216 / 319
賢者達の見解
しおりを挟む
「知識の塔にエレベーターをつけてくれたから、とても便利だよ!」
ジーニーの父が喜んでいる。本や資料の持ち運びも苦痛じゃなくなった!と。他の塔の賢者も喜んでいたよと付け加える。
「魔物の発生源の力は恐らくは人の負の感情を利用した物だ」
「そんなもの作れるのか?」
「作れる。まあ、試しに見て見るかね?」
実験装置のようなビーカーを繋げたものをカチッと留めて準備をしていく。
「すごい装置だわ」
「あ、これは、他の塔の力も借りた」
私が感心していると、3つの塔の賢者がこうやって共同研究するのは始めてだよと笑っている。
「前例のないことをするからこそ全力だと感じるね」
ジーニーの父はやはりジーニーの父で、その言い方はそっくりだと私は微笑む。
「ちょっとどちらか指を貸してくれるかね?」
リヴィオが指?とオレが……と前に出るとプチッと針で刺される。
「何すんだよ!?自分の指でしろよ!」
「痛いのは嫌だ……発動したぞ。みてくれたまえ!」
リヴィオの怒りと血で反応するように、装置がゴオオオと動き出した。
「な、なんだこれ!?」
「黒い渦?」
透明な容器の中におどろおどろしい黒い物が出現した。しかしそれは一瞬のことですぐに霧散してしまった。
「我々が作れる技術、理論では、ここまでだ。魔物は恐らく、人のマイナスのエネルギーである怒り、悲しみ、絶望などを糧にして生まれている。具現化させる力、それを自分の力に取り入れることの技術までは……とても及ばない」
賢者たちの智を持ってしてもということだろう。悔しそうだが、それでいい気がした。こんなものは作り出さない方がいい。
「納得できる気がするな。それにしても、すごい技術力を持っていたんだな。消えた文明か……」
リヴィオは消えた黒い渦の装置をジッと見た。
「でもそれじゃあ、魔物は人間が存在する限り生み出されるってことなの?」
「そうなるだろう」
私の問いに答えるジーニーの父は重々しい雰囲気となる。
「技術が及ぶ及ばないを抜きにし、これ以上の研究は止める。知識の塔は、その智で、未来をも見通す。この仕組みは危険すぎる。人を滅ぼすための物には手を出さない」
さすが三賢者の一人である。興味はあれど、その恐ろしさも理解している。
「人の憎しみ、悲しみ、怒りなんて……消せるわけないだろう?どうしたらいいのか、わからない。なんでそんなものを作ったんだろうか」
リヴィオが怒っているというより、少し悲しげにそう言った。
「それが人の愚かさだろう。自ら滅ぶ可能性があっても、目の前の利益や手に入れたい物には抗えない欲がある。黒の時代と呼ばれる戦争は人対人の戦いだ。相手よりも上回る力を欲していたのだろう」
一国しかない、私達の住む平和な大陸でも、過去には領土の奪い合いもあった過去はある。人の歴史とはそんなものなのかもしれない。
「人はどこも変わらないな」
リヴィオはそう呟く。あちらの世界もこちらの世界でもということなんだろう。
「仕方ない。それが人だろう。だからこそ発展しようとするし、よりよい未来を作ろうともする。説教地味た話をするのは得意ではないな。他の賢者たちなら、もっと上手く人の本質について語れるだろうが……」
ジーニーの父は人のことに関しては苦手なんだと自嘲気味に笑う。苦手そうと私は納得して頷く。自分の息子にも上手く接しられず、煙たがられてるし……。
「研究していただけて、助かりました。魔物の装置を止める方法を考えていきたいと思います。簡単ではないけど、少しずつ前進してる気がします。とりあえず何の力をつかってるのかわかったから、あの力の不気味さは無くなったわ!」
「セイラはいつも前向きにだな」
リヴィオは私の言葉にそう微笑み、金の目を細めた。ジーニーの父はどういたしましてと言った後、私とリヴィオを見つめた。
「ここからは三賢者の一人ではなく、ジーニーの父として言いたい。君らのしていることは、とても危険なことに感じる。頼むから、無理しないでくれ。うちの息子は寂しがり屋なんだ。大事な友人を失わせないでくれ」
ジーニーの父は……彼は……こんな人だっただろうか?きっとジーニーも知らない。
長年付き合いのあったリヴィオが驚いているのがわかる。
「心配してくれてるのか!?」
「不本意ながら、君ら二人を見ていると、自分でもわからないが、何故か心が動かされる」
私とリヴィオは顔を見合わせて笑ってしまう。
「ジーニーに聞かせてやりたいよ」
「それだけは!やめてくれ!秘密にしといてくれ!!」
リヴィオの言葉にジーニーの父はそう叫んだのだった。
