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学友との別れ

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「えっ!?そんなリアンが!?王妃候補に!?」

「ひどいでしょう!?悔しくて……」

 同じ私塾で幼い頃から、一緒に学んできたウィル。どこかボーッとしている優男である。身長は高く、顔立ちも整っている。彼の春の陽射しのようなほのぼのとした性格は人を和ませ、男なのに私より優雅で綺麗な所作だ。

「もったいないなぁ。この私塾でもリアンはトップクラスの成績で魔法に関しては右に出る者がいないのになぁ。よし!ちょっとご両親を説得してみようかな」

 青い瞳を曇らせて、本当に残念そうに言うウィルはどうやら私のためにひと肌脱いでくれるらしい。

「ウィル!ありがとう。持つべき者は友ね!」

「まぁ、がんばってみるけど、期待はしないほうがいいな」

 のんびりとした口調で言うウィルだったが、言葉どおりがんばってくれた。私塾の仲間の署名を集めたり、両親に手紙を書いて説得してくれたりしたらしい。

 ……しかし、それは逆効果で、私は私塾へ行くことも許されなくなった。

「未練がましく通っていてもしかたないだろう。花嫁修業でもしていなさい」

 そう父から言われて……後宮へ行くまでの3ヶ月間、外出禁止で花嫁修業のための家庭教師をつけられたのだった。

「もういいわ!」 
 
 ストレスが溜まった私はバンッと机を叩いて、言った。私塾の師匠まで説得しに家まで来てくれたらしいけど追い返されたらしい。私が逃げれば妹が身代わり。こうなっては腹をくくるしかない!

「後宮に入って、ゴロゴロ怠惰に暮らすわ!3食昼寝付きの生活を楽しむわよ!」

 投げやりになりながら、後宮入りの前日に心を決めた。要は陛下の目に止まらず、地味に過ごして、お払い箱になればいいのだ。王妃選定期間の後、後宮にとどまるかどうかはお任せらしいし……どうせ期限付きの後宮生活よ!と思って、こうなったら楽しむしかない。
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