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プロローグ
⑥
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「すまない。大変言い辛いのだが、これからにゃんにゃんとお出掛けする予定があってね。友達の誘いを断るのは痛恨の極みなのだが、そろそろログアウトしなければならないのだ」
「あー、リアルが優先は当然ですからね。横殴りで報酬貰うみたいで申し訳ないですけど、こいつは俺が貰っちゃいます」
NOT THE GAME内の体感時間は現実世界の12倍に引き延ばされているらしい。
ステータスに表示される時計を見ると、時刻は14時08分。
俺はサ開直後から始めていたから、リアルだと12時10分ぐらいか。
リアルの予定の前に、どんなものかと遊んでみたって感じだったのかな。
…ん?
予定があるのに未知のゲームにログインしただと…?
しかも予定があるのに2時間強もプレイしただと…?
体感時間云々の話が事実かどうかも定かでは無いのに…?
やっぱり東雲鈴音は少し…いや、かなりズレてるんじゃないだろうか?
「すまない。本当にすまない。大切な友達の誘いを無下にする私を嫌いにならないでくれ。頼む!私以外の全てが嫌いでも私の事を嫌いにならないでくれ!」
「わかった!嫌いにならないけど、必死過ぎて怖い!取り敢えず、予定があるならさっさとログアウトした方が良いんじゃないですか?友達になるのは保留だけれども」
「そ、そうだね。それでは、私は行くとするよ。また一緒に遊んでくれると嬉しい。それと、よそよそしいから敬語は使わないでくれると嬉しい。私達は同学年だし、先輩も後輩もないからね。またね」
「敬語NGか。そうしま…そうするよ。また」
さて、東雲鈴音がログアウトした訳だが、ログアウトした後の彼女はNPCになるのだろうか。
そうだとしたら、NPCの東雲鈴音を連れて試練の扉に挑むって選択肢もあるのか?
試練の扉ってのは、想像するに魔物が出現するエリアなのだろう。
柊のNPCといる時には魔物とエンカウントしなかったから、NPCが魔物と戦えるかどうかはわからないんだよな。
「ま、考えてても仕方がないか。さっさと中に入るとしよう」
振り向いて扉の取っ手に手を伸ばす。
すると、あまりにも予想していなかった展開が起きた。
「おや、成木原君じゃないか。『NGワードが含まれています』戻ってきてみれば、まだいるなんて。もしかして私が戻るのをずっと待っていてくれたのかい!?友達って素敵だね!感動だよ!」
「は?」
何を言ってるんだ、この人は。
それにNGワードって何だよ。
東雲鈴音が差別用語か下ネタでもぶっこんだのか?
「そういうのいいから。さっさとログアウトしないと予定に遅れるぞ」
「私はもう『NGワードが含まれています』から予定は無いよ」
「またNGワードって…。一体どんな卑猥な言葉を言ってるんだ?」
「そんな事は言わないよ。とにかくこれからの私は就寝までフリーだよ!友達同士、存分に遊ぼうじゃないか!」
話が全然噛み合わないのだが。
こいつは一体、どういう事だ?
