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本編
22. 決闘ですわ 中編
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「私はルイーゼ・クラッセン。この決闘に、先ほど倒したベルクフェンリルの身体を掛けます」
私は剣を構えると決闘の礼に則り、名乗りを上げる。
「俺はエアハルト・デュッカー。この決闘に、俺たちの有り金全部を掛けるぜ」
エアハルトも槍を構え、返した。
互いに間合いを測り、しばらく睨みあう。
「せいっ!」
先に向こうが仕掛けてきた。私はそれを交わしつつ、間合いを詰めようとする。だが、エアハルトは即座に槍の方向を切り替えて攻撃してきた。
何度か槍と剣がぶつかり合い、剣戟が響く。
「ふーん。動きはなかなかだな、嬢ちゃん」
「そちらもね」
この男、強い。驕るだけはある。剣は槍より間合いが短いので不利だ。私は地面を蹴り、最大速で近づこうとした。
槍の切っ先が私の顔をかすったが、紙一重で交わす。そのまま槍の上に剣を滑らせ、一気に間合いを詰めた。
「うぬぅ!」
エアハルトは叫びながら、槍の柄を私にぶつけてきた。腹に衝撃を感じたが、足を踏み込んで耐える。この機会を逃すわけには行かない。私は全速で彼の肩に剣を刺した。
ずぶり、という音と共に肉を裂く感触が伝わってくる。
「ぎゃぁぁぁ!」
槍を落としたエアハルトが、肩を抑えてうずくまった。私は次の攻撃に備えて剣を構えたが、相手は怯えた顔をしている。もはや勝負を続ける気力は無いようだ。
「勝負あったっすね」
「ええ。そこの魔法士の人、ローマンさんだったかしら?治癒をお願いします」
「おいおい。何やってんだエアハルト、こんな小娘相手に。油断しちまったのか?」
ローマンが慌てて治癒魔法をかける傍らで、大男のギードが呆れたような声を上げた。
「うる……さい……」
痛みでハァハァ言いながら答えるエアハルトを横目に、ギードが大剣を取り出す。
「仕方ねぇなあ。次は俺が相手だ」
「ちょっと待って下さいよ。もう決着は付いてるでしょう?」
「そうだよ!こっちはルイーゼ一人なのに。卑怯だ」
文句を言うユリウス様とオスカーを、ギードがギロリと睨んだ。
「ああん?決闘の相手が一人だとは言ってねえだろ?」
「そんな無体な」
「構わないわよ、オスカー。やりましょう」
「おう、そうこなくっちゃな!」
私はギードと向かい合い、剣を構える。
相手の大きさに圧倒される。それにあの大剣……。まともに喰らったら、骨が砕けるかもしれない。
「おりゃっ!」
ギードが大剣を振り回した。ブゥンという音と共に風圧がかかる。私は相手の剣が届かない間合いまで後退した。だが見た目に反し、ギードの素早さはかなりのものだった。ガンガンと間合いを詰められていく。
剣で相手をいなしつつ、隙を伺う。剣が大きい分、振った後の切り返しには一瞬の間がある。そこを狙うしかない。
ギードの大振りを交わし、私は懐に飛び込んだ。だが、彼はニヤリと笑みを浮かべる。
罠だ!
慌てて下がろうとするが、ギードが左手から何かを投げてきた。ドルネンの木の実だった。ドルネンの実は表面がトゲトゲしてるため、身体や顔に吸いついてくる。パラパラと顔に当たるそれに気を取られ、私は一瞬怯んでしまう。そこを見逃さず、ギードは容赦なく剣を振り下ろした。
こちらも剣を横に構え、なんとか受け止める。剣と剣で、組み合う体勢になった。
「ひっかかったな、嬢ちゃん。これで終わりだ」
私は剣を構えると決闘の礼に則り、名乗りを上げる。
「俺はエアハルト・デュッカー。この決闘に、俺たちの有り金全部を掛けるぜ」
エアハルトも槍を構え、返した。
互いに間合いを測り、しばらく睨みあう。
「せいっ!」
先に向こうが仕掛けてきた。私はそれを交わしつつ、間合いを詰めようとする。だが、エアハルトは即座に槍の方向を切り替えて攻撃してきた。
何度か槍と剣がぶつかり合い、剣戟が響く。
「ふーん。動きはなかなかだな、嬢ちゃん」
「そちらもね」
この男、強い。驕るだけはある。剣は槍より間合いが短いので不利だ。私は地面を蹴り、最大速で近づこうとした。
槍の切っ先が私の顔をかすったが、紙一重で交わす。そのまま槍の上に剣を滑らせ、一気に間合いを詰めた。
「うぬぅ!」
エアハルトは叫びながら、槍の柄を私にぶつけてきた。腹に衝撃を感じたが、足を踏み込んで耐える。この機会を逃すわけには行かない。私は全速で彼の肩に剣を刺した。
ずぶり、という音と共に肉を裂く感触が伝わってくる。
「ぎゃぁぁぁ!」
槍を落としたエアハルトが、肩を抑えてうずくまった。私は次の攻撃に備えて剣を構えたが、相手は怯えた顔をしている。もはや勝負を続ける気力は無いようだ。
「勝負あったっすね」
「ええ。そこの魔法士の人、ローマンさんだったかしら?治癒をお願いします」
「おいおい。何やってんだエアハルト、こんな小娘相手に。油断しちまったのか?」
ローマンが慌てて治癒魔法をかける傍らで、大男のギードが呆れたような声を上げた。
「うる……さい……」
痛みでハァハァ言いながら答えるエアハルトを横目に、ギードが大剣を取り出す。
「仕方ねぇなあ。次は俺が相手だ」
「ちょっと待って下さいよ。もう決着は付いてるでしょう?」
「そうだよ!こっちはルイーゼ一人なのに。卑怯だ」
文句を言うユリウス様とオスカーを、ギードがギロリと睨んだ。
「ああん?決闘の相手が一人だとは言ってねえだろ?」
「そんな無体な」
「構わないわよ、オスカー。やりましょう」
「おう、そうこなくっちゃな!」
私はギードと向かい合い、剣を構える。
相手の大きさに圧倒される。それにあの大剣……。まともに喰らったら、骨が砕けるかもしれない。
「おりゃっ!」
ギードが大剣を振り回した。ブゥンという音と共に風圧がかかる。私は相手の剣が届かない間合いまで後退した。だが見た目に反し、ギードの素早さはかなりのものだった。ガンガンと間合いを詰められていく。
剣で相手をいなしつつ、隙を伺う。剣が大きい分、振った後の切り返しには一瞬の間がある。そこを狙うしかない。
ギードの大振りを交わし、私は懐に飛び込んだ。だが、彼はニヤリと笑みを浮かべる。
罠だ!
慌てて下がろうとするが、ギードが左手から何かを投げてきた。ドルネンの木の実だった。ドルネンの実は表面がトゲトゲしてるため、身体や顔に吸いついてくる。パラパラと顔に当たるそれに気を取られ、私は一瞬怯んでしまう。そこを見逃さず、ギードは容赦なく剣を振り下ろした。
こちらも剣を横に構え、なんとか受け止める。剣と剣で、組み合う体勢になった。
「ひっかかったな、嬢ちゃん。これで終わりだ」
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