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婚約破棄
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「ああ...チェムリー、君はなんて愛らしいんだ!」
わたしの前で可憐にオーバーアクションをする薔薇を口に加えたこの男性は、わたしの婚約者です。
今日は、遥々帝国からわたしに会うために、このルメール公国に訪れて来たのです。
えっと、幼い歳頃なんだけど、帝国では皇帝・カリスト・カンダスとして一番偉いんだとか.....
「えっと...」
ちなみに、わたしはこの皇帝は別に愛してる訳ではありませんので、何時もどう返していいか悩んでしまうのです。
(じゃあ?チェムリーちゃんの出番かな?)
ちょっとまって、これ以上は、あんまり乱さないで欲しいかな?
お兄様は勘が鋭いけど、この皇帝はちょっと......
「愛らしいよ!だってチェムリーはこの世一番の美女だもん」
ちょっと!?
話聞いてた?
(ん?カリストちゃんの加えてる薔薇が本物か造花の話だったっけ?)
ちっ違うよ!
「ああ、その通りだ!君は世界一番の美女だよ」
ああ....違うんだってば.......
「ところで、今日はどうしたのかな?まさかチェムリーに会うためだけに馬を遠い帝国からかっ飛ばして来たんじゃないよね?」
それはきっと......
「ああ、勿論だ。私はな!君を攫いに来たんだよ!」
「ん?つまり誘拐って事かな?」
ある意味そうなんだけど......
悪気は無いらしいんだけど......
「誘拐か......それも悪くは無いな....けど、そうではないのだよ」
「ふーん」
「私は君を婚約者として迎いに来たのさ!」
「あそ...」
「私は君を婚.....」
「二度も言うなよ。そんな事してもチェムリーちゃんの心は一ミリも偏らないんだよ?」
「........チェムリー?」
「ん?」
「今日の君はおかしいぞ?」
「そかな?」
「ああ、君はもっと、清らかだったはずなのでは.....ないのかな?」
「ん?そうかな?」
「ダメだ...今の君は全然華やかではない...」
「おこなの?」
「ああ、すまんが、婚約はちょっと考えさせてくれ」
「ん?失望しちゃった?」
「そう言う事だ。すまんがこれで私は失礼するよ。ぅぅ.....さらばだ...チェムリーよ....」
「ああ...行っちゃった」
ちょっと!
皇帝泣かしちゃったじゃない!
それに、失望ってそんな...
(およ?別に好きじゃないんでしょ?あのナルシスト)
そうだけど......
(寧ろ嬉しいんじゃないの?これでまた自由に慣れたんだよ?)
言われてみれば.....
ちょっと気が楽になったかも。
(でしょでしょ?)
うん。なんだか今、とっても気持ちいいかも......
皇帝との婚約は心が窮屈だったし.....
お兄様との関係だってそうだった。
このチェムリーが存在してからか、わたしはわたしで無くなってしまいそうなんだけど......
それはわたしの願った理想に近づいていると思うのでした。
わたしの前で可憐にオーバーアクションをする薔薇を口に加えたこの男性は、わたしの婚約者です。
今日は、遥々帝国からわたしに会うために、このルメール公国に訪れて来たのです。
えっと、幼い歳頃なんだけど、帝国では皇帝・カリスト・カンダスとして一番偉いんだとか.....
「えっと...」
ちなみに、わたしはこの皇帝は別に愛してる訳ではありませんので、何時もどう返していいか悩んでしまうのです。
(じゃあ?チェムリーちゃんの出番かな?)
ちょっとまって、これ以上は、あんまり乱さないで欲しいかな?
お兄様は勘が鋭いけど、この皇帝はちょっと......
「愛らしいよ!だってチェムリーはこの世一番の美女だもん」
ちょっと!?
話聞いてた?
(ん?カリストちゃんの加えてる薔薇が本物か造花の話だったっけ?)
ちっ違うよ!
「ああ、その通りだ!君は世界一番の美女だよ」
ああ....違うんだってば.......
「ところで、今日はどうしたのかな?まさかチェムリーに会うためだけに馬を遠い帝国からかっ飛ばして来たんじゃないよね?」
それはきっと......
「ああ、勿論だ。私はな!君を攫いに来たんだよ!」
「ん?つまり誘拐って事かな?」
ある意味そうなんだけど......
悪気は無いらしいんだけど......
「誘拐か......それも悪くは無いな....けど、そうではないのだよ」
「ふーん」
「私は君を婚約者として迎いに来たのさ!」
「あそ...」
「私は君を婚.....」
「二度も言うなよ。そんな事してもチェムリーちゃんの心は一ミリも偏らないんだよ?」
「........チェムリー?」
「ん?」
「今日の君はおかしいぞ?」
「そかな?」
「ああ、君はもっと、清らかだったはずなのでは.....ないのかな?」
「ん?そうかな?」
「ダメだ...今の君は全然華やかではない...」
「おこなの?」
「ああ、すまんが、婚約はちょっと考えさせてくれ」
「ん?失望しちゃった?」
「そう言う事だ。すまんがこれで私は失礼するよ。ぅぅ.....さらばだ...チェムリーよ....」
「ああ...行っちゃった」
ちょっと!
皇帝泣かしちゃったじゃない!
それに、失望ってそんな...
(およ?別に好きじゃないんでしょ?あのナルシスト)
そうだけど......
(寧ろ嬉しいんじゃないの?これでまた自由に慣れたんだよ?)
言われてみれば.....
ちょっと気が楽になったかも。
(でしょでしょ?)
うん。なんだか今、とっても気持ちいいかも......
皇帝との婚約は心が窮屈だったし.....
お兄様との関係だってそうだった。
このチェムリーが存在してからか、わたしはわたしで無くなってしまいそうなんだけど......
それはわたしの願った理想に近づいていると思うのでした。
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