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第一章 大いなる海竜種
11 鍛冶屋にて
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カフェを出た後、魔術に使う道具を見に行きたいというメイはレヴィさんとハルイチさんに任せ、俺はベネディクトとラン、そしてワーナーさんと共に鍛冶屋に来ていた。
師匠に貰って以来、鍛冶屋でしっかりと研がずにセルフで手入れをしていた俺の刀は、竜を斬った事により、限界を迎えていたからだ。
それに貰ってからこれまで一度も鍛冶屋に手入れに出したことは無い。
……少し言い訳をすると、どの鍛冶屋に見せてもこの刀はうちでは扱えないと追い返された、というのがあるのだが。今思えば霊術に使う霊刀であったからだとわかる。
ハルイチさん曰く、霊刀故にこれまで何を斬っても自分の手入れでなんとかなってきたが竜のような高等な生物を斬ったため、流石の霊刀も手入れで修復は出来ないらしい。
迷路のような路地を歩き、もう何本目かもわからない橋を渡った先の、ひっそりと佇む扉をベネディクトが押し開ける。
ぎぎ、と重く開いた扉から、薄暗い店内に光が伸びる。
おお、なんかすごい隠れ家感。
「おーい、ハヤト、いるかー?」
ベネディクトの声が響き、店内が意外と広い事に気付いた。
その声の余韻が収まっていく中、ドタドタと慌ただしい足音が聞こえてきて、バンッと奥の扉が開く。
ちょっと勢いが良過ぎて扉が壊れていないか心配になった。大丈夫それ? なんかミシッて音も聞こえたけど。
「はいっ、いますっ。呼びましたねっ!?」
息を切らして騒がしく出てきた少年が元気よく声を上げた。
彼は視線はこちらのままにまたバンッと扉を閉める。だからそれ大丈夫? 今度はバキッていったよそれ?
その音に心配そうに扉を見たベネディクトは切り替えてああ呼んだぞ、と笑うと、俺の“雪華”を指差す。
「こいつの刀を研いでもらいたいんだが、頼めるか?」
「かたな、ですか?」
ハヤトと呼ばれた彼はまじまじと俺が手渡した刀を様々な角度から眺めた。何やらぶつぶつと話している。
「なるほど、霊刀ですね。かなり切れ味が鈍っているようで……。もしや、昨日竜を斬り伏せたという噂の旅人はあなたですね? ははあ、なるほどなるほど……」
その様子を見ながら、ベネディクトに小さく聞く。
「あのハヤトっていう子、ここの店員なのか? なんかそれにしては詳しい事ごにょごにょ言ってるけど……」
「ハヤトが店員? いんや、あいつは立派なここの店主だぜ。確かに若いけど、腕は確かだ。なんてったってここは王族御用達の店だからな。産まれる前から武器を作ってるようなもんだ」
「まじか。産まれる前からの鍛冶屋って訳だな」
多分歳は俺より少し下なのになんか手に職付けてるって感じがしてカッコいい。
ボソボソと話していると、ずっと“雪華”を眺めていたハヤトは、了解ですっ、と微笑んだ。
「お任せください。完璧に研ぎ上げて見せますよ」
お願いしますと頭を下げると、彼ははいっ、と返した。そして奥の扉を指した。
「ご覧になりますか?」
「いいんですか?」
開いたままの扉を見て問い返す。鍛冶屋は自分の作業してるところを見られたくない、というイメージがあったからだ。因みにこれは和ノ国の鍛冶屋が大体そうだったというのがある。
「はいっ。同業者はよく、特に霊具なんてなると気が散ったら危ないので見られるのを嫌がるんですけどねっ。
僕はむしろ、相棒がまた綺麗になっていく様を見るべきだと思うんですっ。
普通の武器もそうですが、霊具ならなおさらですっ。その方がもっと武器と心が通じ合えると思うんですっ。だって、霊具には魂が宿ってるからっ」
ああ、本当にこの子は武器が好きで好きで、愛しているんだな。彼のような職人に相棒を託せるのが嬉しくなってきた。
元気よく、そしてキラキラと目を輝かせて訴える彼にならばお言葉に甘えるという由を伝えた。
ちゃぷん、と霊薬を溶かした水が波紋を立てる。
そのそばでは、刀身が丁寧に、それでいて力強く研がれていく。
腕まくりをしたハヤトの腕は服に覆われている時よりも頼もしく見え、彼が鍛冶屋として一級の腕前を持つことがよくわかる。
その腕が何度も繰り返し研ぐ音だけが響き、辺りを神聖な空気が包む。まるで、神に対する儀式のように。
ぼんやりと霊気で光っている刀身は、研がれる度にその輝きを増していくように見えた。
どれ程時間が経っただろうか。窓から橙色の光が射し込む頃、研いだカタナを持ち上げ、その陽の光に当てたハヤトはよし、と小さく呟くと俺に向き直った。
「研ぎ終わりましたっ」
そう言って渡された刀は彼に預けた時よりも輝いて、刀身が厚くなっている。
え、ハヤト研いでただけだよな!? なんで研いで刀身が厚くなってるんだ!?
「霊刀というのはですねっ、他の刀とは違って、研ぐと小さくならずに全部元通りになるんですよっ」
初めて知った。……本当に、俺は自分が使っている霊術について、何も知らないんだな。
そう素直に話すと、彼はさらりとそのブロンズヘアーを揺らして
「とは言っても霊刀なんて初めて見たので、本での知識なんですけどねっ。失われた霊術は文献にも中々残ってませんからっ。元気出してくださいっ」
と笑った。
明るく言うその声に思わず笑みがこぼれた。
ハヤトに連れられて店の奥から戻ると、ベネディクトとワーナーさんは店内に並べられた武器を熱心に見ていた。……ランは部屋の隅に置いてある椅子で居眠りをしていたが。ルリが器用にその頭に乗っかっている。
もう、ホントルリってば可愛いなぁ!
「お、終わったか?」
「ああ。凄く美人になって返ってきた」
ちょっと茶目っ気を入れて返すとよかったな、と声を掛けてきたベネディクトは微笑んだ。彼はハヤトにも声を掛ける。
「ハヤト、ありがとな」
「いえいえっ。むしろ霊刀を研げてこちらがお礼を言いたいくらいですっ」
そこまで聞いて、俺ははっと慌てて財布を取り出した。
お代は幾らだろうか。霊刀ってそんなに特殊なら料金もかさんだりする? 大丈夫かなお金足りるかな。
それを見た彼は手と首を千切れんばかりにブンブンと振って、要らないと言う。
「僕は霊刀を研ぐという貴重な経験を貰ったんです。お代なんて貰えませんよ」
「え、でも……」
「本人がこう言ってるんだからありがたくそうさせてもらうのが心遣いってもんですよォ」
ワーナーさんの言葉にハヤトには礼を言ってそうさせてもらうことにした。
彼は次研ぐ時もぜひうちにいらしてください、と笑った。
つくづく思ってたけどこの子ホントいい子! 優しい! こんな弟欲しかった! メイも可愛いけど!
それを見届けたベネディクトがハヤトに手に持ったナイフを示す。ワーナーさんも同じくだ。
「ハヤト、俺はこのナイフもらっていいか?」
「俺もお願いします」
「いいですけどっ……。こないだ売ったのはどうしたんですかっ?」
首を傾げたハヤトにベネディクトは言いづらそうに視線を彷徨わせる。
なんか後ろめたいことでもあるのか?
