灯りになる謎の鉱石が幾つも剥き出しになっている洞窟だった。
幅は学校の廊下と同じくらいか。
武器を構えながら慎重に先へ進むと、真っ直ぐ左右と三つ又に分かれた道に行きついた。
「ゲームにありがちな分岐路かな?」
「かもしれないね。どこに進もうか」
別のゲームだったら、【バトル】とか【ショップ】とか何かしらの目印があるのもだが、見た感じそういった物はなさそうだ。
「じゃんけんにするか」
「ほう…友達っぽいじゃないか。ルールは?」
「俺が勝ったら右、東雲さんが勝ったら左。あいこは真ん中で」
「自慢じゃないけれど、私はじゃんけんで一度も敗北を味わった事が無いんだ。これは左で決まりだね」
「自慢じゃないけど、俺はじゃんけん弱いぞ。最初はグー、じゃんけんぽん」
真ん中。
分岐を進むと、学校の教室ぐらい広い空間に行きついた。
ここまでの洞窟と違い、こちらから向こう側まで真っ直ぐに赤い絨毯が敷かれていて、中央には数時間前に俺を飲み込んだ憎き相手スライムがいた。
奴は近接職にとって非常に厄介な存在である。
スライムとガチバトル繰り広げた経験者として、ここは東雲鈴音にアドバイスといこう。
「スライムと戦った経験はあるか?」
「NOT THE GAMEを始めた直後に倒したよ。核が見えたから斬ったら一撃だった。ブラザーラビットLRと比べれば、非常に弱い魔物だったね」
「その通りだ。戦ろう」
危うく上級者を相手にゴミ以下の知識をひけらかして辱めを受けるところだったぜ。
人気MMOの新規サーバーだと、その手の輩が結構いる。
ちょっと齧った程度の無課金初心者なのに、お節介にも聞きかじりの知識をひけらかして。
苦笑気味に話を合わせてくれてた相手が初期サーバーから流れて来た移籍組だったってパターン。
あの一番恥ずかしいやつをやらかしちまうところだった。
東雲鈴音の言う通り、よく見ればスライムの体内に核が見えた。
武器種が銃の俺の場合、5mの距離から狙って一撃で仕留める事が出来た。
核が壊れるとスライムは溶ける様に絨毯に吸い込まれ、そこに木の宝箱が出現した。
青のオーブ:武器強化用の汎用素材。武器種は問わない。
「青はもう持っているから、東雲さんが使ってくれ」
「ありがとう。刀に重ねれば良いのかな?」
オーブと刀の鍔が光っている。鍔にオーブを重ねると、鍔の上下から僅かに飛び出す形でオーブが収まった。
「威力+3と耐力+5だそうだ。これは素晴らしい強化だね」
「どうやら同じ色のオーブでも個体差があるみたいだな。俺のオーブは威力+3と射程+2だった」
同じ色のオーブでも個体差がある。となると、オーブの厳選も必要になるんだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ミックスブラッドオンライン・リメイク
マルルン
ファンタジー
ある日、幼馴染の琴音に『大学進学資金』の獲得にと勧められたのは、何と懸賞金付きのVRMMOの限定サーバへの参加だった。名前は『ミックスブラッドオンライン』と言って、混血がテーマの一風変わったシステムのゲームらしい。賞金の額は3億円と破格だが、ゲーム内には癖の強い振るい落としイベント&エリアが満載らしい。
たかがゲームにそんな賞金を懸ける新社長も変わっているが、俺の目的はどちらかと言えば沸点の低い幼馴染のご機嫌取り。そんな俺たちを待ち構えるのは、架空世界で巻き起こる破天荒な冒険の数々だった――。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる