[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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24 ルーファス

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私はルーファス=クインズ…だった。

今は、ただのルーファスだ。見た目はほぼ9歳だが、精神というか中身は普通に生きていたら年齢23だから23だろう。

当時(8歳)から私は大人びてはいたが所詮子供は子供、父は子煩悩だったが、なぜか母の前では無口だった。でも父は母を大事に思っていたのは子供ながらに感じていた。

だから、その父が、母以外を寵愛するなんて信じられなかった。日を追うごとに父の目に陰りが著明になり口調も変わり、みるみる人格が変わっていった。その様子に父が何者かに操られているのではないかと疑ったが、証拠がなく子供の私にはどうする事もできなかった。

父の変わりように母は精神が疲弊し限界に近かった、子供ながらにみていて辛かった。母の笑顔がみたい、父は無理でも母だけでも助けたいと思っていた所で、アルスト様と母の出会いは倫理的には許されないが、あの時はとにかく誰か母を救って欲しいと思っていた。

アルスト様からは悪意は一切感じる事はなくむしろ母を心から大切に思っている気持ちが伝わりアルスト様なら母を救ってくれるのではと希望が持てた。

丁度その頃、今まで感じなかった母の執事から物凄い憎悪を感じ、周りの異変に気がついたが、既に遅かった。

あの日危険を察知した私は森に遊びに出ていたリリィを探しに行く為に裏通路から城を出て森の入り口に着いた所で執事の配下に見つかった。

大人の力に敵う訳もなくあっさり捕まり殺されそうになった所で特殊魔法が勝手に発動した。その後の事はわからない、ただ月の光で目覚め、外に出ようと足掻いたがどういうわけか解除できず諦めて精神体での散策しながら情報を集めていた。

____国がなくなっていた。____

しかもその原因がアルスト様がクインズに攻め入り、リリィは行方不明になり私と父がアルスト様の手により命を落とし政務が混乱した為だという事にされていた。私はそれは母の執事の陰謀であった事を知っていたがそれを伝える術もなく随分歯痒い思いをした。

月日だけが過ぎある時、あの執事がリリィを攫い竜族を滅ぼす計画を立てている事を知った。

間違いなく私を囮にするつもりだと思ったが、兄として私には何もできない、リリィの足枷となってる自分に情けなく悔しい思いをしたが、……それがまさか、こんな嬉しい誤算が待ち受けていたとは、思いもしなかった。

気配だけでも感じたグラシオスはヤバかった、……後で聞いた話だが、気配を消して近づく予定だったそうだが、リリィのあられもないほぼ乳が見えた半裸姿を見て瞬時に怒りが爆発して半竜化したらしい。
そのおかげ?で苦労する事なく超最短でリリィと私を救出できたので嬉しい誤算だったとトーヤさんがリリィに話してくれたらしい。_グラシオスの大暴れ…ちょっとみたかった…。



そして私はリリィの神獣フェンリルのルビーのおかげで15年ぶりに外に出ることができた。
助けに来てくれた、グラシオスとトーヤさん、リリィに神獣を与えてくれた東国の国王に感謝している。

実に不思議な巡りあわせだ。

運命の悪戯とでもいうのか、全てがリリィを中心に物語が紡がれているようだ、小さな事柄もその足取りをたどるとリリィに行き着く。

初代竜王と同じく番が2人のリリィ。
考古学者の両親のおかげで、リリィが初代竜王と同じ紋様を持つことにいち早く気が付いて復讐計画を立てた執事。
1000年ぶりの竜族の女子の誕生だが胎児の成長にリリィの魔力が必要だったこと、たまたま、母の魔力欠乏で倒れた日にリリィが居合わせた事、これは全て偶然なんだろうか?不思議な事ばかりだ。


とりあえず体が16歳ぐらいの年齢の大きさまで成長すればなんとかなると思っているが、見た目が9歳程度では正直保護者が居ないと色々不便だろうし、リリィのそばに居れば、退屈する事ないだろう、_クスリ_リリィは救世主なのかトラブルメーカーなのか、とにかく退屈しないですみそうだから素直に世話になる事にした。

魔力も剣術もどうやらリリィは規格外のようだ。悔しいが今はリリィにご教授願おう、剣術ではグラシオスより強いらしいからね。

芽生え始めた恋心に翻弄されるリリィが見たいな。

新しい生活、楽しみだな。

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