やがてポツリと言った。
「……好奇心だったんだ」
「正直に言いなさいっ」
「ドラゴンクッキングに挑戦したら折れました」
「……前から思ってましたけどあなたたち二人ってけっこうばかですよねっ」
無邪気に言い放つハヤトにベネディクトとワーナーさんがあからさまに傷付いた顔をする。
ごめん、同じことされたら俺も傷付くけどこれは流石に二人共馬鹿としか言えないわ。
師匠に貰って以来、鍛冶屋でしっかりと研がずにセルフで手入れをしていた俺の刀は、竜を斬った事により、限界を迎えていたからだ。
それに貰ってからこれまで一度も鍛冶屋に手入れに出したことは無い。
……少し言い訳をすると、どの鍛冶屋に見せてもこの刀はうちでは扱えないと追い返された、というのがあるのだが。今思えば霊術に使う霊刀であったからだとわかる。
ハルイチさん曰く、霊刀故にこれまで何を斬っても自分の手入れでなんとかなってきたが竜のような高等な生物を斬ったため、流石の霊刀も手入れで修復は出来ないらしい。
迷路のような路地を歩き、もう何本目かもわからない橋を渡った先の、ひっそりと佇む扉をベネディクトが押し開ける。
ぎぎ、と重く開いた扉から、薄暗い店内に光が伸びる。
おお、なんかすごい隠れ家感。
「おーい、ハヤト、いるかー?」
ベネディクトの声が響き、店内が意外と広い事に気付いた。
その声の余韻が収まっていく中、ドタドタと慌ただしい足音が聞こえてきて、バンッと奥の扉が開く。
ちょっと勢いが良過ぎて扉が壊れていないか心配になった。大丈夫それ? なんかミシッて音も聞こえたけど。
「はいっ、いますっ。呼びましたねっ!?」
息を切らして騒がしく出てきた少年が元気よく声を上げた。
彼は視線はこちらのままにまたバンッと扉を閉める。だからそれ大丈夫? 今度はバキッていったよそれ?
その音に心配そうに扉を見たベネディクトは切り替えてああ呼んだぞ、と笑うと、俺の“雪華”を指差す。
「こいつの刀を研いでもらいたいんだが、頼めるか?」
「かたな、ですか?」
ハヤトと呼ばれた彼はまじまじと俺が手渡した刀を様々な角度から眺めた。何やらぶつぶつと話している。
「なるほど、霊刀ですね。かなり切れ味が鈍っているようで……。もしや、昨日竜を斬り伏せたという噂の旅人はあなたですね? ははあ、なるほどなるほど……」
その様子を見ながら、ベネディクトに小さく聞く。
「あのハヤトっていう子、ここの店員なのか? なんかそれにしては詳しい事ごにょごにょ言ってるけど……」
「ハヤトが店員? いんや、あいつは立派なここの店主だぜ。確かに若いけど、腕は確かだ。なんてったってここは王族御用達の店だからな。産まれる前から武器を作ってるようなもんだ」
「まじか。産まれる前からの鍛冶屋って訳だな」
多分歳は俺より少し下なのになんか手に職付けてるって感じがしてカッコいい。
ボソボソと話していると、ずっと“雪華”を眺めていたハヤトは、了解ですっ、と微笑んだ。
「お任せください。完璧に研ぎ上げて見せますよ」
お願いしますと頭を下げると、彼ははいっ、と返した。そして奥の扉を指した。
「ご覧になりますか?」
「いいんですか?」
開いたままの扉を見て問い返す。鍛冶屋は自分の作業してるところを見られたくない、というイメージがあったからだ。因みにこれは和ノ国の鍛冶屋が大体そうだったというのがある。
「はいっ。同業者はよく、特に霊具なんてなると気が散ったら危ないので見られるのを嫌がるんですけどねっ。
僕はむしろ、相棒がまた綺麗になっていく様を見るべきだと思うんですっ。
普通の武器もそうですが、霊具ならなおさらですっ。その方がもっと武器と心が通じ合えると思うんですっ。だって、霊具には魂が宿ってるからっ」
ああ、本当にこの子は武器が好きで好きで、愛しているんだな。彼のような職人に相棒を託せるのが嬉しくなってきた。
元気よく、そしてキラキラと目を輝かせて訴える彼にならばお言葉に甘えるという由を伝えた。
ちゃぷん、と霊薬を溶かした水が波紋を立てる。
そのそばでは、刀身が丁寧に、それでいて力強く研がれていく。
腕まくりをしたハヤトの腕は服に覆われている時よりも頼もしく見え、彼が鍛冶屋として一級の腕前を持つことがよくわかる。
その腕が何度も繰り返し研ぐ音だけが響き、辺りを神聖な空気が包む。まるで、神に対する儀式のように。
ぼんやりと霊気で光っている刀身は、研がれる度にその輝きを増していくように見えた。
どれ程時間が経っただろうか。窓から橙色の光が射し込む頃、研いだカタナを持ち上げ、その陽の光に当てたハヤトはよし、と小さく呟くと俺に向き直った。
「研ぎ終わりましたっ」
そう言って渡された刀は彼に預けた時よりも輝いて、刀身が厚くなっている。
え、ハヤト研いでただけだよな!? なんで研いで刀身が厚くなってるんだ!?
