62 / 319
暗き扉を叩くとき
しおりを挟む
ベッカー家に私は来ていた。
「はじめまして。わたくしはコルネリウスの妻のアンネですわ」
優しそうで大人しそうな女性が挨拶する。こく言ってはなんだが……貴族の華やかさはまったくない。服装も髪型も。華やかな雰囲気を纏うコルネリウスとは対照的とも言える。
「セイラ=バシュレです」
アンネが口を開こうとすると扉からベッカー子爵が入ってきた。『さがれ』と視線で合図するとアンネは察して、一礼して去っていく……まるでメイドにたいするような扱いに驚く。
そういえば使用人が見当たらない。
「珍しいこともあるんだね。君がナイトを連れずに来るなんて思わなかったよ。でも来てくれて嬉しいよ」
ニッコリと優しげに微笑む。リヴィオには何も言わずに来た……彼に私が今からすることを見られたくないのだ。
そしてこの件は私の問題である。私のせいなのだと申し訳ない気持ちが行き場をなくしている。
「これをお返しします」
私は色褪せないバラの小さな花をハンカチから取り出す。手を伸ばそうとした子爵より先に私が手にとり……子爵の手にバラのトゲを突き刺した。顔色は変えない。さすがと言える。
「……痛いことをするね」
「私は怒っています。このくらいで済むとでも?」
子爵の手の甲から赤い血が流れてゆく。ペロッと舐めている。
「君のその格好からして、報復に来たことはわかっていたよ」
「毒がついている花なのに、随分と余裕ね。よくご存知のお得意の毒でしたか?」
ドレスなど着てくる場ではないだろう。私は動きやすい黒い服に白い手袋をしている。足元はブーツでエスマブル学園の制服に近い。私は目を細める。苛立ちを隠せない。
毒を受けたのに慌てない。どんな効能があるか、どのくらいの時間で効能が出るのか、わかっているのだ。
「やはり君は賢い。バラの花1つで犯人を当てるとはね」
穏やかさを捨てない子爵はまだ余裕だ。彼は私が犯人だと辿り着けなければ、さらに周囲から仕掛けてきたであろう。私ではなく、私が大事にしている周囲から攻めていく。
背中が寒くなる。
「バラはこの子爵家の領地の名産品。特殊な毒を染み込ませたバラの花は枯れない。ステラとレオンのことを知っているのはマリアと私のみ。どうやって情報を手に入れたかなんて愚問かしら。ステラ王女の事件をメッセージにし、私に宛てたんですね。王宮内に入り込み、バラを瞬時に箱につけれるのは諜報活動を長年していた貴方なら可能ですよね。エスマブル学園の超S級の諜報部員ですし……」
私は睨みつけたまま続ける。
「脅しですか?私がベッカー子爵の思い通りにならないなら、こうして私の親しい人たちに害を為していくという……リヴィオ宛に気持ち悪いものを送ったのもあなたでしょう!?」
思わず声を荒らげてしまった。
「元諜報部員というのはジーニー君にでも聞いたかな?……察してくれたんだね。鋭い良い目をしている。ベッカー家の血を受け継いでいる君の才能が欲しい。ただそれだけだ。ベッカー家の才能。表舞台には決して出ない一族の血を残したいだけだ。我々一族がこの国の歴史にどれほど関わってきていると思う?」
「興味ありません。私は穏やかにナシュレで暮らしたい。それだけです。資産も貴族の称号もいりません」
子爵は椅子にもたれかかる。毒が効いてきたのだろうか?弱気な顔をした。
「やれやれ……頑固だねぇ。もったいない才能なのになぁ。それにバシュレ家から見捨てられてるんだし、ベッカー家に来てもいいじゃないか」
「私はここで子爵が諦めないなら諦めてくれるように……戦ってもいいんですよ?」
その言葉に子爵は一瞬、鋭い目をした。私は負けずに視線を返す。何があろうとここは退いてはいけない。
私の本気を感じ取ったらしく、はぁ……と子爵は溜息を吐いた。私との緊張を緩める。
「わかった!仕方ないね。謝るよ。無理矢理、ベッカー家に取り込もうとして悪かったよ。君と戦うつもりはまったくない」
引き際が良すぎる。私は……一戦交える覚悟で来ている。まだ警戒は解かない。
「あきらめてくれますか?」
