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本編
21. 決闘ですわ 前編
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今日の仕事は、ルクス村近くに出没する山狼の退治だ。普段はもっと高地にいるのだが、今年は山の実りが少ないので人里近くに降りてきているらしい。鋭い爪と素早い動きで、勇士が何人も退治に失敗している。
だが、ユリウス様の補助魔法で素早さを上げていたおかげで、難なく倒すことが出来た。
「いやあ、今回は簡単でしたねえ」
「それだけルイーゼが強いってことだよ」
「あれぇ~?倒しちまったのか?せっかく俺たちが、こんな田舎まで出張って来たのによぉ」
ベルクフェンリルの死体を検分している私に、声をかけてくる者がいた。
勇士らしき三人の男たちだった。話しかけてきた中肉中背の男は槍使いらしく、背丈を越える長槍を持っている。背の高い男は大剣、残りの一人は杖を持っていた。剣士と魔法士ってところね。装備から推測するに、結構な熟練であることは想像が付く。
「あなた達は?」
「俺はエアハルト。こっちのデカいのがギード、ちっこいのがローマン。俺たちはチーム"暁の栄光"だ。聞いたことくらいあるだろ?」
「無いわ」
「俺も知らないっすね」
「僕も」
エアハルトと名乗った男が、苛ついた顔になった。
「ちっ、これだから田舎ものは……。まあいい。そのベルクフェンリルをよこしな」
こちとら王都出身だけど?田舎者はそっちじゃないかしら。
「どうして、あなたたちに渡さなければならないの?」
「そうっすよ。これはお嬢が仕留めた獲物だ」
エアハルトが殺気をはらんだ目でギロリ、とこちらを睨む。オスカーはひぃっと声を上げて、私の後ろに隠れてしまった。ちょっと情けないわね。
「俺たちを知らないってことは、田舎から出てきたばかりの新米だろ?新米がベルクフェンリルを倒したなんて、信じてもらえないんじゃねえか?俺たちがランツに報告しといてやるよ」
なるほど。こいつら、私たちがルーキーと思って完全に舐めてるわね。
「お断りよ。どうしても欲しいのなら、剣士らしく決闘で勝負をつけましょう」
「お嬢!?」
「わあ、決闘だ!僕、見るの初めて!」
彼らは、私の答えを聞いて笑い出した。
「わはははは!お嬢ちゃん、俺たちに勝てると思ってんのか?可愛い顔に傷が付いても知らねえぞ」
「いいじゃねぇか。こっちとしちゃ、ありがてぇ話だ。お嬢ちゃんを倒せば、ベルクフェンリルが手に入るんだからな」
「暁の栄光がこんなところまで来たってのに、報酬無しってのもシマらねえと思ってた所だぜ」
三人は笑いながら、私のそばに寄ってきて見下ろしている。
威嚇のつもり?ちっとも怖くないわよ。
「それで?誰が私の相手をしてくれるのかしら?」
「俺がやろう。そっちは三人がかりでも構わないぜ」
エアハルトが答えた。
「私一人でいいわ」
「自信過剰だな。そっちが言い出したんだ、負けたら素直に獲物をよこせよ」
「勿論よ。こっちが勝ったら……そうね、有り金を全部貰おうかしら」
「……お嬢もたいがい悪党っすね」
オスカーがぼそっと呟いたが無視した。勇士家業は弱肉強食よ。舐められたら十倍にして返さないと。
だが、ユリウス様の補助魔法で素早さを上げていたおかげで、難なく倒すことが出来た。
「いやあ、今回は簡単でしたねえ」
「それだけルイーゼが強いってことだよ」
「あれぇ~?倒しちまったのか?せっかく俺たちが、こんな田舎まで出張って来たのによぉ」
ベルクフェンリルの死体を検分している私に、声をかけてくる者がいた。
勇士らしき三人の男たちだった。話しかけてきた中肉中背の男は槍使いらしく、背丈を越える長槍を持っている。背の高い男は大剣、残りの一人は杖を持っていた。剣士と魔法士ってところね。装備から推測するに、結構な熟練であることは想像が付く。
「あなた達は?」
「俺はエアハルト。こっちのデカいのがギード、ちっこいのがローマン。俺たちはチーム"暁の栄光"だ。聞いたことくらいあるだろ?」
「無いわ」
「俺も知らないっすね」
「僕も」
エアハルトと名乗った男が、苛ついた顔になった。
「ちっ、これだから田舎ものは……。まあいい。そのベルクフェンリルをよこしな」
こちとら王都出身だけど?田舎者はそっちじゃないかしら。
「どうして、あなたたちに渡さなければならないの?」
「そうっすよ。これはお嬢が仕留めた獲物だ」
エアハルトが殺気をはらんだ目でギロリ、とこちらを睨む。オスカーはひぃっと声を上げて、私の後ろに隠れてしまった。ちょっと情けないわね。
「俺たちを知らないってことは、田舎から出てきたばかりの新米だろ?新米がベルクフェンリルを倒したなんて、信じてもらえないんじゃねえか?俺たちがランツに報告しといてやるよ」
なるほど。こいつら、私たちがルーキーと思って完全に舐めてるわね。
「お断りよ。どうしても欲しいのなら、剣士らしく決闘で勝負をつけましょう」
「お嬢!?」
「わあ、決闘だ!僕、見るの初めて!」
彼らは、私の答えを聞いて笑い出した。
「わはははは!お嬢ちゃん、俺たちに勝てると思ってんのか?可愛い顔に傷が付いても知らねえぞ」
「いいじゃねぇか。こっちとしちゃ、ありがてぇ話だ。お嬢ちゃんを倒せば、ベルクフェンリルが手に入るんだからな」
「暁の栄光がこんなところまで来たってのに、報酬無しってのもシマらねえと思ってた所だぜ」
三人は笑いながら、私のそばに寄ってきて見下ろしている。
威嚇のつもり?ちっとも怖くないわよ。
「それで?誰が私の相手をしてくれるのかしら?」
「俺がやろう。そっちは三人がかりでも構わないぜ」
エアハルトが答えた。
「私一人でいいわ」
「自信過剰だな。そっちが言い出したんだ、負けたら素直に獲物をよこせよ」
「勿論よ。こっちが勝ったら……そうね、有り金を全部貰おうかしら」
「……お嬢もたいがい悪党っすね」
オスカーがぼそっと呟いたが無視した。勇士家業は弱肉強食よ。舐められたら十倍にして返さないと。
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