夢唄~dreaming memorial~

瑠璃

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2人カラオケ

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「いらっしゃ…あら、今日は珍しく2人なんですね」
店員さんが私達を見て言う。
「これから金曜日は2人なんです」
嬉しそうに私が言うと、彼は少し照れて俯いた。
部屋に入り少し沈黙してから、彼が画面操作を始める。
彼が入れたのは「please love me」洋楽のバラード。
愛していると言って抱きしめて欲しいという孤独を感じる少女の歌。
やっぱり素敵な声でおまけに発音も完璧だった。
でも、歌っている時の彼の表情は何となく寂しげだった。
まあバラード歌うときは普通なのか…な?
わたしは彼の日本人離れした容姿と完璧な発音からふと思い聞いてみた。
「もしかして奏多君ってハーフ?」
「……ん」
彼は今にも消えそうな声で頷いた。
「ごめんっ、何かいけないこと聞いたかな…?」
「……別に。親離婚して母親に引き取られたから…外人だったのは父親」
私は悪い雰囲気を断ち切ろうと歌を歌った。
その後は彼も歌を歌ってくれた。
引きずってないみたいで良かった。
その時部屋の電話がなって私が出る。
「はい」
「お時間終了10分前になります」
「わかりました」
電話を切ると彼は
「最後、歌っていいよ」
といった。
私は一番大好きな「支え」を入れた。
彼は聞きながら微笑んでくれた。
会計を済ませて外に出る。
「奏多君って笑うんだね」
「えっ?」
「さっき歌ってる時笑ってくれたから」
「無意識だった…普段はあんまり嬉しくならないから。」
彼は頬を赤くしていった。
「これから思いっきり奏多君笑顔に出来るように頑張る!」
「…ありがと」
そんな会話しながら駅へ向かった。
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