[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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19 攫われたリリィ 続続

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トーヤはグラシオスと天馬で一旦東国国境に向かった。向かう途中ギルド長である父に通信でことの顛末を伝えて情報を集めて貰い国境で落ち合う事にした。

東国国境に着いたら、父とルビーが俺たちを待っていた。ルビーはリリィのお使いで城の裏門で王の側近魔道士カインに注文の品を渡し終えた時にリリィの異変を感じ取り即座に戻ったようだが、店に着いた時には既にリリィは連れ去られた後で、ルビーの異変に一緒に着いてきた、王の側近魔道士カインが店内の魔力残渣を調べたら無登録の転移魔法を使った形跡があったらしい。ルビーが直ぐに追いかけようとしていた所をカインは抑えてくれていたそうだ。カインからオヤジにリリィに何かしらトラブルがあったらしいと連絡が入り情報を集めていた所に俺からの通信が入り、ルビーを連れてきてくれた。

リリィの魔力が封じられている今は、探す手がかりと手段がない、精神で繋がっているルビーとある程度の距離に近づくと本能で番の場所を感じることができるグラシオスが頼りだ。

「オヤジ、リリィを連れ去った奴の情報はあるか?俺はおそらく子供の頃リリィを逃したっていう従者だと思っているんだが」

「ああ、店を訪ねていた男の風貌からして、リリィの母親の専属執事だった奴のようだ。以前お前に調べるように言われていたのもその従者だった。幼い頃リリィの母に餓死寸前で保護されて、それ以来崇拝するがのごとく献身的に使えていたようだった。奴の両親は共に考古学者で、なんでも初代竜王に関係のある神殿を発見し独占して調査していたそうだが、突然母が出て行き、父はそれ以来、酒浸りになりその後の消息は不明、当時幼かった奴は放置されていたらしい。」

やはりか!だとしても理由が今ひとつわからない。

リリィの母親マリアが絡んでいるのか?だが、リリィを攫った所で、どうにもならないと思うが、他に目的があるのかもしれないな、…。

「オヤジ、奴の他に仲間はいたのか?」

「いや、今回は単独での犯行ではないかと思う、以前は部下が何名かいたようだが、その当時の部下も今はそれぞれ家庭を持ち静かに暮らしているようだ。だが、その部下全員が揃って、クインズ国王が亡くなった当時の記憶が曖昧らしいんだ!話を聞く限り推測でしかないが、軽い精神系魔法で操られていたんではないかと、あの従者は幻術魔法が得意だったようだし呪術者でもあったから、相当前から用意周到に準備していたのではないかと思う。目的はマリア様だったと思うんだが、マリア様が王弟の番になる前からリリィに呪術をかけたことを考慮すると本来の目的がわからないんだ。」


確かにリリィの母親を獣人に奪われたと恨みを抱きリリィに呪術をかけたとすると時期が合わない。今回、獣人に対する恨みでリリィを攫ったのなら、レイ国の王太子グラシオスの番であるリリィに危害を及ぼす危険が高いな、番に危害を及ぼされてキレられでもしたら、かなり厄介だ!間違って怒りで全竜化でもされたら国が2、3個滅ぶぞ!半竜化でも相当規格外の強さだ!俺でも止められるかギリギリなのに、……。伝説でしかないが過去に初代竜王が怒りで全竜化して国を滅ぼしかけた話は実際あったかわからないが、おとぎ話として密かに伝わっているが、…竜化の話をグラシオスに聞いた限りでは現在の竜族に全竜化できるものは居ないといっていた。

レイ国王の話では紋様が初代と同じリリィが魂を受け継いだ可能性が高いらしい、それに伴い初代と同じ番が2人なのではないかとの見解なのだそうだ。

なぜ人族のリリィが初代と同じ紋様を持って生まれたんだろうか?

確か初代は本来竜族にはないはずの魔力を持つ竜族で特別な存在だったから全竜化できたのではとグラシオスは言っているが、……、グラシオスは自分グラシオスも僅かだが魔力があるが個々が持つ魔力の質を見る事ができる程度で魔力を使って何かできるわけではないから全竜化暴走はしないと思うと入っていたが、……半竜化暴走は…可能性があるから、その時は遠慮なく全力で攻撃し気絶させてくれと…頼んできたが……できなくは…ないと思うが…ほぼ全力魔法ぶっ放さなきゃなんないだろう…めんどくせぇ……竜化する前に殴っておこう。

「とにかく、無事にリリィを助けださなきゃなんねぇ!作戦は…その場の雰囲気で…各々で考えろ!…先んずは、リリィの居場所を探す!ルビー!リリィのいる方向わかるか?」

「グルル~ヴォーン!」

ルビーの赤い目がひかり、こっちだと言わんばかりに扇動し走り出した。俺たちも次々ついていった。

俺、グラシオス、王の側近魔道士カイン、の3人とルビーでリリィの救出に向かった。

ルビーについて来たその場所は東国北にある迷いの森と言われている未開の森の更に奥だった。

奥に進むとグラシオスがリリィを感知した。

「トーヤ殿、リリィがこの先にある建物の中……中央より右側にいる。不安と動揺…困惑を感じる。気配を消す魔法をかけてくれないか?なるべく殺気をださにようにするが、ここから、別行動がいいかもしれない。私が姿を表すと奴がリリィに危害を加え脅しにかかるかもしれない、私は奴に気付かれないように近づきたい。ここではリリィと意思疎通ができるルビーが鍵となるから、ルビーの姿も消した方がいいと思うから、頼む」

「そうだな、俺はあえてこのまま正面からいくよ。カイン様は面が割れてないから、後から、中に入って来てください。」

俺たちはそれぞれ、別ルートで中に入った。

俺はあえて、奴に存在を隠す事なく正面から堂々入りグラシオスが言っていた通り中央右側の部屋の扉を開けた。

すると、そこは、……透明な水晶?の中に…子供?……とその隣に……十字にはりつけられたリリィが…その胸から臍下まで服が裂かれ、紋様が見える姿になっていた。

つまり、胸半分肌が露わになっていた。

これは、まずい!こんな姿見たら、グラシオスがキレてるんじゃないか?

対話するまもなく戦闘が始まるんじゃないか?なんとかなんないか?

ドォーーン!!

「グォーァアーーー!」

これ、無理なやつだ!予定変更!

グラシオスには存分に暴れてもらってから、殴ろう!暴走しててもリリィには危害を与えないと思うし、

よし!『カイン様、プランBでよろしくおねがいします。』

『………了解…(プランBなんてあったか?)。』
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