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十五話 不安。
しおりを挟む二十分ほど歩いていると、豪華かつ大きなお屋敷がいくつも立ち並んでいて街の雰囲気ががらりと変わっていた。
その中の一つの屋敷の前にやってきた。
『ここが私の住んでいる屋敷です』
『でっかい家だな。俺が前世で住んでいたアパートが何個入るのかわからない』
『へーノヴァさんが暮らして家ですか。少し興味あります。今度、どんなものだったか教えてください』
『いや、何の面白味もない普通のアパートだよ?』
『そうなんですか?』
『ああ、いいもんじゃんない』
住んでいたアパートを頭に浮かべるが、伝えるほどのものではないと再認識して俺は首を横に振った。
そして、屋敷を囲む塀の先に門があって、そこには鎧を身に纏った兵士が二人立っていた。
その兵士達はアリアとリナリーの顔を見るとすぐに扉を開けて中に入ることができた。
扉の先には草花が綺麗に咲き誇る庭が広がっていた。
俺はきょろきょろと庭の草花を見渡して、鼻先をスンスンと動かし花々の甘い香りを楽しむ。
『なかなか、綺麗な庭だな』
俺は綺麗な庭の様子に少し感動を覚えていた。すると、リナリーが少し胸を張って見せた。
『ふふ、先代様は草花を愛でるのが好きなお人で、この庭は先代様がこよなく愛した庭なのです。そして、今は先代様の意思を引き継いだ私達メイドが管理しているので美しいのは当たり前ですよ』
『え? これってメイド達が管理しているのか?』
『それは……はい。今の当主である私のお父様が雇っていた庭師達を解雇してしまって』
『そ、そうか』
『……』
黙ってしまったリナリーが俺をちらっと視線を向けた。そして、次にアリアへと視線を向けて声を掛ける。
『あのアリア様一つよろしいでしょうか?』
『ん? どうしました?』
『お館様には、ノヴァのことはお話になられるのですか?』
『正直、迷っています』
『え、何か問題があった?』
俺の問いかけにアリアは語彙を弱めて、視線を下に向けた。
『……いえ』
『お嬢様。もし、ノヴァが聖獣であることをお館様が知った場合、その価値に気付きアリア様に黙って売りに出すのではと懸念しているのです』
リナリーはアリアにまっすぐ視線を向ける。すると、アリアは困惑して表情を曇らせた。
え、アリアに黙って……?
リナリーがここまで言うということは今までにもあったのだろうか?
しかし、子供の所有している物を勝手に売るとか、やばい親だな。ちょっとドン引きなんだが。
『そこまでしないと私は思っているのですが……』
『差し出がましい進言、申し訳ありませんが……私は十分にあると思います』
『そうですか……。そうですね。では、どうしたらよろしいでしょうか?』
『……お館様には普通に猫を飼いたいと言った方がいいと思います。少なくとも聖獣ということは言わない方がよろしいかと』
『そうですね。わかりました』
アリアの父親に不安を抱きながら、俺は屋敷に向かうアリアとリナリーの後ろに付いて歩きだした。
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