[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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17 攫われたリリィ

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トーヤはリリィから緊急通信が送られた時、丁度レイ王国にいた。


リリィの様子に違和感を感じてから、東国の国王に面会し違和感について相談した。国王も以前リリィとの雑談の中で獣人の番に関する話をした時に瞳がほんの一瞬影る事があったが、気のせいかと思っていたらしいが、俺の話を聞いて気のせいではなく恐らく何者かによる呪術かもしれないと言っていた。

本来、リリィ程の魔力があれば他者からの呪術にかかることはないから幼い頃に掛けられたのではないかと国王は言っていた。

リリィの解呪は相性が合えばフェンリルが適任だそうだが、フェンリルに気に入られなければそれ解呪も叶わないが、おそらくフェンリルは問題なくリリィを気にいるだろうからこちらは任せ、リリィの背景を調べてこいと言ってくれた。

問題はいつ誰がリリィに呪術を掛けたのか?確か12歳の頃会った子供の頃の教育係?だっけ?まずそいつが何者か探る必要があるな。

元クインズ王国に行き当時のことを知っているものがいないか探し、当時リリィの兄の乳母だった者に話を聞くことができた。

当時の混乱が起きる2年程前から、王妃を大切にしていたはずの王が急に王妃に冷たくなり身分も低い娼婦のような女を愛妾として側に置くようになり王妃はかなり憔悴していたそうだ。実は女性が苦手だった王は王妃と出会い一途に王妃を思っていたらしいがなぜか王妃は既に王に愛人が居ると思い込んでいて、女性の扱いに慣れていなく誤解もあり王の気持ちがうまく伝わっていなかったらしい。

そんな中で突然、愛妾を城に入れて囲ったことで王妃の心が完全に離れてしまい挙句の竜族王弟殿下の番になり離縁を申し出たらあんな事になってしまったらしい。

愛妾を側においていても王妃に離縁を申し出され逆上し手荒に監禁して王妃を更に傷つけてしまったそうだ。

愛妾が城に来てから王は政務も疎かになり愚王と呼ばれるようになり今にも内紛が起こりそうな状態だったらしい、そんな時にこんなことが起き王族が居なくなり実質クインズ王国がなくなり間接的にレイ王国が統治する事になったそうだ。



不自然な出来事にやはり作為を感じる。当時の関係者でもある王弟にも話を聞きたいが、素直に面会に応じてくれるかどうか、…一応行ってみるか。

それから俺はレイ王国に向かい、王弟殿下にリリィの事で話がしたいと面会を求めたら、意外とあっさり許可が出た。

面会の場でもある王弟殿下の自宅サロンに案内されたら、他にも2人?子供と大人が、……この2人が恐らくリリィの番か?子供が……番って…うん、長寿だから……いいのか……。って、なんでこの2人もいるんだ?これじゃ話しずらいじゃないか!

「初めまして、君がリリアンナ嬢の共同経営者のトーヤ殿だね。私はアルスト、つい最近臣籍降下してアルスト=ミシェールという名前を賜ったばかりなんだ。」

「えーっと、初めまして、トーヤ=ドントゥールと申します。本日は急な面会の申請にもかかわらず即座に許可していただきありがとうございます。」

「いや、こっちこそ一度君に会ってみたかったんだ。リリアンナ嬢から君の話をよく聞いていたからね。」

「そ、そうですか、…ゴクリ(隣の2人の眼圧がいや、威圧が…)…あのそちらのお二人は…」

「お初にお目にかかる。私はグラシオス=レイ、リリィのだ」

レイ、……竜族だから、やはり王族かしかも王太子かって……。

「初めまして、アイルス=ミシェールと言います。僕もリリィねぇ……リリィのです」

こっちは、王弟殿下の息子かよ、リリィ自体規格外だが番まで規格外じゃねぇか!マジかよ…。

「……….」

顔面凶器とも言える超美形がこうも雁首揃えると、なんとも目が潰れそうだな~おい。

「トーヤ殿、リリィの事に関する話ということで今回はこの2人がどうしても同席したいと言ってね、君は当然知ってると思うが、マリアの治療が終えたと突然手紙を残して帰ってしまったから、…彼らにとってはリリィと離れることは身を引き裂かれる程辛いんだよ。優しいリリアンナ嬢がこの2人に何も言わず帰ってしまうなんて驚いていたんだよ。東国には我々は一切入国も干渉も出来ない唯一できるのが手紙を出すことだけなんだが、あちらからは何も連絡がなくてね、困っていた所に君から連絡もらったから、何か話が聞けるかと、彼らも必死なんだ察してくれるかい」

「ええ、…私が知ってる限りのお話はしますので、王弟殿下も真実を話してくれますか?」

「…真実?というと…」

「まず。東国に帰ってきたリリィについて話しますね、まずはそこからです。リリィは帰ってきて泣いていたんです。もう。それは号泣でした」

「「どうして、泣くだなんて、そんなに嫌だったのか?」」

「いえ、その逆です。」

「「逆?逆とは?」」

「お二人の側はとても居心地が良かったそうです。ずっと居たいと願ってしまった程」

「「それならどうして?」」

!さっきから双子かと思うほど行きピッタリだな~、番だからか?…オット余計なこと考えちゃったじゃないか

「お二人の側が心地いいと感じた自分にを抱いてしまったと、それにずっとのに憎めなくて辛くなってしまったそうです。その考え方に違和感感じたんですよ。家族の死を後で聞かされたにしても当時5歳だったリリィがなぜこれ程の憎しみをもっているのか不自然で調べることにしたんです。このまま過去に囚われたままではリリィは幸せになれませんから、それで東国の国王に相談したら、恐らく幼少期に呪術を掛けられている可能性が高いという見解になり、解呪は国王に任せてきました。それで、ここには王弟殿下が当時の真相を知っているじゃないかと真実を確認するためにきたんです。」

「……真実…ですか…その言い回しではある程度…調べたということですか?」

「ええ、そうですね。どうしてもわからなかったんです。なぜ、恨み買うとわかっていて、リリィの家族を殺めたと嘘をついたんですか?」

「「え?…ウソ?…どういうこと」だ!」

「ウソだったと?なぜだ叔父上!嘘などつかなければリリィと出会った大会のあの日、私はリリィと…共に…過ごすことが出来たのではないか!」

「…すまない。」

「…グラシオス様、それは出来なかったかと、既にその頃には呪術により獣人、番に対して嫌悪を抱くようになっていたから、ただ、王弟殿下のウソがリリィにとっての事実としてトリガーになったのは確かです。ただ、その経緯も調べていくうちに多くの疑問が出てきました。」

「疑問ですか?」

「ええ、それは……、??まずい!」

「どうした?」

「リリィから、念話が……緊急だ…まずい!呪術を掛けた張本人がリリィと対峙している。すぐ戻らなければ」

「リリィに何かあったのか?おい!トーヤ殿」

「…恐らく連れ攫われた。魔力も封じられたようだ。追跡出来ない、まずい事になった。」

「トウヤ殿東国に獣人が入国できないのは重々承知だが私なら、リリィを探す事ができるかもしれない連れていってくれないか?なんとか国王に掛け合ってはくれないだろうか?頼む。」

「僕も…」

「アイルス、今回はお前は足手纏いになる…グラシオスに任せるんだ。」

「では、急ぎとりあえず国境まで行きましょう。もしかして国内じゃないかもしれませんし、リリィはフェンリルと精神を繋いでいるから、フェンリルもリリィの位置を探れる筈です。魔法が封じられてるとすればあとは腕力勝負の戦いになりそうですから、グラシオス様の力も必要ですね。さぁ行きましょう」
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