「ちょっと話を整理したいのだけれど、良いかな?」
「勿論だとも。私と成木原君の仲じゃないか」
「俺と東雲さんの仲はお馬鹿コメンテーターが話す聞きかじりの知識ぐらい浅いけれども…。まあ、それは老いといて」
まずは何から聞いていくべきか。
「さっきから東雲さんの発言にNGワードが含まれていますって音声が混ざってるのだけれど、自覚はあるかな?」
「いいや、私は普通に喋れているよ」
「なるほど。因みに差別用語や卑猥な言葉は喋っていないんだよな?」
「当然さ。友達を渇望している私が人を不快にさせる様な発言をすると思うかい?」
「あー、そう言われると説得力があるな…」
東雲鈴音は差別用語でも卑猥な言葉でもなく、別の何かを口にしてNGワードに引っ掛かっている。
それが一体何か…。
会話の内容を思い出してみよう。
確か最初は【NGワード】戻ってきたら俺がまだいた、もしかして自分が戻るのを待っていたのか?だったか。
2回目が自分はもう【NGワード】から予定は無い、だったかな。
ありそうなのは【急に予定が無くなったから戻って来た】だろうか。
いや、だとしたら戻ってくるのが早過ぎる。
一番可能性が高いのは、東雲鈴音には始めから予定なんかなく。
ログアウトしたのも虚言って説なんだが…。
幾ら東雲鈴音が奇人変人狂人だったとしても、嘘を吐いているようには見えない。
本物の狂人説もワンチャンスなくはなさそうだけれども…。
あとは考え得るのは…。
「未来で起こった出来事…?なんてな」
有り得ない。
自分で口にして馬鹿馬鹿しいとしか思えない。
こんなことを本気で言っていたら、俺の方が狂人みたいじゃないか。
「成木原君、NGワードに引っ掛かったみたいだよ」
「マジかよ…」
これがNGワードって事は、つまりこうだな。
「まず大前提として、俺は東雲さんの帰りを待ってはいなかった。けれども東雲さんは俺が待っていたのだと認識した。それもリアクションを見るに、俺が何時間も待っていたって反応だった。つまり東雲さんは、現実世界で招木猫さんと遊んでからNOT THE GAMEにログインしたのだろう。そうしたら、まだ俺がいた。またねと言って何時間も前にログアウトした場所に俺がいるんだから、そりゃあ驚くに決まっている。普通だったらストーカーかと気色悪がられても仕方がないぐらいだからね」
「ストーカーだなんて思わないけれど…それは良いとして、待ってくれ。NGワードだらけで理解が追い付かないんだ」
NGワードだらけって事は、俺の仮説が正しい…かもしれないって事だ。
そうなると、NOT THE GAME内で詳しい説明をするのは難しいだろう。
俺の気付いた内容を東雲鈴音に伝える確実且つ手っ取り早い方法は…そうだ。
「試練の扉にある時間を見てくれ」
「わかった。ええと、優先入場権の残り時間が…3分18秒…?これって…」
「NOT THE GAME内の時間とリアルの時間は乖離している可能性が高いんじゃないかな?」
「あー、リアルが優先は当然ですからね。横殴りで報酬貰うみたいで申し訳ないですけど、こいつは俺が貰っちゃいます」
NOT THE GAME内の体感時間は現実世界の12倍に引き延ばされているらしい。
ステータスに表示される時計を見ると、時刻は14時08分。
俺はサ開直後から始めていたから、リアルだと12時10分ぐらいか。
リアルの予定の前に、どんなものかと遊んでみたって感じだったのかな。
…ん?
予定があるのに未知のゲームにログインしただと…?
しかも予定があるのに2時間強もプレイしただと…?
体感時間云々の話が事実かどうかも定かでは無いのに…?
やっぱり東雲鈴音は少し…いや、かなりズレてるんじゃないだろうか?
「すまない。本当にすまない。大切な友達の誘いを無下にする私を嫌いにならないでくれ。頼む!私以外の全てが嫌いでも私の事を嫌いにならないでくれ!」
「わかった!嫌いにならないけど、必死過ぎて怖い!取り敢えず、予定があるならさっさとログアウトした方が良いんじゃないですか?友達になるのは保留だけれども」
「そ、そうだね。それでは、私は行くとするよ。また一緒に遊んでくれると嬉しい。それと、よそよそしいから敬語は使わないでくれると嬉しい。私達は同学年だし、先輩も後輩もないからね。またね」
「敬語NGか。そうしま…そうするよ。また」
さて、東雲鈴音がログアウトした訳だが、ログアウトした後の彼女はNPCになるのだろうか。
そうだとしたら、NPCの東雲鈴音を連れて試練の扉に挑むって選択肢もあるのか?
