転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ

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きもだめし大会

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 鉱山温泉から夏のイベント『きもだめし大会』をするので、参加してみませんか?と誘われ、トトとテテ、リヴィオ、私でやってきた。
 『きもだめし大会』に行く人ー!?と募ると、ジーニーが丁寧に断りをいれてきた。その日は学園の仕事が忙しいと言われ、ちょっと残念だったが仕方ない。リヴィオは何故かニヤニヤしながらジーニーを何度も誘っていたがなんだったんだろうか?

「うわー!楽しみなのだ!」

「夏はおばけ!ゴーストなのだ!」

 トトとテテははしゃいでいる。そして二人の声がハモり、カッコイイポーズをした。

『ゴーストバスターズ!!』

 バッとリヴィオが思わず振り返って、二人を見た。

「おい!倒すなよ!?あっちのスタッフだからな?怪我させんな!?」

 リヴィオがツッコミを入れると、二人は頬を膨らませる。

「わかってるのだ……ふざけただけなのだ」

「冗談の通じないリヴィオなのだ!」

 ほんとにわかってんのか?とリヴィオが疑惑の眼差しをしている。

 ミリーがクスクスと笑っている。私はそのやとりを横目で見つつ挨拶する。

「『きもだめし大会』にお招きありがとう」

「いえいえ!楽しんでくれるといいんですけどー!スタッフ一同はりきってますっ!」

 ランプを持ち、吸血鬼のような長いマントをひきずっているミリーはそう言う。

「では!説明させていただきますね。坑道をあるいていくと広場に辿り着きます。そこにある鉱山温泉の大浴場無料の札をとってきてください!」

 トトとテテが準備運動のように跳ね出す。

「うわー!終わったらお風呂に入るのだー」

「トトとテテが先に行くのだ!」

 ランプをもらって中へ入っていく二人を見送る。雰囲気を出すため、いつもより明かりを落としているらしい。

 なんとなくドキドキして私が耳を澄ましていると中から……キャー!とかワー!とか賑やかな声が聞こえる。

 ミリーは私の様子を見て、フフフフと笑う。脅かす側の方が私も好きかも………緊張してきた。

 タダダッと二人は競争するように穴から出てきた。息を切らせている。

「楽しかったのだーっ!」

「アハハ!もう一回したいのだ」

 わ、笑ってる!?二人の手にはちゃんとお風呂無料の札が握られている。

「ど、どう?怖かった?」

 トトとテテがニヤリと嫌な笑い方をした。

『怖かったのだー。気をつけていくのだ!』

 二人とミリーに見送られて、私とリヴィオは中へ入っていく。

「ん?やけに無口ね」

「は!?オレは怖くないぞ」

 本当かしら?と思いつつ、歩く。
 ピチャンと川に落ちる水滴の音にビクッとした。

「なんで、そんなもんに驚くんだ?」

「う、うるさいわね!静かな雰囲気が怖いでしょ」

 リヴィオはそうか?と首を傾げた。その瞬間バッと上から血みどろの人形が落ちてきてケタケタケタと笑う。 
 
 同時に『なんだ!?これ!!』という声。

 無駄にライトアップされすぎていて強調され……派手すぎて怖くない。

「派手な登場のおばけね……」

 私はとことこと歩いていく。横からバーンと言う音とともに黄色のライトアップされた頭に斧が刺さってる人。
 
『うわー!』と驚く声。

「いやいや、うるさい登場すぎるでしょ……おばけってもう少し忍んでくれないと……」

 何故か、私、文化のすれ違いを感じるんだけど?

 ザザザザーと滑り込みをして下から顔を出す青い顔の装飾をしたお化け。手まで振っている!派手なメイクすぎて私は笑いを堪える。

 『おっとー!』と避けるような……リヴィオ?私は……半眼になって言う。

「やっぱり怖いんじゃない!」

「違う!いきなり出てこられて驚いているだけだっ!」
 
 「私は……怖くないなぁ。仮装大賞みたいだわ……次、何の仮装くるかしら」

 ダメだ。私は……どうも日本の文化の方のきもだめしじゃないとダメみたいだ。こんな派手なやつでは怖がれない!

 日本のおばけはもう少し忍んでるよね……こんな派手なライトアップしたり、自分アピールしない!

 バタバタバタと走ってくる落ち武者みたいな人。リヴィオが固まる。
 おかしいでしょ!?通り過ぎていくのーーーーっ!?

「文化の違いね……」

 私は広場にあった札をとる。リヴィオは疲れた様子である。

 札を取った瞬間、バキバキとテーブルから突き破り男がでてきた。

 リヴィオのうーわー!という声が響いた。

「メイソン?何してんの?」

 私は冷静にツッコミを入れた。スタンウェル鉱山の長がお化け役として出てくるとは……そっちのほうが驚きだった。

「手伝いだ……」

 メイソンはちょっと恥ずかしそうにススススと戻っていった。

「おかえりなさーいっ!楽しかったですか?あら?セイラさんはあまり怖くなかったですか?」

「そ、そうね…わりと平気だったみたい。でも楽しかったわ」

 日本風じゃないと怖くなかったなどとは言えず、そう答える。

「リヴィオさんの方はいい感じに怖がってくれたみたいで……」

「怖がってねーよ!」

 ミリーの言葉を遮り、ムキになっている。
 トトとテテがププッと笑う。ムッと拗ねているリヴィオ。

「まあまあ……お風呂に入っていきましょ!いろんな石の岩盤浴があるわよ」

「そうだったな!!」

 リヴィオが立ち直り、旅館の方へ足取り軽く歩いていく。サウナ好きだなぁ……。

「セイラ!行くのだ!」

「お風呂へ入っていくのだ!」

 トトとテテも遅れをとるなー!とばかりに急ぐ。

「そうね。私も入ろうっと~!ハーブの岩盤浴にしようかな」

 ミリーがニコニコして『ごゆっくり~』手を振った。

 夕食時なのか岩盤浴には誰もいなかった。じんわーりと寝転ぶと腰と背中のあたりから温かさが伝わってくる。
 ハーブはラベンダーかな?優しい香りがリラックスさせてくれる。
 心地よすぎてウトウトと眠気を誘われる。

「気持ちいいですよねぇ。どこから来たんです?」

 眠りそうになっていて、ハッとする。品のいいお婆さんがいた。

「ナシュレです。岩盤浴良いですよねぇ」

「なかなか遠いところからようこそだねぇ」

 寝転びながらマッタリと会話をする。

「ナシュレの美味しい野菜が食べたいねぇ。街にお芋のお菓子が売っていてね。甘くてホクホクしていて美味しかったねぇ」

「へえええ!何というお店ですか?」

「『ベイク』っていうケーキ屋さんだねぇ。行ってみるといいよ」
 
 そうしますと私は返事をし、岩盤浴をしながら、またウトウトとした。
 日頃の疲れがとれるわ……。

 ジーニーが執務室にいて、私はきもだめしの話をした。

「……で、リヴィオ、ぜーったい、怖かったと思うのよね!」

「フフン。あいつ……平気そうなふりして実は…」
 
 そうニヤッとしたジーニーに私は言う。

「おばあさんと岩盤浴したんどけど、ナシュレに『ベイク』っていう教えてくれたお店はなくてね、聞いたらすごーくすごーく昔にあったけど今はないって言われて……」

 ジーニーが私の顔をまじまじと見た。

「トトとテテにもおばあさんと会った?ってきいたら知らないって言うし……」

「ま、まさか!?」

「そう!そのまさかだったのよ!!」

「いやいやいや、もう良い!おっと!学園の仕事で忘れていたものがある!また来る!!」

 素早く転移装置を使って消えるジーニー……えー!オチを聞かないとかなにそれー!?そんなに退屈な話だった?

 リヴィオがガチャッと扉を開けて私の顔を見てどうした?と聞く。納得いかない顔をしていたのだろう。

「ジーニーに岩盤浴のおばあさんの話をしようと思ったら話の途中で帰っちゃった!」

「ん?そんな急用があったのか?学園で何か起こったか??」

 リヴィオも首を傾げる。ジーニー、今、来たばかりだろ??と。

「岩盤浴のばーさん、すげーよな!120歳とか魔女だろ!いや、でもな?思うんだけどサウナってやっぱそれくらい体にいいんじゃねーの!?」

 サウナ信者がここにいる……。

「トトとテテは相変わらず、大浴場で水泳大会してるしさー!変わらないわ……まぁ、鉱山温泉のお風呂の広さはここのよりも大きくしたのよね」

「あー、それも良かった。大浴場がランプで照らされてるのも良い雰囲気だったしな」

「今度、ジーニーもどう?って聞こうと思ったのに……」

 鉱山温泉に夏の間、ジーニーは行かないと思うぞと笑うリヴィオだった。
 
 






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