転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ

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カシューは初夏を迎える

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 ジーニー発案、体験型の観光は好評のようで、カシューは口コミでどんどん話が広がり、人気が出てきた。

 この初夏の時期のカシューは湿気も少なく、心地よい風が吹いている。

「うむ!窯焼きピザ最高だな」

「殿下~。あんまり勝手な行動とると陛下に怒られますよ」

 なぜか、ゼイン殿下とイーノまでいた。そこへ牧場でとれた牛乳を使ったソフトクリームを手に持って、トトとテテがやってきた。

「また来ているのだ~」

「イーノ、暇なのだ?」

「見ればわかるだろう!?ゼイン殿下の付き添いで仕事だっ!この双子は相変わらずだな!」

 フォスター家は集まると賑やかになる気がするわね……先日の弟のカインの姿がよぎる。
 
 ポポーン!ポーン!と花火があがった。馬の大会が始まる。

「みんなで見に行く?競走馬、かっこいいわよ?」

 私が誘うと行くのだー!と双子ちゃんは駆け出し、ゼイン殿下とイーノも後ろから続く。

「おおっ!始まるな!」

 ゼイン殿下がワクワクしたように競馬場を見た。リヴィオが馬主達と楽しげにアハハと声をあげて、笑っている。なんの話をしてるのだろう?

「なんだ……黒猫、あんな表情するようになったんだね」

 そう殿下はリヴィオを指差し、言う。

「あら?前から笑うわよ?」

「それは、君の前だけだろう。あんな無邪気に笑うやつじゃなかった。羨ましい!羨ましすぎるぞ!はああああ……どこかに運命の相手いないかなああああ」

 柵にもたれて、殿下はそんなことを言い出す。トトとテテがお馬さんを見るのだ!と慰めている。

 栗毛、白馬、黒馬など、どの馬も速そうだし、美しい体躯をしている。

「見事な馬が揃ってるなぁ」

 ジーニーが褒める。リヴィオはそうだろ!?と得意げだ。初めての開催だったが、観客たちが盛り上がりをみせていた。

「どの馬が早いかな?」

「あの黒馬だろ!?見ろ。あの脚を!」

「いやいや、栗毛も良さそうだろ!」

 賞金も出るとあって、農場の人たちが、来年出してみるか?と話している。

「本日は集まってくれてありがとう。どの馬が早いか、どの農場の馬が名馬なのか競う大会でもある。しかし見たところ、すべての馬が素晴らしい。領主として誇りに思う!」

 わあああ!とリヴィオの大会の挨拶で盛り上がる。いつもの3割増しに彼ははりきってる気がした。

 スタート地点に立つ馬たち。どの馬も元気そうで、ソワソワともう走り出したそうにしている。

「セイラはどれなのだ?」

「白馬かしら?キレイじゃない?」

 トトが尋ねてきたので、反射的にそう答えた。その瞬間、ヨーイ……バーン!と音がなり、駆け出す馬たち。蹄で地面を蹴る。ドドドッと音がする。すごい迫力だわと私は思わず身を乗り出す。他の人も熱に浮かされ、腕や帽子まで振り出す。

「がんばれ!栗毛!」

「負けるな!黒馬ーーっ!」

 声援が熱い!手綱さばきも重要になってくる。騎手は真剣そのもの。

 ゴールしたのは栗毛の馬だった。紙吹雪が舞う中、ゆっくりと一周歩く。手が痛くなりそうなほど、皆が拍手と歓声をおくった。

「私は初めてだったけど、競馬の楽しさがわかる気がしたわ」

 つい興奮してしまった!気づけば手に汗が滲んでいた。リヴィオがそうだろ!?迫力あるだろ?と笑う。

「やっぱり競馬は楽しいだろ?」

「……ん?なんか引っかかるんだけど、どこで見たのよ?」

 ん?とリヴィオは聞き返す。

「高校生なら、ギリ入場できる!誓って言うが、賭けたことはない」

 確かにシンヤ君の記憶は高校生2年生まであるはずだから入場は可能だ……でも怪しすぎるわね。私の視線に気づくとリヴィオはニッコリと笑ったのだった。その笑顔はなんなのかしら……。

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