天才と呼ばれた彼女は無理矢理入れられた後宮で、怠惰な生活を極めようとする

カエデネコ

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 終わる頃を見計らって、部屋にやってきたミンツ先輩。ウィルは他の王と会談が続くため私とミンツ先輩の2人しか室内にいない。このタイミングは……。

「なにか話したいことがあるのね」

「察しが良くて助かるよっ!」

 ミンツ先輩はさすがだよと嘆息した。私はにやりと笑った。

「リアン様が、仕事をもっと分業化するっていう案を聞いたときは、国内の職人たちが一斉に反発するとおもっていたけれどね。まさか案外簡単に受け入れられ、根付くなんて思わなかったよっ」

「分業化し、職人のレベルをあげる効率の良さをわかってもらえたのよ。例えばネジ一本でもネジ職人が、極めたものと鍛冶屋が広く浅くしているものでは品質が違うでしょ。ネジを作る時間があったらナイフや剣を作りたい鍛冶屋もいるし、ネジを極めたい鍛冶屋もいるから反発はされないと思ったわ。毎日ネジを作り続ければ、技術力も上がり、ネジを作るスピードがあがる。職人一人が一日100本作っていたものが200本作れるようになったらどうなると思う?」

「その国の生産性があがるね。いや、わかるよ。理屈ではわかるんだ。それをやってのけようとする思い切りのよさがすごいよっ!」

「ちゃんと成功した時用と失敗した時用の案も考えてあるわ。去年の木炭の出来、最高じゃなかった?」

「木炭作りの職人たちのレベルもあがってるってことか……おそるべしだね!」

 ふふふと私が笑うと、ミンツ先輩はやっぱり君は政に向いてるんだよねぇと肩をすくめる。

「王妃にしておくのは、本当にもったいないなぁ」

「あら?王妃もなかなか大変なのよ」

 ミンツ先輩はわかってるよと苦笑した。

「そういえば、他の王たちにも……分業化していると教えてやれば良いのしないのかい?エイルシアの国力が上がってきていることに、少なくともユクドールの王は気付いているよね?」

「いくら同盟国だとしても、他国に余計な内政の口出しは無用よ」

 知りたいなら、自分たちからエイルシアの発展がどこにあるのか調べ、取り入れるだろう。

「同盟国を同じ速度で発展させないのか?強い国にお互いがなれば戦の時に心強い仲間になるだろう?」

「私達の国、エイルシアがまずは力をつけることよ。ユクドールはもともと国土も人口もエイルシアの2倍はあるもの」

 まずはそれが大前提だ。民たちが仕事を手にして、荒れた田を無くし、寒い冬は暖かくすごし、教育をだれもが受け、ケガや病気を治すためにだれもが病院へ行ける。平民と呼ばれる彼らの人口がこの国で一番多い。そんな暮らしやすいやすい国になることが先決なのだ。

 エイルシア王国はここ10年で国がより良くなってきている事を民も感じ、また政に関わる私達も手応えを感じでいた。だけど、ウィルの父はあまり仕事に熱心ではなかった。だからその負債も抱えつつのスタートだった。やっとここまできた……という思いがある。この国はまだまだこれからなのだ。

「そういう綺麗事だけではない真っ白じゃないリアン様だから余計に好きなんだよね!手をつないで仲良くして、さぁ!皆で一緒に……ってしないところがリアン様だよ!」

「お手てつないで、仲良く一緒にしていても明日には敵かもしれないのよ、仲良くしながら平和な時にコソコソと国の土台づくりよ!」

「黒いねぇ!その黒さがたまらないよ!」

 褒めているのかけなしているのか、いちいちわかりにくいミンツ先輩だった。

「あー、いいね!いいね!やっぱりリアン王妃のこと好きだなぁ」

 そうミンツ先輩が言った瞬間、間が悪いことにウィルが扉をあけた。一気に不機嫌顔になった。

 あ、きまずい。

 しーんとした空気が流れた。

 ミンツ先輩はウィルの顔を見て、じゃあねっ!とにげ………逃げたーっ!?いやいやいや、なんか誤解されたままでしょ!?なんか言っていきなさいよ!

 ウィルが固まっている。

「……何だ?リアン、今の?」

「わからないけど、今、私モテ期みたいねっ!」

 冗談だったのに、笑わないウィルを見て、私も笑えなくなったのだった。



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