試練の扉ってのは、想像するに魔物が出現するエリアなのだろう。
柊のNPCといる時には魔物とエンカウントしなかったから、NPCが魔物と戦えるかどうかはわからないんだよな。
「ま、考えてても仕方がないか。さっさと中に入るとしよう」
振り向いて扉の取っ手に手を伸ばす。
すると、あまりにも予想していなかった展開が起きた。
「おや、成木原君じゃないか。『NGワードが含まれています』戻ってきてみれば、まだいるなんて。もしかして私が戻るのをずっと待っていてくれたのかい!?友達って素敵だね!感動だよ!」
「は?」
何を言ってるんだ、この人は。
それにNGワードって何だよ。
東雲鈴音が差別用語か下ネタでもぶっこんだのか?
「そういうのいいから。さっさとログアウトしないと予定に遅れるぞ」
「私はもう『NGワードが含まれています』から予定は無いよ」
「またNGワードって…。一体どんな卑猥な言葉を言ってるんだ?」
「そんな事は言わないよ。とにかくこれからの私は就寝までフリーだよ!友達同士、存分に遊ぼうじゃないか!」
話が全然噛み合わないのだが。
こいつは一体、どういう事だ?
「ちょっと話を整理したいのだけれど、良いかな?」
「勿論だとも。私と成木原君の仲じゃないか」
「俺と東雲さんの仲はお馬鹿コメンテーターが話す聞きかじりの知識ぐらい浅いけれども…。まあ、それは老いといて」
まずは何から聞いていくべきか。
「さっきから東雲さんの発言にNGワードが含まれていますって音声が混ざってるのだけれど、自覚はあるかな?」
「いいや、私は普通に喋れているよ」
「なるほど。因みに差別用語や卑猥な言葉は喋っていないんだよな?」
「当然さ。友達を渇望している私が人を不快にさせる様な発言をすると思うかい?」
「あー、そう言われると説得力があるな…」
東雲鈴音は差別用語でも卑猥な言葉でもなく、別の何かを口にしてNGワードに引っ掛かっている。
それが一体何か…。
会話の内容を思い出してみよう。
確か最初は【NGワード】戻ってきたら俺がまだいた、もしかして自分が戻るのを待っていたのか?だったか。
2回目が自分はもう【NGワード】から予定は無い、だったかな。
ありそうなのは【急に予定が無くなったから戻って来た】だろうか。
いや、だとしたら戻ってくるのが早過ぎる。
一番可能性が高いのは、東雲鈴音には始めから予定なんかなく。
ログアウトしたのも虚言って説なんだが…。
幾ら東雲鈴音が奇人変人狂人だったとしても、嘘を吐いているようには見えない。
本物の狂人説もワンチャンスなくはなさそうだけれども…。
あとは考え得るのは…。
「未来で起こった出来事…?なんてな」
有り得ない。
自分で口にして馬鹿馬鹿しいとしか思えない。
こんなことを本気で言っていたら、俺の方が狂人みたいじゃないか。
「成木原君、NGワードに引っ掛かったみたいだよ」
「マジかよ…」
これがNGワードって事は、つまりこうだな。
「まず大前提として、俺は東雲さんの帰りを待ってはいなかった。けれども東雲さんは俺が待っていたのだと認識した。それもリアクションを見るに、俺が何時間も待っていたって反応だった。つまり東雲さんは、現実世界で招木猫さんと遊んでからNOT THE GAMEにログインしたのだろう。そうしたら、まだ俺がいた。またねと言って何時間も前にログアウトした場所に俺がいるんだから、そりゃあ驚くに決まっている。普通だったらストーカーかと気色悪がられても仕方がないぐらいだからね」
「ストーカーだなんて思わないけれど…それは良いとして、待ってくれ。NGワードだらけで理解が追い付かないんだ」
NGワードだらけって事は、俺の仮説が正しい…かもしれないって事だ。
そうなると、NOT THE GAME内で詳しい説明をするのは難しいだろう。
俺の気付いた内容を東雲鈴音に伝える確実且つ手っ取り早い方法は…そうだ。
「試練の扉にある時間を見てくれ」
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