「ああ……もうやめる。約束しよう。しかし君の身内としてまた会いに行くことは赦してくれるよね?可愛い姪だからね」
ニッコリと笑ってそう言う。声音も明るい。
私は内心ホッとした……危険人物だと感じていたが、この程度で終われそうだと。
「もちろんです。でも、まずはステラ王女に謝罪をお願いします」
わかってるよと叱られた子供のように肩をすくめた。そして確認するように尋ねてきた。
「もしや君は女王陛下から裁きの許可を得てるんだね?……シン=バシュレのように」
「そうです。あなたをどう裁くか任せてくれてます」
「へぇ。まさか、そこまで陛下と親密であるとはね。それは予想外だった。調べ損ねたな。君の後ろに陛下がいるなら、為すすべはないか」
諦めたように降参だと両手を挙げた。
「君なら解毒の術などお手の物だろう。頼むよ。降参する。裁きを素直に受ける」
「ええ……」
私は子爵の手を取り、解毒の術を施す。ありがとうと感謝された。
「やはり優しい子だね。ひどいことをして悪かったよ。もっと話し合えばよかったかなって思った。ごめんね。そうだ!妹の部屋を見せてあげよう」
「母の?」
「ああ……そのままにしてあるんだ。おいで」
昔の母の?私は少ない記憶しかない。興味がある。どんな人生を送ってきたのだろうか?
子爵の後ろをついていく。屋敷はそれほど大きくなく、ドアも飾りも質素だ。貴族の華やかさがここにも……あまりない。
「ここだよ」
そう言って……私の腕を引っ張り、ドンッと突き飛ばす。
「なっ!?」
ガチャッと言う音とともに鍵が閉められる。暗闇……まさか!?
「この部屋はね、捕まえてきた重要な人物を閉じ込めておくための部屋だったんだ。君が幼い頃入っていた懲罰室と似てるだろう?」
「そんなところに……私は……」
懲罰……室?心臓がドキドキと痛いくらいに動きだす。
「君のことはすべて調べた。妹が亡くなった後にバシュレ家の懲罰室でよく過ごしていたこともね」
……そうだ。よく父は私が口答えしたり意に沿わない行動をすると暗い部屋へ閉じ込められていた。頭痛がしてきた。
呼吸が苦しくなってくる。夜、灯りを消せなくなったのも……そうだ。このせいだ。
怖くて怖くて……記憶に閉じ込めていたようで、失くしていた記憶がパラパラと本のページをめくるように思い出していく。
「悪い子には罰をだね。君が娘になるといえば出してあげるよ。でも人を信じすぎるね。下手な芝居に騙され、まだまだ甘いすぎる。それも…これから訓練していけば良いことかな。人など簡単に裏切るものだよ」
「それは嫌です!断るといったはずです!」
じゃあ。気が変わったら教えてくれと笑いながら去っていくベッカー子爵。私は扉をドンドンと叩く。魔法は使えないようになっているのがわかる。強固な結界がはられている。用意していたのだ。私が決して首を縦に振らないことをわかっていたのだ。
声は出ない。怖くて出せない。助けて!ここから出して!と叫びたいが言葉にならない。呼吸が整わない。汗がしたたって床にパタパタ落ちてゆく。
フッとリヴィオの顔が脳裏に浮かぶ。きっと何日か帰らなければ探しにくる。彼なら絶対にここまで来てくれる。
……いや、でもこれは私のせいで起きた事件だ。彼に頼るわけにはいかない。来てほしい気持ちと巻き込みたくない気持ちが私の中で葛藤する。
気づけば、ガタガタと震えている体を抑えこむ。目をとじて落ち着けと言い聞かせる。深呼吸する。
確か、あのときは祖父が助けに来た。黒い猫を連れて……。
何度も何度も叫ぶ小さな子どもがいる。母はもういない。父はもう私のことは見ない。『あの部屋へ入れておけ』そう言いつけて、どこかへでかけて行く。暗い部屋で過ごすことが増えた。暗闇だけのじめじめとした誰も来ない部屋。
私はあの頃の小さな無力な私ではないだろう?自身に問いかける。もう一度深呼吸する。
暗闇にいようとも……昔の私のように一人ではないはすだ。
目を閉じて、ゆっくり暗闇に慣らしていく。私が打てる手はなにがあるか考えろ。怖がってる場合ではない。
大きく深呼吸し、私は叫んだ。この部屋の結界を壊せる者の心当たりは一人だ!