ジーニーの父が喜んでいる。本や資料の持ち運びも苦痛じゃなくなった!と。他の塔の賢者も喜んでいたよと付け加える。
「魔物の発生源の力は恐らくは人の負の感情を利用した物だ」
「そんなもの作れるのか?」
「作れる。まあ、試しに見て見るかね?」
実験装置のようなビーカーを繋げたものをカチッと留めて準備をしていく。
「すごい装置だわ」
「あ、これは、他の塔の力も借りた」
私が感心していると、3つの塔の賢者がこうやって共同研究するのは始めてだよと笑っている。
「前例のないことをするからこそ全力だと感じるね」
ジーニーの父はやはりジーニーの父で、その言い方はそっくりだと私は微笑む。
「ちょっとどちらか指を貸してくれるかね?」
リヴィオが指?とオレが……と前に出るとプチッと針で刺される。
「何すんだよ!?自分の指でしろよ!」
「痛いのは嫌だ……発動したぞ。みてくれたまえ!」
リヴィオの怒りと血で反応するように、装置がゴオオオと動き出した。
「な、なんだこれ!?」
「黒い渦?」
透明な容器の中におどろおどろしい黒い物が出現した。しかしそれは一瞬のことですぐに霧散してしまった。
「我々が作れる技術、理論では、ここまでだ。魔物は恐らく、人のマイナスのエネルギーである怒り、悲しみ、絶望などを糧にして生まれている。具現化させる力、それを自分の力に取り入れることの技術までは……とても及ばない」
賢者たちの智を持ってしてもということだろう。悔しそうだが、それでいい気がした。こんなものは作り出さない方がいい。
「納得できる気がするな。それにしても、すごい技術力を持っていたんだな。消えた文明か……」
リヴィオは消えた黒い渦の装置をジッと見た。
「でもそれじゃあ、魔物は人間が存在する限り生み出されるってことなの?」
「そうなるだろう」
私の問いに答えるジーニーの父は重々しい雰囲気となる。
「技術が及ぶ及ばないを抜きにし、これ以上の研究は止める。知識の塔は、その智で、未来をも見通す。この仕組みは危険すぎる。人を滅ぼすための物には手を出さない」
さすが三賢者の一人である。興味はあれど、その恐ろしさも理解している。
「人の憎しみ、悲しみ、怒りなんて……消せるわけないだろう?どうしたらいいのか、わからない。なんでそんなものを作ったんだろうか」
リヴィオが怒っているというより、少し悲しげにそう言った。
「それが人の愚かさだろう。自ら滅ぶ可能性があっても、目の前の利益や手に入れたい物には抗えない欲がある。黒の時代と呼ばれる戦争は人対人の戦いだ。相手よりも上回る力を欲していたのだろう」
一国しかない、私達の住む平和な大陸でも、過去には領土の奪い合いもあった過去はある。人の歴史とはそんなものなのかもしれない。
「人はどこも変わらないな」
リヴィオはそう呟く。あちらの世界もこちらの世界でもということなんだろう。
「仕方ない。それが人だろう。だからこそ発展しようとするし、よりよい未来を作ろうともする。説教地味た話をするのは得意ではないな。他の賢者たちなら、もっと上手く人の本質について語れるだろうが……」
ジーニーの父は人のことに関しては苦手なんだと自嘲気味に笑う。苦手そうと私は納得して頷く。自分の息子にも上手く接しられず、煙たがられてるし……。
「研究していただけて、助かりました。魔物の装置を止める方法を考えていきたいと思います。簡単ではないけど、少しずつ前進してる気がします。とりあえず何の力をつかってるのかわかったから、あの力の不気味さは無くなったわ!」
「セイラはいつも前向きにだな」
リヴィオは私の言葉にそう微笑み、金の目を細めた。ジーニーの父はどういたしましてと言った後、私とリヴィオを見つめた。
「ここからは三賢者の一人ではなく、ジーニーの父として言いたい。君らのしていることは、とても危険なことに感じる。頼むから、無理しないでくれ。うちの息子は寂しがり屋なんだ。大事な友人を失わせないでくれ」
ジーニーの父は……彼は……こんな人だっただろうか?きっとジーニーも知らない。
長年付き合いのあったリヴィオが驚いているのがわかる。
「心配してくれてるのか!?」
「不本意ながら、君ら二人を見ていると、自分でもわからないが、何故か心が動かされる」
私とリヴィオは顔を見合わせて笑ってしまう。
「ジーニーに聞かせてやりたいよ」
「それだけは!やめてくれ!秘密にしといてくれ!!」
リヴィオの言葉にジーニーの父はそう叫んだのだった。
0
あなたにおすすめの小説
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる