[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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21 レイ王国アゲイン

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私とグラシオスはレイ王国に着いた。

事前に通信でアルスト様と母に兄の事を掻い摘んで伝えてあったからだろう、城の城門までアルスト様とアイルスが迎えに来ていた。母はお腹の子が産まれたばかりだと言うことで城内のアルスト様の部屋のリビングで待ってるそうだ。

「リリィねぇ様~お帰りなさい。無事でよかったです。お怪我はありませんでしたか?」

少し合わないうちにまた大きくなって口調もだいぶしっかりしてきたのね。子供の成長って早いのねー

「ええ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」

ギュっと抱きついてきてすりすりするアイルスが可愛くて頭を撫で撫でしていたら、

「ほら、早く移動しないと人が集まってきている。リリィの兄を早く中に運ばないと」

「そ、そうね兄はどこに運んだらいいですか?」

「解除できるまで城内の私のアルストの部屋に置こうと思っている。しばらくマリアと産まれた子も一緒に滞在する予定なんだよ。」

「では、叔父上の部屋に運んでマリア様が待っているリビングで今後の相談しましょう。」

私たちはアルスト様の部屋に向かった。途中アイルスが私の側にいるルビーの事が気になったようでチラチラ見ていた。

「クス…アイルス、ルビーが気になるの?」

「え?ええ、少し…ルビーって言うんですね……ルビーから…リリィ姉様の匂いがするから…どういう関係かと…」
??どう言う関係って?気になるのそこ?グラシオスもだけど、気になる所が変?

「関係と言われると…そうねぇ、相棒でもあるし大切な私の家族かな…今一緒に住んでるしこれからもずっと一緒にいると約束した大事な家族よ」

「…ずっと…一緒?…リリィ姉様はルビーを番にするの?」

今にも泣きそうな顔で聞いてきた。

「まさか!ルビーは大事な家族だけど番とは全然違うしそもそもルビーは神獣だから人族とは番にならないわよ。」

違うと答えると途端に笑顔になった。

「ふ~ん、ならいいんだ~」

獣人にとっては全ての雄がライバルとなるのかしら?トーヤさんが竜族は嫉妬深いからくれぐれも言動には気をつけろって言ってたけど…む、難しい…嫉妬スイッチがどこにあるのか判断付かない…。



話をしながらの移動だったので意外と早くアルスト様の部屋に着いたような気がした。

部屋に入ると久ぶりに会う母が悲痛な顔をして私を見て、“無事でよかった“と涙を流しそっと私を抱きしめてきた。
なんとなく気恥ずかしいような感じもしたが、心の底ではずっと母を求めていたのだろうか?呪術が解けた事で私の感情に変化が起きたのだろうか?胸に熱いものが込み上げ、素直に母の抱擁を嬉しく感じた。


今回のことで母の元専属執事が計画的に起こしたことを知り、婚姻前から父に愛人がいると思わされていた事、愛情表現が下手で誤解を招いたが、父が母を愛していた事、魅了薬により精神を洗脳され愛妾を城に入れた事、おそらく洗脳されながらも母の事を愛していた為離縁を求められ、心のバランスを壊し手荒く扱ったのではないかと、全ては元執事の策略であった事をアルスト様が包み隠さず私たちが到着する前に母に話したそうで、かなり驚いていた。

長年信頼していた執事の犯行に母の責任ではないのだが、引き金であり原因であったのは自分だと、知らなかったとは言え、多くの人を巻き込んでしまっていた事に嘆いていたそうだ。

複雑な心境なんだろう、もしも父が洗脳されてなければ、……、全てが大きく変わってしまうがそう思わずにはいられない。
だが、もうすでに起きてしまった事だ、今の私はお義父様が何度も言っていた“前をみろ“と言う言葉意味がわかる。

執事の思惑により国政に混乱が起き犠牲になった人々がいたが、トーヤさんが今回調査してくれたおかげで、元クインズ国民は前を向きそれぞれ新たな生活を送っていた事を改めて知ることができた。

父に対し母は色々と思うところはあるだろうがアルスト様の支えもあり、幾分穏やかな感じを受けた。

きっと兄が生きていた事が母にとっては何より嬉しい知らせだったのだろう。

「リリアンナ…ごめんな…」

「お母様、謝るのは無しですよ!お兄様が見つかったのですから、素直に喜びましょう」

「ええ、そうね。ルーファスが生きていてくれたんですものね。ルーファスは小さい時から、かなり魔力が高くて幼いながらも制御もできて優秀だったけど、特殊スキルを持っていたなんて気が付かなかった。…でもそのおかげで無事っだのね。」

確かに兄のスキルが知られていたら、あらかじめ対処されていたかも知れない兄に関しては不幸中の幸いだったかもしれない。

「これからについてなんですが、神獣であるルビーは特殊魔法を解除する能力があるのでお兄様の魔法を解除してもらいますが数回に分けて中のお兄様にコンタクト取りながらしたいと思ってます。ルビーには悪意は一切ないのでお兄様も心開いてくれると思います。」

「そうね、ルーファスは人の悪意に機敏だったから、それがいいわね。私も話しかけて早く意識が目覚めるように協力するわ。リリアンナは暫く城に滞在してくれるんでしょ?ルーファスが目覚めた後のケアも一緒にして欲しいと思ってるんだけど」

「ええ、グラシオスに部屋を用意してもらい、お兄様が落ち着くまでは滞在する予定ですが、落ち着いたら、ライお義父様の所に寄ってから、東国に帰ろうと思っています。」

今度は逃げるわけではない、きちんと自分と向き合うために帰る。

「「え?帰る?なぜ?」」

グラシオスとアイルスは揃って声を上げた。

「今回は逃げる訳じゃないから!解呪のおかげで心も軽くなってるけど、きちんと自分の心と向き合いたいの、だから、滞在中も前のように同衾はしません!昼は一緒に過ごしてもいいと思うけど、婚約者でも恋人でもないうちは、夜はやはりケジメとして一緒は良くないと思うから、…アルスト様、お母様、今日はここで失礼します。明日、ルビーと伺いますので、都合の良い時間を後でお知らせください。」

「ああ、リリアンナ嬢、明日からよろしく頼む。先触れの後護衛を迎えにやろう。」

「グラシオス、の部屋をよろしくね。後、ルビーの部屋もね!」

「「そんな~……楽しみにしてたのに…」」

ガッカリと項垂れる2人を引き連れ?私は以前使わせてもらった部屋で寛ぐことにした。

正直、気持ちが揺らいだが、私も別に意地を張ってる訳じゃない。いくら番と言ってもアイルスはまだ子供だし、……それにグラシオスからは私を好きなんだと言うことは態度でわかるが、きちんと言葉にして貰っていないから、…好きとか…愛してる…とか……け、…結婚したいとも言われていないし…、なのに、なし崩しに同衾とかしたくないのよね、…それに…今度は多少なりとも意識しちゃいそうだし…その辺は関係がはっきりしてからがいいと思うし、…勢いでキスしちゃったけど…女心は複雑なのよ…。


そんな私の心内こころうちを知らない2人は最後まで粘っていたが、部屋から追い出すことができ、久しぶりのひとり寝で眠れないかと思ったが、意外にもすぐ眠りに着いた。



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