「アオーーーっ!!」
室内に声が響く。
「なにをしておるのだ」
暗闇よりも深い黒い色をした物体が部屋の隅で動いた。瞬時に来た!?準備していたの!?
「早い……わね……ほんとに来てくれる……なんて」
声が震えないように気をつける。平気なふりを必死でした。
「大丈夫か?シンが心配しておるぞ。封じたはずの記憶が戻ってしまったのぅ」
アオにも祖父にもバレているようだ。黒龍が出現した。ヒタヒタと足音をたてて近づいてくる。可愛らしい姿だが威圧感がある。
私が暗闇の記憶を無くしていたのはアオがしたのか。
「少し待っておれ。『黒猫』を連れてきてやるわ。妾とシンは忙しいのじゃ。これくらいのことはそなた達でなんとかせよ」
フッとアオがどこかへ行ったと思ったら、その瞬間、部屋の隅が青白く光って、人影がうつる。魔法の発動ができるようになっている。アオが結界を壊して行ったようだ。
「セイラ!!大丈夫か!?」
リヴィオが来たと思ったら安心してへたりこんでしまった。震える体を抱きとめるリヴィオ。
一人で解決しようと思ったのに情けない気持ちになる。ごめんと小さく謝る。
「おい!しっかりしろ!あのやろおおおお!」
金色の目が燃え上がる。帯剣していた剣を迷わず抜くと部屋のドアめがけて一閃した。ドンッと爆発音とともに破壊された。パラパラと壁が、落ちる。明かりが漏れる。
「動けないのか?」
「だ、大丈夫よ…平気だから…、」
私は冷汗を拭う。リヴィオが私の顔を見て、なんとも言えない顔をした。顔色まではごまかせなかったようだ。酷い顔をしていると思う。蒼白に違いない……。彼は怒りを静めるために呼吸を意識し、落ち着かせている。
動けない私を抱え直す。お姫様抱っこおおおお!?
「えっ!?歩ける!歩けるわよ!」
リヴィオは私の言葉を無視し、怒った顔のまま歩く。そのまま帰るのかと思っていたのに……どこへ?
「早く出てこい!屋敷ごとふっ飛ばすぞっ!」
その言葉と同時にリヴィオの力が解き放たれて屋敷の一部が爆発音と同時に吹っ飛んだ。怒りで抑えられなくなっている。ガラガラと崩れる音。
「派手なナイトの登場だね。どうやってあの部屋へ入った?強固な結界の部屋だぞ?」
ベッカー子爵が現れた。リヴィオは自分の後ろに庇うように私をそっと降ろした。
「そんなことはどうでもいいだろ。死ぬよりも怖いことがあると思いしらせてやるよ。セイラに与えた以上の恐怖を与えてやろう。『黒猫』の悪夢を見せてやるよ。誰に喧嘩売ったのか教えてやる。カムパネルラ公爵家の分も返す!」
ゾッとするほど冷たい声。本気だ。普段、あまり抜かない剣をすでに抜いて構えている。白銀に光る剣。
私がここに来た理由をリヴィオは気づいていた……。
いつも余裕のある様子を演じているベッカー子爵もリヴィオの声に身の危険を感じて、数歩後ずさりした。ざわりとリヴィオの魔力の集結を感じる。
鋭い殺気の気配が放たれている。金色の目は……絶対零度の冷ややかさで獲物を見据える。
私の頭にパサリと自分の上着を掛けた。何をするのか見せないつもりらしい。セイラは目も耳も閉じてろと言う。低い声。
「セイラにはオレが今からすることを見せたくない。先にナシュレへ帰っていろ」
私が待って!と服をどける前にリヴィオの転移の術と眠りの術が発動しており、私は気づくとナシュレの屋敷の執務室に意識をなくして倒れていたのだった。
その後にリヴィオがした残虐な行為はだいぶ後になって聞かされたのだった……ベッカー子爵の屋敷は影も形もなかったらしい。消し炭になるまで破壊されていた。帰ってきたリヴィオは返り血だらけで、屋敷の者たちが騒然となったらしい。
『黒猫』の本気は調査をした人がトラウマになったほどだと言う。二度とベッカー子爵は近寄らないだろう。『黒猫』の悪夢を見たくなけば。
しばらくの間、私は高熱で起き上がれなかった。
当分、同じ部屋にいるといってくれたリヴィオは私の変わりに領地経営や旅館の業務をして、夜は傍にいてくれた。
手を煩わせて悪いと思いながらも、一人より誰かの気配がある方が良かった。暗い夜が来るのが恐い。
「無理するな」
「私、リヴィオなら絶対に来てくれるとわかっていたわ」
「ああ。もちろんどこにいようと行くが、
行き先を言っていけとあれほど言ってただろーがっ!今回は本気で焦ったぞ!」
元気になったらすごく怒られる予感がする。
熱に私はうなされているのだろうか?いや、半分以上はベッカー家へ行く前に用意しておいたことだ。
「ごめんね。私のせいでこんな騒ぎになってしまって……婚約は解消しましょう。バーグマーさんにもう書類を渡してあるの。見てもらえばわかると思うけどナシュレと旅館、すべてはリヴィオに任せるわ……私はここにいないほうがいいわ」
震える声で言った私を見て、リヴィオが金色の目を驚いたように見開いた。
そして彼はバカだなと呆れたように笑った。
「なに言ってんだ?そんなこと考えてるから熱が下がらねーんだろ!………よし。結婚しよう」
なんと言ったのかちょっとわからなかった。えーと?と頭の中で反芻する。
「私は婚約解消しようって言ってるのよ!?言ってる意味わかる!?リヴィオ、なんか私と真逆のこと言ってない!?」
高熱でふらつく体を思わず、起こす。
「どうせセイラのことだ。カムパネルラ公爵家や王女にまで迷惑かけてしまった。この先も自分のせいでオレやナシュレの人々に災厄がふりかかったらどうしよう…ってとこだろ?」
心読めるの!?私が呆然としているのを見て、さらに言う。
「オレ、十何年もセイラに片想いしてきたんだ。なんとなく思考回路がわかる。お見通しだ!カムパネルラ公爵家のことを甘くみるな!ステラ王女の事件。あの程度のものを想定できなくて、見抜けなかったのはレオンの落ち度だ。子爵家へセイラを一人で行かせたのはオレの落ち度だ。レオンもオレも公爵家の息子として教育されている。こんなこと日常茶飯事に考えている」
ポンポンと私の頭を軽く叩く。大丈夫だ。みんな、そんなに弱くねーよと安心させるように微笑む。
「自分で自分の居場所を捨てるな。ここまで一生懸命、作り上げてきたんじゃないか。セイラを慕って、尊敬しているスタッフもたくさんいる。領民たちもだ!簡単に譲るなよ!」
「ごめんなさい……」
確かにそのとおりである。涙目になってしまう。弱気になりすぎていたかもしれないけど、この幸せな場所が自分の存在のせいで壊れるのは怖かった。
リヴィオは叱っている口調だが、雰囲気も表情もとても優しい。
「オレと結婚しとけ。オレが災厄も困難も薙ぎ払ってやるよ。そしてどこにいても助けに行く。暗闇が怖いなら一緒にいてやる。セイラ、考えておいてくれ」
さらっと世間話のついでだとでも言わんばかりに重要なことを言った。
もっとロマンチックなものかと思ったら、ここでプロポーズするの!?というのがリヴィオらしい。しかも婚約解消を持ちかけられてプロポーズしてくるとか……普通ないよね?
