ワーカーホリックのメイドと騎士は恋に落ちることが難しい!

カエデネコ

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寝坊する日もある

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「アナベル?アナベルったら!」

「うーん……えっ!?今、何時なんですか!?」

 同僚の声に反応して、勢いよく起き上がる。同情するように頬に手を当てて、こちらを見る同僚。サアーッと青ざめてしまうのが自分でもわかった。

「す、すぐ用意します!」

「それが、王妃様からの伝言で『アナベルが寝坊するなんて珍しいわ。疲れているのよ。今日は休日にしてゆっくり休むように伝えてね』ということよ」
 
 疲れているのではなく、いろんなことを考えていて寝れなくなっただけだった。

「そ、そんなわけにいきません。なんてことをしてしまったんでしょう」

「あのねぇ。王妃様がそう言うのもわかるのよ。アナベルは普段からよく働いているんだから、気にせず休んだら?倒れてもらっちゃよけいみんな困るのよ」

 メイド服に着替えようとすると止められてしまったが、それでも着替えて髪を結って用意する。同僚がやれやれと腰に手を当てる。リアン様のところへ行って、謝罪しなくては!

「まーったく、これだから仕事人間は言ってもきかないんだから。リアン様がそういってくれてるんだし、素直に休みなさいよ!倒れても知らないわよ!」

 そう言われても、寝坊した罪悪感は拭えなくて、リアン様に謝罪をするために部屋へと行った。

「あら?アナベル、大丈夫?体調悪いんでしょ?」

 優しい言葉をかけてくれる……私の主人は優しすぎます!ここで怒ってくれたら良かったのに。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「いいえ。寝坊をしてしまったんです。本当に申し訳ありません」

 深々と頭を下げる。リアン様が困ったように笑う。

「アナベル。顔をあげてよ。私なんていつもあなたに起こしてもらってばかりじゃない。いつも真面目にしてるんたから、休息も息抜きも必要よ」

「わたしを甘やかさないでください」

「あら。メイドを甘やかせるのも主人の特権よ。アナベル、今日は休みなさい。あなたが寝坊するってよっぽどよ!自分でも気付かない疲労があるのよ。それか街へ行ってリフレッシュしてくるのもいいわ」

「お仕事させてください」

 仕事をする!と言い張る私にリアン様は
閉じてある本の間からスッと何かを抜き取り、私に差し出した。

 観劇のチケットだった。王都に美しい白い柱が何本も立ち並ぶ劇場が建っていて、私は一度も入ったことがなかった。

「これあげるわ。私の代わりに観てきて欲しいのよ。外出許可をとるのも警備を頼むのも大変だから、あなたが行って、その内容を教えてくれると嬉しいわ」

 そんな……と貰うのを躊躇うと、リアン様は私の手にギュッと握らせ、いってらっしゃーい!と明るく手を振る。

 こんな優しすぎる主人に甘えてしまって良いのかどうか迷う。だけどリアン様の有無を言わせない雰囲気に負けて、わたしは一日休みとなったのだった。

 確かにこのモヤモヤした気持ちをどうにかしなきゃ、夜は寝れないし、また寝坊をしてしまう……街へ行き、気持ちを切り替えて来よう。明日はちゃんと仕事ができるようにしなくっちゃ!
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