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笑顔は誰に向けられる?
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メイド達は時々里帰りをする。お土産のお菓子を広げながら、よく休憩時間にお茶をする。
「ねえねえ!最近のセオドア様、ちょっと変わったと思わない?」
セオドア様の名前が出た!とドキッとする。メイド仲間たちがお菓子をつまみつつ、いつもの他愛ない会話を楽しんでいて、いつもの会話じゃないの。ドキドキするなんて……。
「わかる~、前よりやわらかい雰囲気よね」
「話しかけると返してくれるし」
ヒョイッと口に小さな焼き菓子をいれて、美味しい!誰が持ってきてくれたやつ?と聞いている。わたしは一言も発せられず、ジッとお茶のカップを持ったまま、皆の話を聞き続ける。
「こないだ、セオドア様に頼まれたものを持って行ったらありがとうってお礼言われたのよ!」
えー!キャー!となる部屋。
「冷たい感じも素敵だったけど、近寄りがたかったわよね」
うんうんと皆が頷く。
「話しかけやすくなったし、私、いっちゃおっかなー」
「狙うの!?ずるい!あたしだってー!」
「あの綺麗な顔立ちの笑顔って絶対良いわよね。見てみたいわ!頑張っちゃう!?」
皆の話題になぜか口を挟めない。いつもなら相槌くらいうてるのに。
どうしよう。なんでこんなに胸が苦しいのかしら……『そうね。わたしもセオドア様、素敵だと思うわ』って言えば良いじゃない。
「アナベル、どうしたの?お菓子食べないの?」
ハッ!とする。
「あ、ありがとうございます」
慌てて、焼き菓子を1つ手に持った。わたしの様子に、お喋り夢中のメイドたちは気に留めず再び会話をする。
「セオドア様の笑顔、見てみたいわね~」
「ほんとほんと!絶対素敵よ!」
笑顔、確かに素敵だと思う……それが自分に向けられたものなら、尚更嬉しい。
メイド仲間たちとの会話を終えて、はあ……と1つ大きなため息をつきつつ、廊下を歩く。リアン様に頼まれた本を運ばなくては。
「珍しい。アナベルがため息をつくなんて、リアン様に何かあったか?」
声の主に気づいて、パッと顔を上げた。
セオドア様!?先程のメイドたちの会話を聞かれてはいないのに思い出してしまう。動揺し、言葉が出なかった。
「どうした?」
心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。
「な、なんでもありません!」
手に持っていた本が床に落ちてしまい慌てて拾う。
「ああっ!本が!」
なんてこと……。
「珍しいな。アナベルが慌ててるのは……でもたまにはそんな姿もいいと思う」
フッと笑って一緒に本を拾ってくれた。
え……今、笑顔だった?笑ってた?微かに唇が横に動き、目を細めていた。それはとても優しい顔で、思わず見惚れる。
本を拾っていると、至近距離で目があった。なんて綺麗な目の色なんだろう。一瞬なのにまるで時間が止まったようだった。
セオドア様が驚いた顔をして、慌てて立ち上がった。
「一緒に本を持っていこう」
「えっ……でもお仕事は大丈夫ですか?」
「すぐそこだから大丈夫だ」
2人で歩く距離が時間が短くて残念と感じたのは初めてだった。
「ねえねえ!最近のセオドア様、ちょっと変わったと思わない?」
セオドア様の名前が出た!とドキッとする。メイド仲間たちがお菓子をつまみつつ、いつもの他愛ない会話を楽しんでいて、いつもの会話じゃないの。ドキドキするなんて……。
「わかる~、前よりやわらかい雰囲気よね」
「話しかけると返してくれるし」
ヒョイッと口に小さな焼き菓子をいれて、美味しい!誰が持ってきてくれたやつ?と聞いている。わたしは一言も発せられず、ジッとお茶のカップを持ったまま、皆の話を聞き続ける。
「こないだ、セオドア様に頼まれたものを持って行ったらありがとうってお礼言われたのよ!」
えー!キャー!となる部屋。
「冷たい感じも素敵だったけど、近寄りがたかったわよね」
うんうんと皆が頷く。
「話しかけやすくなったし、私、いっちゃおっかなー」
「狙うの!?ずるい!あたしだってー!」
「あの綺麗な顔立ちの笑顔って絶対良いわよね。見てみたいわ!頑張っちゃう!?」
皆の話題になぜか口を挟めない。いつもなら相槌くらいうてるのに。
どうしよう。なんでこんなに胸が苦しいのかしら……『そうね。わたしもセオドア様、素敵だと思うわ』って言えば良いじゃない。
「アナベル、どうしたの?お菓子食べないの?」
ハッ!とする。
「あ、ありがとうございます」
慌てて、焼き菓子を1つ手に持った。わたしの様子に、お喋り夢中のメイドたちは気に留めず再び会話をする。
「セオドア様の笑顔、見てみたいわね~」
「ほんとほんと!絶対素敵よ!」
笑顔、確かに素敵だと思う……それが自分に向けられたものなら、尚更嬉しい。
メイド仲間たちとの会話を終えて、はあ……と1つ大きなため息をつきつつ、廊下を歩く。リアン様に頼まれた本を運ばなくては。
「珍しい。アナベルがため息をつくなんて、リアン様に何かあったか?」
声の主に気づいて、パッと顔を上げた。
セオドア様!?先程のメイドたちの会話を聞かれてはいないのに思い出してしまう。動揺し、言葉が出なかった。
「どうした?」
心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。
「な、なんでもありません!」
手に持っていた本が床に落ちてしまい慌てて拾う。
「ああっ!本が!」
なんてこと……。
「珍しいな。アナベルが慌ててるのは……でもたまにはそんな姿もいいと思う」
フッと笑って一緒に本を拾ってくれた。
え……今、笑顔だった?笑ってた?微かに唇が横に動き、目を細めていた。それはとても優しい顔で、思わず見惚れる。
本を拾っていると、至近距離で目があった。なんて綺麗な目の色なんだろう。一瞬なのにまるで時間が止まったようだった。
セオドア様が驚いた顔をして、慌てて立ち上がった。
「一緒に本を持っていこう」
「えっ……でもお仕事は大丈夫ですか?」
「すぐそこだから大丈夫だ」
2人で歩く距離が時間が短くて残念と感じたのは初めてだった。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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