彼らしくてなんだか笑えた。
「うん……いつもありがとう……」
「礼なんてしなくていい。なんか弱気になってんなぁ。ま、病気の時は心細くなるもんだよな……とりあえず、体調を戻すところからだな。ゆっくり休め」
そう言うと私に掛け布団をかけ、寝るように促した。私は久しぶりにホッとした気持ちで眠りにつくことができた。
「はじめまして。わたくしはコルネリウスの妻のアンネですわ」
優しそうで大人しそうな女性が挨拶する。こく言ってはなんだが……貴族の華やかさはまったくない。服装も髪型も。華やかな雰囲気を纏うコルネリウスとは対照的とも言える。
「セイラ=バシュレです」
アンネが口を開こうとすると扉からベッカー子爵が入ってきた。『さがれ』と視線で合図するとアンネは察して、一礼して去っていく……まるでメイドにたいするような扱いに驚く。
そういえば使用人が見当たらない。
「珍しいこともあるんだね。君がナイトを連れずに来るなんて思わなかったよ。でも来てくれて嬉しいよ」
ニッコリと優しげに微笑む。リヴィオには何も言わずに来た……彼に私が今からすることを見られたくないのだ。
そしてこの件は私の問題である。私のせいなのだと申し訳ない気持ちが行き場をなくしている。
「これをお返しします」
私は色褪せないバラの小さな花をハンカチから取り出す。手を伸ばそうとした子爵より先に私が手にとり……子爵の手にバラのトゲを突き刺した。顔色は変えない。さすがと言える。
「……痛いことをするね」
「私は怒っています。このくらいで済むとでも?」
子爵の手の甲から赤い血が流れてゆく。ペロッと舐めている。
「君のその格好からして、報復に来たことはわかっていたよ」
「毒がついている花なのに、随分と余裕ね。よくご存知のお得意の毒でしたか?」
ドレスなど着てくる場ではないだろう。私は動きやすい黒い服に白い手袋をしている。足元はブーツでエスマブル学園の制服に近い。私は目を細める。苛立ちを隠せない。
毒を受けたのに慌てない。どんな効能があるか、どのくらいの時間で効能が出るのか、わかっているのだ。
「やはり君は賢い。バラの花1つで犯人を当てるとはね」
穏やかさを捨てない子爵はまだ余裕だ。彼は私が犯人だと辿り着けなければ、さらに周囲から仕掛けてきたであろう。私ではなく、私が大事にしている周囲から攻めていく。
背中が寒くなる。
「バラはこの子爵家の領地の名産品。特殊な毒を染み込ませたバラの花は枯れない。ステラとレオンのことを知っているのはマリアと私のみ。どうやって情報を手に入れたかなんて愚問かしら。ステラ王女の事件をメッセージにし、私に宛てたんですね。王宮内に入り込み、バラを瞬時に箱につけれるのは諜報活動を長年していた貴方なら可能ですよね。エスマブル学園の超S級の諜報部員ですし……」
私は睨みつけたまま続ける。
「脅しですか?私がベッカー子爵の思い通りにならないなら、こうして私の親しい人たちに害を為していくという……リヴィオ宛に気持ち悪いものを送ったのもあなたでしょう!?」
思わず声を荒らげてしまった。
「元諜報部員というのはジーニー君にでも聞いたかな?……察してくれたんだね。鋭い良い目をしている。ベッカー家の血を受け継いでいる君の才能が欲しい。ただそれだけだ。ベッカー家の才能。表舞台には決して出ない一族の血を残したいだけだ。我々一族がこの国の歴史にどれほど関わってきていると思う?」
「興味ありません。私は穏やかにナシュレで暮らしたい。それだけです。資産も貴族の称号もいりません」
子爵は椅子にもたれかかる。毒が効いてきたのだろうか?弱気な顔をした。
「やれやれ……頑固だねぇ。もったいない才能なのになぁ。それにバシュレ家から見捨てられてるんだし、ベッカー家に来てもいいじゃないか」
「私はここで子爵が諦めないなら諦めてくれるように……戦ってもいいんですよ?」
その言葉に子爵は一瞬、鋭い目をした。私は負けずに視線を返す。何があろうとここは退いてはいけない。
私の本気を感じ取ったらしく、はぁ……と子爵は溜息を吐いた。私との緊張を緩める。
「わかった!仕方ないね。謝るよ。無理矢理、ベッカー家に取り込もうとして悪かったよ。君と戦うつもりはまったくない」
引き際が良すぎる。私は……一戦交える覚悟で来ている。まだ警戒は解かない。
「あきらめてくれますか?」
「ああ……もうやめる。約束しよう。しかし君の身内としてまた会いに行くことは赦してくれるよね?可愛い姪だからね」
ニッコリと笑ってそう言う。声音も明るい。
私は内心ホッとした……危険人物だと感じていたが、この程度で終われそうだと。
「もちろんです。でも、まずはステラ王女に謝罪をお願いします」
わかってるよと叱られた子供のように肩をすくめた。そして確認するように尋ねてきた。
「もしや君は女王陛下から裁きの許可を得てるんだね?……シン=バシュレのように」
「そうです。あなたをどう裁くか任せてくれてます」
「へぇ。まさか、そこまで陛下と親密であるとはね。それは予想外だった。調べ損ねたな。君の後ろに陛下がいるなら、為すすべはないか」
諦めたように降参だと両手を挙げた。
「君なら解毒の術などお手の物だろう。頼むよ。降参する。裁きを素直に受ける」
「ええ……」
私は子爵の手を取り、解毒の術を施す。ありがとうと感謝された。
「やはり優しい子だね。ひどいことをして悪かったよ。もっと話し合えばよかったかなって思った。ごめんね。そうだ!妹の部屋を見せてあげよう」
「母の?」
「ああ……そのままにしてあるんだ。おいで」
昔の母の?私は少ない記憶しかない。興味がある。どんな人生を送ってきたのだろうか?
子爵の後ろをついていく。屋敷はそれほど大きくなく、ドアも飾りも質素だ。貴族の華やかさがここにも……あまりない。
「ここだよ」
そう言って……私の腕を引っ張り、ドンッと突き飛ばす。
「なっ!?」
ガチャッと言う音とともに鍵が閉められる。暗闇……まさか!?
「この部屋はね、捕まえてきた重要な人物を閉じ込めておくための部屋だったんだ。君が幼い頃入っていた懲罰室と似てるだろう?」
「そんなところに……私は……」
懲罰……室?心臓がドキドキと痛いくらいに動きだす。
「君のことはすべて調べた。妹が亡くなった後にバシュレ家の懲罰室でよく過ごしていたこともね」
……そうだ。よく父は私が口答えしたり意に沿わない行動をすると暗い部屋へ閉じ込められていた。頭痛がしてきた。
呼吸が苦しくなってくる。夜、灯りを消せなくなったのも……そうだ。このせいだ。
怖くて怖くて……記憶に閉じ込めていたようで、失くしていた記憶がパラパラと本のページをめくるように思い出していく。
「悪い子には罰をだね。君が娘になるといえば出してあげるよ。でも人を信じすぎるね。下手な芝居に騙され、まだまだ甘いすぎる。それも…これから訓練していけば良いことかな。人など簡単に裏切るものだよ」
「それは嫌です!断るといったはずです!」
じゃあ。気が変わったら教えてくれと笑いながら去っていくベッカー子爵。私は扉をドンドンと叩く。魔法は使えないようになっているのがわかる。強固な結界がはられている。用意していたのだ。私が決して首を縦に振らないことをわかっていたのだ。
声は出ない。怖くて出せない。助けて!ここから出して!と叫びたいが言葉にならない。呼吸が整わない。汗がしたたって床にパタパタ落ちてゆく。
フッとリヴィオの顔が脳裏に浮かぶ。きっと何日か帰らなければ探しにくる。彼なら絶対にここまで来てくれる。
……いや、でもこれは私のせいで起きた事件だ。彼に頼るわけにはいかない。来てほしい気持ちと巻き込みたくない気持ちが私の中で葛藤する。
気づけば、ガタガタと震えている体を抑えこむ。目をとじて落ち着けと言い聞かせる。深呼吸する。
確か、あのときは祖父が助けに来た。黒い猫を連れて……。
何度も何度も叫ぶ小さな子どもがいる。母はもういない。父はもう私のことは見ない。『あの部屋へ入れておけ』そう言いつけて、どこかへでかけて行く。暗い部屋で過ごすことが増えた。暗闇だけのじめじめとした誰も来ない部屋。
私はあの頃の小さな無力な私ではないだろう?自身に問いかける。もう一度深呼吸する。
暗闇にいようとも……昔の私のように一人ではないはすだ。
目を閉じて、ゆっくり暗闇に慣らしていく。私が打てる手はなにがあるか考えろ。怖がってる場合ではない。
大きく深呼吸し、私は叫んだ。この部屋の結界を壊せる者の心当たりは一人だ!
