【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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招かざる訪問者

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「ディオンこそ!」


「そんな事あったか?話してる最中って、一体いつの話だ」
何……?これ。
全然話がかみ合わないんだけど。

「ディオン……大丈夫?つい今さっきの話だよ?ブレスレットの話も覚えてなかったみたいだし……」
「ブレスレットの話……?」
そうディオンがつぶやいた瞬間、ディオンの目が限界まで見開いて、勢いよくバッと辺りを見た。


そしてひどい剣幕で私の肩をつかんで来た。
「その話、本当か!?」
「痛っ……」
肩が痛い。

「あっ、悪りぃ」
慌てて手を放したディオンは、動揺を隠せない顔で口元を覆い、眉間に深いしわを作った。
「……まさか……」

「ディオン……どうしたの?」
心配で覗き込むと、ディオンは何かに気付いたように勢いよく顔を上げた。

「お前は、この部屋から一歩も出るな!」
「……え?」
1度だけまばたきをすると、またディオンはこの部屋から居なくなっていた。

光り輝く壁に気付いて自分の部屋をグルリと見回す。

すると、なぜかこの部屋には頑丈がんじょうなシールドが何重にも張り巡らされていた。


「……な、なんなの?」


ディオン目線――

『つい今さっきの話だよ?』
絶対、まだ近くにいる。
俺と酷似こくじした、魔力の主が……


校舎の屋上に移動をした俺は、再び魔力に意識を傾ける。
すると、学園内を転々としているような魔力の残像が映った。

いるっ!しかもかなり新しい。

誰だ。こんな馬鹿げたことをする奴は。
今度こそ捕まえて吐かせてやる!


俺が知らない魔法を使って、魔力を真似まねをしているだけだと思っていた。
でも、風貌ふうぼうまで真似ていたなんて……

なんの為にそんな事をしている?何が狙いだ?



魔力を辿って追い付いたと思うと、魔力はそこで途切れていた。
魔力の残骸ざんがいのある屋根の上に手をついて舌打ちをする。

「チッ。また見失ったか」
これで何回目だ?

魔力が微量びりょう過ぎて、まるでハンデありの追いかけっこみてぇだ。


俺の魔力がもっと回復していたのなら、違ったんだろうが……


魔力の途切れ方からして、奴は2、3回は瞬間移動を使っている。
普通の魔法使いなら、2、3回も使えばぶっ倒れるところだ。
なのに――感じるのはごく微量の魔力。
いや、逆か?
逃げようと瞬間移動を何度も使ったせいで、もう魔力がほぼ残っていないのか?

もしそうなら、もう終わりは見えてるが……
なんか嫌な感じがする。


目を閉じ、再び魔力に意識を集中させる。
すると周囲の静けさの中で、グランド側から俺にそっくりな魔力が感じられた。

それを辿たどるように飛び立ち向かうと、グランドの奥側にある展望台が最も魔力が濃く感じた。

展望台の前に降り立った瞬間、その下部からぶわっと浮き上がる魔力が見えた。

「いる……。何年も、俺の?真似《まね》をし続けた奴が……ここに」
奴を逃がさないために、先に展望台全体をシールドで包み込む。

「これで奴は、この場から逃げることはできない」
やっと、その姿を拝む瞬間が来る。

内なる興奮を感じて口角が吊り上がった、その時――

「うっ……」
不意に目の前が揺らぎ、軽い眩暈めまいが襲ってきて反射的に頭を抱えた。
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