チカとはーちゃん ~どこだってふたりなら~

やぎのすけまる

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5日目 ふたつにひとつ

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「悩ましいな・・・。」

私は今、重大な選択を迫られています。
右と左、どちらを選ぶべきか。人生最大の選択と言っても過言ではないでしょう。

「過言だよはーちゃん。」

おや、声に出ていたようですね。
でもそれも仕方ないでしょう。だって、どちらもこんなに魅力的なのですから。

「あー、ダメだ!選べない!」
「大げさだなー。こういうのは直感だよはーちゃん。」

そうは言っても、選べないものは選べないのです。
だってこんな・・・こんな・・・

「『世界のオモシロイ落ち葉100選』と『大解明!イチバン硬い鱗!』、どっちも読みたいに決まってる!ねえチカ!どっちがいいかな!」
「うーん、どっちでもいいんじゃない?」

コイツめ・・・。私が本気で悩んでいるというのに、全く興味が無いようです。

「そういうチカはもう決まったのか?」
「もっちろん!前呼んだヤツの続きがあったから、今回はコレにするよ!」

そう言ってチカが掲げた本は、たしかに見覚えがあるタイトルでした。

「それ続きあったんだ。確かに面白かったよな。」
「そうでしょそうでしょ!うーん、はやく読みたいなー!」

だから早く決めて、とでも言いたげな視線が私に突き刺さります。
確かに、このままグズグズしているわけにはいきません。

「もうどっちも持ってっちゃえば?」
「・・・それはダメ。」

日ごろから、なるべく無駄な物は積むなと彼女に言いつけています。
そんな私が、自分だけ甘えたことをするわけにはいきません。

「んー、それじゃあさ、今日はここに泊まっちゃおうよ!」
「へ?」
「それで今日どっちか読んで、読まなかった方を持っていけばいいじゃん!」
「え、でも。」
「私もひとつ多く読めるってことでしょ?ラッキー!」
「・・・ありがと。」


そんなわけで、今日はここに泊まることになりました。
なんだか甘やかされてしまって、嬉しいやら悔しいやら。

何かお礼でもしないと気が収まりません。
ここは例のアレを渡す好機と見ました。さあ受け取るがいい。

「チカ。」
「んー。」

生返事。
私が声を掛けても、本に夢中になっている彼女の視線は下を向いたまま。

「チカ。」
「なーにー。」

また生返事。少しくらいこっちを向きなさい。
こうなれば。

「あげる。」

彼女と本の間にソレを差し出しました。
これなら嫌でも視界に入るでしょう。

「うわあなになに!なにも見えないってば!」

おっと、さすがに近すぎたみたいですね。わざとではありませんよ。
顔を上げた彼女に、改めて差し出します。

「これあげる。」
「わ、なにこれカワイイ!」

それは、黄色い葉っぱが挟まった透明な薄い板。
以前イチョウ並木に立ち寄った時に拾ってきたイチョウの葉を乾燥させて、これまた以前拾っていたプラスチックケースに挟んでみました。
植物を乾燥させて保存する方法を読んだことがあったので試してみたのですが、上手くいってよかったです。
渡すタイミングを伺っていましたが、ちょうど良い機会でしたね。
こう見えて彼女は物語が好きなので、栞代わりになるでしょう。

「これって、この前のイチョウだよね。」
「そう。試しに作ってみた。」
「わー!ありがとうはーちゃん!」

照れ臭くて、いつもよりも雑に渡してしまいましたが、喜んでくれたようでなによりです。

「へへ。ほらはーちゃん。」

嬉しそうに笑いながら、チカが自分の隣をポンポンと叩きます。

「ん。」

私が隣に腰を下ろすと、彼女は満足そうな表情を見せて、再び物語の世界に戻っていきました。
さて、私もめくるめく不思議の世界に飛び立つとしましょう。
今日はちょっとだけ夜更かしすることになりそうです。



さて、ここでひとつ重大な問題が。
「チカ!大変だ!どっちを読もう!」
「もー!どっちでもいいよー!」

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