「アオーーーっ!!」
室内に声が響く。
「なにをしておるのだ」
暗闇よりも深い黒い色をした物体が部屋の隅で動いた。瞬時に来た!?準備していたの!?
「早い……わね……ほんとに来てくれる……なんて」
声が震えないように気をつける。平気なふりを必死でした。
「大丈夫か?シンが心配しておるぞ。封じたはずの記憶が戻ってしまったのぅ」
アオにも祖父にもバレているようだ。黒龍が出現した。ヒタヒタと足音をたてて近づいてくる。可愛らしい姿だが威圧感がある。
私が暗闇の記憶を無くしていたのはアオがしたのか。
「少し待っておれ。『黒猫』を連れてきてやるわ。妾とシンは忙しいのじゃ。これくらいのことはそなた達でなんとかせよ」
フッとアオがどこかへ行ったと思ったら、その瞬間、部屋の隅が青白く光って、人影がうつる。魔法の発動ができるようになっている。アオが結界を壊して行ったようだ。
「セイラ!!大丈夫か!?」
リヴィオが来たと思ったら安心してへたりこんでしまった。震える体を抱きとめるリヴィオ。
一人で解決しようと思ったのに情けない気持ちになる。ごめんと小さく謝る。
「おい!しっかりしろ!あのやろおおおお!」
金色の目が燃え上がる。帯剣していた剣を迷わず抜くと部屋のドアめがけて一閃した。ドンッと爆発音とともに破壊された。パラパラと壁が、落ちる。明かりが漏れる。
「動けないのか?」
「だ、大丈夫よ…平気だから…、」
私は冷汗を拭う。リヴィオが私の顔を見て、なんとも言えない顔をした。顔色まではごまかせなかったようだ。酷い顔をしていると思う。蒼白に違いない……。彼は怒りを静めるために呼吸を意識し、落ち着かせている。
動けない私を抱え直す。お姫様抱っこおおおお!?
「えっ!?歩ける!歩けるわよ!」
リヴィオは私の言葉を無視し、怒った顔のまま歩く。そのまま帰るのかと思っていたのに……どこへ?
「早く出てこい!屋敷ごとふっ飛ばすぞっ!」
その言葉と同時にリヴィオの力が解き放たれて屋敷の一部が爆発音と同時に吹っ飛んだ。怒りで抑えられなくなっている。ガラガラと崩れる音。
「派手なナイトの登場だね。どうやってあの部屋へ入った?強固な結界の部屋だぞ?」
ベッカー子爵が現れた。リヴィオは自分の後ろに庇うように私をそっと降ろした。
「そんなことはどうでもいいだろ。死ぬよりも怖いことがあると思いしらせてやるよ。セイラに与えた以上の恐怖を与えてやろう。『黒猫』の悪夢を見せてやるよ。誰に喧嘩売ったのか教えてやる。カムパネルラ公爵家の分も返す!」
ゾッとするほど冷たい声。本気だ。普段、あまり抜かない剣をすでに抜いて構えている。白銀に光る剣。
私がここに来た理由をリヴィオは気づいていた……。
いつも余裕のある様子を演じているベッカー子爵もリヴィオの声に身の危険を感じて、数歩後ずさりした。ざわりとリヴィオの魔力の集結を感じる。
鋭い殺気の気配が放たれている。金色の目は……絶対零度の冷ややかさで獲物を見据える。
私の頭にパサリと自分の上着を掛けた。何をするのか見せないつもりらしい。セイラは目も耳も閉じてろと言う。低い声。
「セイラにはオレが今からすることを見せたくない。先にナシュレへ帰っていろ」
私が待って!と服をどける前にリヴィオの転移の術と眠りの術が発動しており、私は気づくとナシュレの屋敷の執務室に意識をなくして倒れていたのだった。
その後にリヴィオがした残虐な行為はだいぶ後になって聞かされたのだった……ベッカー子爵の屋敷は影も形もなかったらしい。消し炭になるまで破壊されていた。帰ってきたリヴィオは返り血だらけで、屋敷の者たちが騒然となったらしい。
『黒猫』の本気は調査をした人がトラウマになったほどだと言う。二度とベッカー子爵は近寄らないだろう。『黒猫』の悪夢を見たくなけば。