「霊刀というのはですねっ、他の刀とは違って、研ぐと小さくならずに全部元通りになるんですよっ」
初めて知った。……本当に、俺は自分が使っている霊術について、何も知らないんだな。
そう素直に話すと、彼はさらりとそのブロンズヘアーを揺らして
「とは言っても霊刀なんて初めて見たので、本での知識なんですけどねっ。失われた霊術は文献にも中々残ってませんからっ。元気出してくださいっ」
と笑った。
明るく言うその声に思わず笑みがこぼれた。
ハヤトに連れられて店の奥から戻ると、ベネディクトとワーナーさんは店内に並べられた武器を熱心に見ていた。……ランは部屋の隅に置いてある椅子で居眠りをしていたが。ルリが器用にその頭に乗っかっている。
もう、ホントルリってば可愛いなぁ!
「お、終わったか?」
「ああ。凄く美人になって返ってきた」
ちょっと茶目っ気を入れて返すとよかったな、と声を掛けてきたベネディクトは微笑んだ。彼はハヤトにも声を掛ける。
「ハヤト、ありがとな」
「いえいえっ。むしろ霊刀を研げてこちらがお礼を言いたいくらいですっ」
そこまで聞いて、俺ははっと慌てて財布を取り出した。
お代は幾らだろうか。霊刀ってそんなに特殊なら料金もかさんだりする? 大丈夫かなお金足りるかな。
それを見た彼は手と首を千切れんばかりにブンブンと振って、要らないと言う。
「僕は霊刀を研ぐという貴重な経験を貰ったんです。お代なんて貰えませんよ」
「え、でも……」
「本人がこう言ってるんだからありがたくそうさせてもらうのが心遣いってもんですよォ」
ワーナーさんの言葉にハヤトには礼を言ってそうさせてもらうことにした。
彼は次研ぐ時もぜひうちにいらしてください、と笑った。
つくづく思ってたけどこの子ホントいい子! 優しい! こんな弟欲しかった! メイも可愛いけど!
それを見届けたベネディクトがハヤトに手に持ったナイフを示す。ワーナーさんも同じくだ。
「ハヤト、俺はこのナイフもらっていいか?」
「俺もお願いします」
「いいですけどっ……。こないだ売ったのはどうしたんですかっ?」
首を傾げたハヤトにベネディクトは言いづらそうに視線を彷徨わせる。
なんか後ろめたいことでもあるのか?
やがてポツリと言った。
「……好奇心だったんだ」
「正直に言いなさいっ」
「ドラゴンクッキングに挑戦したら折れました」
「……前から思ってましたけどあなたたち二人ってけっこうばかですよねっ」
無邪気に言い放つハヤトにベネディクトとワーナーさんがあからさまに傷付いた顔をする。
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