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第3話 どうにもならない
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希月は、自分が目覚める前の状況をメレとエトに話した。二人は希月の話を真剣に聞いてくれた。
「そっかぁ、そうだったんだ」
「だから、俺、今すぐにでも元の世界に帰りたいんだけど、どうすれば帰れますかね?」
メレとエトは顔を見合わせ、首を横に振った。
「ごめん、それは無理だと思う」
「どうして?」
メレが静かに話し始めた。
「希月、あなたはたぶん〈召喚魔法〉でこっちに来たんだと思う」
しょうかん?って、召喚でいいのか?
「この世界には様々な魔法が存在するの。ただ、希月がここにこうしている理由は召喚されたとしか考えられない」
「え、でも俺向こうじゃ魔法なんて使えないよ」
「こっちから誰かが魔法を使ったの。そして、たまたまあなたが巻き込まれたんだと思う」
なんてことだ。俺があのとき川に行かなければよかったのか。そうすればこんなことにならずに済んだのに。
そう思ったところで、ふと疑問がわいた。
「あれ、でも召喚されたなら俺の身体はなんで別の人のなの?」
「たぶん、召喚されたのが“魂”だけなんだと思う」
「タマシイって、俺の?」
「そう。だから、身体は別人。魂だけが召喚されて別の身体に入ったの」
「そんなこと…」
あるんだな、その証拠が俺か。
希月はなんともいえない気分になった。
魂が召喚?なんじゃそりゃ。ありえねー、すっげー迷惑なんですけど!
「魔法ってね、それを使う人の力量にものすごく左右されるの。火を操ったり、怪我を直したり。得意不得意はもちろんあるし、本当に高度なものはできる人が限られてくる」
エトが姉の言葉を継ぐ。
「高度な魔法になってくると、それを使用した術者本人か、それを上回る力を持つ人でないとどうこうできない」
「そんな…あっ、でもすごい魔法使いが何人か集まってもらって、俺を元の世界に返すってことは―」
「無理だよ」
エトが首を振った。
「召喚魔法は、普通どんなに優秀な魔術師がやったって、できるようなもんじゃない。それほどのものなんだ。失敗したら死ぬし。召喚された人間なんて、初めて聞くよ」
「俺、もう帰れないの?」
「うーん、とりあえず、希月を召喚した魔術師を見つけだして、同じように魔法をかけてもらえばいいとは思うけど」
「そうか!まだ希望はあるんだな。で、その人はどこにいるの?」
「ごめん、知らない。多分、君を召喚してすぐにここからいなくなったんだと思う」エトが申し訳なさそうな顔をする。
「ええー!困るよ!ってことは、俺はしばらくこのままってことだよな」
「そうなるね」
「そんなぁ……」
せっかく帰るヒントを見つけたのに、俺をこんなことに巻き込んだ当の本人がいないんじゃどうにもならない。この身体のまま、生活するのか…。
「…ねぇ、俺のこの身体の人って、どういう人?」
「あっ!」
「そうだった…」
どうやら、二人は希月のことで頭がいっぱいになっていたらしく、当初の目的を忘れていたらしい。
メレが両手を肩にのせゆすってきた。
「そうそう。希月の身体の人はね、この国の王子ラニだよ」
「おうじ……?」
「そう、王子!二番目にあたる人なんだけど、昨日から行方不明になってて、それで、よくこの森に遊びにくるから私たちも心配になって探してたとこだったの。そしたら、こんなことになってたって訳」
そんな!一般人ではなく、王子…。
「希月、お前のことも、ラニのことも心配だよ。召喚した魔術師のこともね。でも、今のお前がラニであることに変わりなくて、今すぐどうこうできる話じゃないんだ。本当に申し訳ないけど、ここはそれで生きていくしかない」
「えーっと、それは、つまり……」
嫌な予感がした。エトが、はっきりと言った。
「この国の王子として生きろってことだよ」
「そっかぁ、そうだったんだ」
「だから、俺、今すぐにでも元の世界に帰りたいんだけど、どうすれば帰れますかね?」
メレとエトは顔を見合わせ、首を横に振った。
「ごめん、それは無理だと思う」
「どうして?」
メレが静かに話し始めた。
「希月、あなたはたぶん〈召喚魔法〉でこっちに来たんだと思う」
しょうかん?って、召喚でいいのか?
「この世界には様々な魔法が存在するの。ただ、希月がここにこうしている理由は召喚されたとしか考えられない」
「え、でも俺向こうじゃ魔法なんて使えないよ」
「こっちから誰かが魔法を使ったの。そして、たまたまあなたが巻き込まれたんだと思う」
なんてことだ。俺があのとき川に行かなければよかったのか。そうすればこんなことにならずに済んだのに。
そう思ったところで、ふと疑問がわいた。
「あれ、でも召喚されたなら俺の身体はなんで別の人のなの?」
「たぶん、召喚されたのが“魂”だけなんだと思う」
「タマシイって、俺の?」
「そう。だから、身体は別人。魂だけが召喚されて別の身体に入ったの」
「そんなこと…」
あるんだな、その証拠が俺か。
希月はなんともいえない気分になった。
魂が召喚?なんじゃそりゃ。ありえねー、すっげー迷惑なんですけど!
「魔法ってね、それを使う人の力量にものすごく左右されるの。火を操ったり、怪我を直したり。得意不得意はもちろんあるし、本当に高度なものはできる人が限られてくる」
エトが姉の言葉を継ぐ。
「高度な魔法になってくると、それを使用した術者本人か、それを上回る力を持つ人でないとどうこうできない」
「そんな…あっ、でもすごい魔法使いが何人か集まってもらって、俺を元の世界に返すってことは―」
「無理だよ」
エトが首を振った。
「召喚魔法は、普通どんなに優秀な魔術師がやったって、できるようなもんじゃない。それほどのものなんだ。失敗したら死ぬし。召喚された人間なんて、初めて聞くよ」
「俺、もう帰れないの?」
「うーん、とりあえず、希月を召喚した魔術師を見つけだして、同じように魔法をかけてもらえばいいとは思うけど」
「そうか!まだ希望はあるんだな。で、その人はどこにいるの?」
「ごめん、知らない。多分、君を召喚してすぐにここからいなくなったんだと思う」エトが申し訳なさそうな顔をする。
「ええー!困るよ!ってことは、俺はしばらくこのままってことだよな」
「そうなるね」
「そんなぁ……」
せっかく帰るヒントを見つけたのに、俺をこんなことに巻き込んだ当の本人がいないんじゃどうにもならない。この身体のまま、生活するのか…。
「…ねぇ、俺のこの身体の人って、どういう人?」
「あっ!」
「そうだった…」
どうやら、二人は希月のことで頭がいっぱいになっていたらしく、当初の目的を忘れていたらしい。
メレが両手を肩にのせゆすってきた。
「そうそう。希月の身体の人はね、この国の王子ラニだよ」
「おうじ……?」
「そう、王子!二番目にあたる人なんだけど、昨日から行方不明になってて、それで、よくこの森に遊びにくるから私たちも心配になって探してたとこだったの。そしたら、こんなことになってたって訳」
そんな!一般人ではなく、王子…。
「希月、お前のことも、ラニのことも心配だよ。召喚した魔術師のこともね。でも、今のお前がラニであることに変わりなくて、今すぐどうこうできる話じゃないんだ。本当に申し訳ないけど、ここはそれで生きていくしかない」
「えーっと、それは、つまり……」
嫌な予感がした。エトが、はっきりと言った。
「この国の王子として生きろってことだよ」
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