しばらくの間、私は高熱で起き上がれなかった。
当分、同じ部屋にいるといってくれたリヴィオは私の変わりに領地経営や旅館の業務をして、夜は傍にいてくれた。
手を煩わせて悪いと思いながらも、一人より誰かの気配がある方が良かった。暗い夜が来るのが恐い。
「無理するな」
「私、リヴィオなら絶対に来てくれるとわかっていたわ」
「ああ。もちろんどこにいようと行くが、
行き先を言っていけとあれほど言ってただろーがっ!今回は本気で焦ったぞ!」
元気になったらすごく怒られる予感がする。
熱に私はうなされているのだろうか?いや、半分以上はベッカー家へ行く前に用意しておいたことだ。
「ごめんね。私のせいでこんな騒ぎになってしまって……婚約は解消しましょう。バーグマーさんにもう書類を渡してあるの。見てもらえばわかると思うけどナシュレと旅館、すべてはリヴィオに任せるわ……私はここにいないほうがいいわ」
震える声で言った私を見て、リヴィオが金色の目を驚いたように見開いた。
そして彼はバカだなと呆れたように笑った。
「なに言ってんだ?そんなこと考えてるから熱が下がらねーんだろ!………よし。結婚しよう」
なんと言ったのかちょっとわからなかった。えーと?と頭の中で反芻する。
「私は婚約解消しようって言ってるのよ!?言ってる意味わかる!?リヴィオ、なんか私と真逆のこと言ってない!?」
高熱でふらつく体を思わず、起こす。
「どうせセイラのことだ。カムパネルラ公爵家や王女にまで迷惑かけてしまった。この先も自分のせいでオレやナシュレの人々に災厄がふりかかったらどうしよう…ってとこだろ?」
心読めるの!?私が呆然としているのを見て、さらに言う。
「オレ、十何年もセイラに片想いしてきたんだ。なんとなく思考回路がわかる。お見通しだ!カムパネルラ公爵家のことを甘くみるな!ステラ王女の事件。あの程度のものを想定できなくて、見抜けなかったのはレオンの落ち度だ。子爵家へセイラを一人で行かせたのはオレの落ち度だ。レオンもオレも公爵家の息子として教育されている。こんなこと日常茶飯事に考えている」
ポンポンと私の頭を軽く叩く。大丈夫だ。みんな、そんなに弱くねーよと安心させるように微笑む。
「自分で自分の居場所を捨てるな。ここまで一生懸命、作り上げてきたんじゃないか。セイラを慕って、尊敬しているスタッフもたくさんいる。領民たちもだ!簡単に譲るなよ!」
「ごめんなさい……」
確かにそのとおりである。涙目になってしまう。弱気になりすぎていたかもしれないけど、この幸せな場所が自分の存在のせいで壊れるのは怖かった。
リヴィオは叱っている口調だが、雰囲気も表情もとても優しい。
「オレと結婚しとけ。オレが災厄も困難も薙ぎ払ってやるよ。そしてどこにいても助けに行く。暗闇が怖いなら一緒にいてやる。セイラ、考えておいてくれ」
さらっと世間話のついでだとでも言わんばかりに重要なことを言った。
もっとロマンチックなものかと思ったら、ここでプロポーズするの!?というのがリヴィオらしい。しかも婚約解消を持ちかけられてプロポーズしてくるとか……普通ないよね?
彼らしくてなんだか笑えた。
「うん……いつもありがとう……」
「礼なんてしなくていい。なんか弱気になってんなぁ。ま、病気の時は心細くなるもんだよな……とりあえず、体調を戻すところからだな。ゆっくり休め」
そう言うと私に掛け布団をかけ、寝るように促した。私は久しぶりにホッとした気持ちで眠りにつくことができた。
22
あなたにおすすめの小説
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる