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再会の予感
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薫瑛のいらついた様子を目におさめつつ、恵菜は男運がなかったこれまでの出来事や、あの京極という霊媒師とのやりとりについて覚えている限りのことを説明し始める。
ヨミは最後まで考え込むそぶりで聞き終えた後、神妙そうに言った。
「やはり人ならざるものと魂の契約が交わされたと見るのが妥当か。……これまで婚儀までをつつがなく終えられたのは、おそらく相手方もこの死者の世界には干渉できなかったからであろう。」
なるほど、さすがに死者の国にいる上、その王であるヨミを祟ることなどできなかったらしい。
そして、彼は長いまつ毛を伏せて呟いた。
「それにしても、そなたの自覚がないのが妙だ」
「そうなの?」
「あぁ、神であれ何であれ、双方の合意がなければ魂を娶ることはできぬ。ということは、エナが気にも留めないほどの他愛ない口約束だったか、もしくは、記憶もないほど幼い頃に交わした契りなのか……エナ、本当に心当たりがないのか?」
「う、うん……ごめん。全然分からない……」
八方塞がりな状況に申し訳なさが募り、エナは力無く誤った。そしてずっと抱えていた疑問をぽつりとこぼしてみる。
「あの、このままの状態が続いたら、どうなるの?ここにはいられなくなるのかな?ヨミと離れなきゃ駄目なの?いや、仮に、の話だけど……」
「いいや、何が起きてもそんなことはさせぬ!離れるなど……!」
私の呟きに彼は平静を失った様子で私の肩をむんずと掴んだ。そしてハッとした後、すまない、と手を離す。そして決まり悪そうに言った。
「……すぐに何かある、というわけではないが、あまりよくない状況ではある。生者であるそなたが黄泉の国に留まるということは、世の理に反するということだ。それが続けば、時空が歪むきっかけになったり、そなたの心身にも不調が出たりしかねない。……あとは」
「……あとは?」
言いづらそうに口ごもるヨミに、呆れた声色で薫瑛が口を挟んだ。
「生者との間では子供をもうけることができません。世継ぎをつくれない、それ以上に深刻な問題などない」
「薫瑛……口を慎め」
薫瑛に泣く子も黙るような冷徹な視線をお見舞いした後、彼は眉尻を下げて別人かのような優しい声でエナの頬を撫でて言った。
「済まぬ、子については世継ぎをこさえなくてはならぬという余の問題ゆえ、そなたに心労をかけさせるのは本意ではないのだが……。そもそも腹を痛めて産むのはエナだ、愛しいそなたにその痛みを強いるのが苦しくてならぬ」
「ヨミ、何言ってるの。その、黄泉の国の王様?に輿入れした時点で、後継ぎを産むっていうのはその……覚悟してたというか、そうだろうなと思ってたからさ。そんな顔しないでよ」
その言葉に、思いがけなかったとばかりにヨミは目をみはると、みるみるうちに喜色を浮かべてその男性や顔を綻ばせた。そして強くエナを抱きしめる。
「あぁエナ……そなたが愛おしくてたまらぬ。早く全てを世のものにしたい」
「わ、私も……早く、本当のヨミの奥さんに、なりたいよ」
先ほどまでの張り詰めた空気はどこへやら、甘ったるくなりかけた空間に薫瑛の冷めた声が響き、現実へと二人を引き戻す。
「あ~……そういうのもういいですから。それで、相手が分からないならその……れいばいし?エナ様の知り合いに話を聞くしかないでしょう。彼に会う必要がありますね」
ヨミは最後まで考え込むそぶりで聞き終えた後、神妙そうに言った。
「やはり人ならざるものと魂の契約が交わされたと見るのが妥当か。……これまで婚儀までをつつがなく終えられたのは、おそらく相手方もこの死者の世界には干渉できなかったからであろう。」
なるほど、さすがに死者の国にいる上、その王であるヨミを祟ることなどできなかったらしい。
そして、彼は長いまつ毛を伏せて呟いた。
「それにしても、そなたの自覚がないのが妙だ」
「そうなの?」
「あぁ、神であれ何であれ、双方の合意がなければ魂を娶ることはできぬ。ということは、エナが気にも留めないほどの他愛ない口約束だったか、もしくは、記憶もないほど幼い頃に交わした契りなのか……エナ、本当に心当たりがないのか?」
「う、うん……ごめん。全然分からない……」
八方塞がりな状況に申し訳なさが募り、エナは力無く誤った。そしてずっと抱えていた疑問をぽつりとこぼしてみる。
「あの、このままの状態が続いたら、どうなるの?ここにはいられなくなるのかな?ヨミと離れなきゃ駄目なの?いや、仮に、の話だけど……」
「いいや、何が起きてもそんなことはさせぬ!離れるなど……!」
私の呟きに彼は平静を失った様子で私の肩をむんずと掴んだ。そしてハッとした後、すまない、と手を離す。そして決まり悪そうに言った。
「……すぐに何かある、というわけではないが、あまりよくない状況ではある。生者であるそなたが黄泉の国に留まるということは、世の理に反するということだ。それが続けば、時空が歪むきっかけになったり、そなたの心身にも不調が出たりしかねない。……あとは」
「……あとは?」
言いづらそうに口ごもるヨミに、呆れた声色で薫瑛が口を挟んだ。
「生者との間では子供をもうけることができません。世継ぎをつくれない、それ以上に深刻な問題などない」
「薫瑛……口を慎め」
薫瑛に泣く子も黙るような冷徹な視線をお見舞いした後、彼は眉尻を下げて別人かのような優しい声でエナの頬を撫でて言った。
「済まぬ、子については世継ぎをこさえなくてはならぬという余の問題ゆえ、そなたに心労をかけさせるのは本意ではないのだが……。そもそも腹を痛めて産むのはエナだ、愛しいそなたにその痛みを強いるのが苦しくてならぬ」
「ヨミ、何言ってるの。その、黄泉の国の王様?に輿入れした時点で、後継ぎを産むっていうのはその……覚悟してたというか、そうだろうなと思ってたからさ。そんな顔しないでよ」
その言葉に、思いがけなかったとばかりにヨミは目をみはると、みるみるうちに喜色を浮かべてその男性や顔を綻ばせた。そして強くエナを抱きしめる。
「あぁエナ……そなたが愛おしくてたまらぬ。早く全てを世のものにしたい」
「わ、私も……早く、本当のヨミの奥さんに、なりたいよ」
先ほどまでの張り詰めた空気はどこへやら、甘ったるくなりかけた空間に薫瑛の冷めた声が響き、現実へと二人を引き戻す。
「あ~……そういうのもういいですから。それで、相手が分からないならその……れいばいし?エナ様の知り合いに話を聞くしかないでしょう。彼に会う必要がありますね」
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退会済ユーザのコメントです
読んでくださってありがとうございます〜!✨素敵と言っていただけて嬉しいです🥺実は蛇神さまの出番までまだ少しあるので、早く出したい…!という気持ちでいっぱいです!笑
間に入るの難しそうですが、ヨミさんも蛇神さんにもお互い頑張ってほしいなと思ってます😂
感想励みになります✨
ねちっこいクリ責め描写最高です!ねちっこければねちっこいほど嬉しすぎて寿命が伸びます🙏
ヨミさんの恵菜ちゃんを気遣うのが心温まりますし、薫瑛がいることで羞恥責めになってる恵那ちゃんと全く気にしてないヨミさんの反応の差の描写が育ちの違いを改めて感じさせて大好きです💕
感想ありがとうございます〜!クリ責めにはいつも時間をかけてしまう…笑
続き頑張って書きますのでどうぞ引き続きよろしくお願いします……!!
最新話読みました!
恵菜ちゃんの決めるのは自分という意思があるのが良い女で大好きです💕
ヨミさんの相手に誠実にあろうという意思と恵菜ちゃんの覚悟の決まり方が本当に好きで今後の展開が楽しみです!
ありがとうございます〜!ここまで読んでくださってることがまず嬉しいです😭✨
エナちゃんはもう覚悟が決まっているし、ヨミさんは全力で愛してくれるので最高のカップルになると思います……!
次回は待ちに待った初夜です!長めにたっぷり書きたいな〜と思うので、またぜひ読んでくださると嬉しいです💓感想励みになります☺️