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第4章 歴史と現実
第15話
しおりを挟む「そうちゃんが、買ってくれたの。私もお気に入りなんだけど、なかなかつける機会がなくて」
「え、総司が!?」
「何、平助。文句あんの」
「………いや? ないですよ?」
「にしては、ふくれっ面ですけど?」
また始まった、仲良しコンビ。
ぎゃーぎゃー騒いでいるのを傍目に見ながら、髪をほどいて簪でまとめようとしたけれど。
なんせ、鏡もなければ櫛もない。
その上、こっちに来てからもうずっと伸ばしたままなので、かなり長くなっているから、まとめようとしても手のひらから、ぱらぱらと零れていってしまう。
苦戦していると、無様な私の様子を見かねたのか。
山南さんが苦笑しながら申し出てくれた。
「あれ、璃桜さん、手伝いますか?」
「……ご、ごめんなさい、……お願いしていいですか……?」
恥ずかしながらも、簪をその綺麗な手に向かって差し出した。
そっと受け取られた簪は、私の手にあるよりも山南さんの手にあるほうが嬉しがっているように見えた。
そんな事実に、若干、卑屈になった私に気づいているのかいないのか、山南さんは私のねこっ毛な髪を優しく梳いて、まとめ始めた。
「女の人は大変ですよね、毎日結わなくてはいけないですから」
「私、できないから逆によかったです」
「璃桜さんなら器用なので、すぐできるようになりますよ」
にこにこ笑いながら頭の上で発せられる言葉がすごく優しくて。
ふと疑問に思ったことを尋ねてみた。
「山南さんって、……好いている方とか、いるんですか?」
「………秘密です」
あれ。
今、一瞬、不自然な間があったような、なかったような。
気のせいかもしれないけれど、私の髪に触れている山南さんの手が一瞬ピクリと反応した気がした。
「さ、できましたよ」
「わぁ……ありがとうございます」
「夕餉までには帰ってきてくださいね。璃桜さんのご飯、食べたいですから」
ああ、山南さんはいつもこうやって、私に居場所をくれるの。
そんな、すごく、優しい人。
「………はい」
「璃桜ちゃん、可愛いねぇ」
「ありがと、為坊」
為坊の手を引いて屯所を出て、道を歩き出せば、後ろからようやっと平ちゃんとの絡みが終わったそうちゃんが追いかけてきた。
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