[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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33 紡いだ運命 [完]

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「トーヤ君、少し落ち着きなさい!正直鬱陶しいわよ!」

「お母様、それは無理ですよ、これ落ち着ける旦那いたら逆にびっくりですよ」

「確かにそうだな、だが、我々男にできることは何もない、向こうで大人しく待とう」

「そうだぞ、トーヤ、邪魔になるだけだ、こっちに来い!」

「でも、オヤジ、リリィが……ダメだ……俺、腹が痛くなってきた」

「あらあら、真っ白い顔して、しょうがないわね」

俺は今、リリィの実家(ダンテ侯爵邸)に来ている何故なら、俺の愛しのリリィは!大事な事だから2回言った。

当たり前だが俺初めてで(産むのは俺じゃないが)どうしていいかわからず廊下をウロウロ徘徊中。初めては時間がかかると聞いているが、辛そうなリリィの声が何時間も続いて…ヤバイ俺吐きそうだよ。ウップ!



__オギャーオギャー__

力強い産声が屋敷に響いた!

「!!う、生まれた?生まれたぞー!」

__オギャーオギャー__

「?…あれ?産声が……二重奏?」

「どうぞ!旦那様お入りください」

産声におや?っと思ったが先ずは愛しのリリィの無事を確認しなければと部屋に入り真っ直ぐリリィの元へ行き、その顔を見て安堵した。頬にキスして。

「リリィ、頑張ったな!ありがとう!」

「ふふ、私よりやつれてるんじゃない?もう、しょうがないお父様ですねぇ、ねぇ、子供達の顔を見てあげて」

「子供達?…たち?…うわぁ!」

2人だ、双子だ!目は閉じていて…色はわからないな……どちらも黒髪、俺の色だ!小さくてかわいいなぁ、あ!目が開いた、紫だ!リリィの色だ、顔立ちはリリィに似てそうだな~。

「この子らはどっち?男?女?」

「女の子よ、」

そうか~女の子か~リリィに似たらヤバいほど美人になっちゃうじゃないか、今もこんなに可愛いのに。

「かわいいよなぁ、嫁にはやらんって気持ちわかるなぁ、絶対手放したくないなぁ、」

つい、デレデレと可愛い我が子の姿に見入っていたら、

「…トーヤ、喜び噛み締めてるとこ申し訳ないんだけど、ちょっと私の胸見てくれる?」

「え?何?胸?……見せてくれんの?…もしかして飲ませてくれんの?」

「何バカなこと言ってるの?茶化してないで兎に角見てよ、驚くわよ!」

なんだよ、巨乳がさらに巨乳になったのは知ってるぞ!どれどれ………?は?なんだ?……なんだろ、物凄く…嫌な予感がする…。

「……リリィ、…き、消えてる、…も、紋様が跡形もなく消えてる!……どうしよう俺、物凄く嫌な…予感がする」

「奇遇ね、私も同じよ、ちょっとルビー呼んできてくれる?」

「ああ、」

喜びと不安と複雑に絡み合った表情でルビーを連れて戻ってきた。

『えーっとルビー?私が聞きたいこと…わかるわよね!聞くの怖いんだけど、どう言うことかしら?』

『うーん、運命?簡単にいうと複雑な運命の絡んだ糸がリリィによって解れ元に戻ったって言うことかな。』

『どう言うこと?簡単すぎて余計わかんないわよ!複雑な運命?』

『これは、5000年以上前の初代竜王の時代に起こった歪みが始まりなんだよ。』

『当時竜王の番は当然1人同じ紋様をお互いが持っていた。紋様があったと言うことは当然竜王の番は人族、ただ、語られている歴史は改ざんされたものなんだ、初代竜王には弟がいた。その弟の番は王妃の双子の妹、それぞれが左右対称の片翼の紋様を持ってたんだ。』

『『左右対称?』』

『そう、王は左翼、王弟は右翼、王妃は右翼、妹は左翼それぞれを合わせると両翼となる特殊な紋様だったんだ。お互いは仲睦まじく過ごし国も安定していたけど、ある時王は異国の魔道士に両翼を獲ると全土を手に出来るほどの強大な力を得ることができると言う甘言を信じてしまったんだ。王弟より能力が劣ることに劣等感を抱いていた事を利用され言葉巧みに操られ、王は欲に駆られて王弟の紋様を魔法で無理やり奪ってしまったんだ。』

『紋様を奪う?…そんなことができるの?』

『うん、生命を奪う禁術を使い、力(生命力)と紋様(絆)を奪った、紋様を無理やり奪われた王弟は衰弱して亡くなってしまったんだ。その後、竜王は両翼を得た事により強大な力を得て、王弟の妃も自分の番として無理やり側においたが、王弟と愛し合っていた妃は到底受け入れられないと自ら絆を絶ってしまった。妹の死を王妃は嘆き、竜王に“両翼の紋様を持つあなたは私の番ではない!私の番は左翼を持つ方です。だから、あなたの番は私ではない“と言って王妃も絆を絶ってしまったんだ。番を目の前で失った王がどうなったかはそこだけは事実だよ全龍化してしまい国がいくつかなくなり王も…』

『それじゃぁ私は元々あの2人の番でなかったのね!』

『うーん、半分正解で半分不正解!つまり番であって番じゃない、ちょっと複雑なんだよ。だからリリィが両翼を持って生まれた事には意味があったんだ、リリィの持つ魔力が綺麗だったから、禁忌の魔力によってできた歪みを元に戻す力があったんだと思う、実際元に戻ったしね。』

『そう、なんだ、……じゃぁ私の娘たちは、初代竜王と王弟の紋様を持ってる事になる?』

『正解!』

『……おい!まさか!嘘だろ!…よりによってアイツらポンコツ竜かよ、…俺の可愛い娘が……あんな…ポンコツに…そんなこと絶対認めないぞ!』

『リリィ、きたよ、』

『え?まさか!ここに?うーん、…そうか、生まれた瞬間に分かっちゃったよね~。でもいくらなんでも今日は無理よ。そうね~人族はか弱いから、1ヶ月後にお披露目するからって言ってきて!それ待てないなら、東国に引っ込むって脅していいわ。ルビーお願い私は疲れたから寝かせてもらうわ』

『え?リリィ僕に丸投げ?』

『ほら、リリィのお願いだぞ!ルビー早く行けよ!あいつら入ってきちまうだろ、リリィは疲れてんだから、頼んだぞ!』

『うわ!神獣使い荒いなぁ、後で、ハニーマスタードチキンサンド作ってくれよ、マスタード多めで!』

『おお、俺が作ってやるよ、任せとけ!』

とぼとぼ部屋を出たルビーを見ながら、トーヤはリリィの頭を撫で、優しい眼差しでリリィを見つめる。

「まるでリリィを中心に世界が回ってるようだな、また、新たな楽しい物語が始まるな」

「ふふふ、そうかも、でもそこには必ず、トーヤが隣にいてくれるんでしょ」

「ああ、もちろん、ずっと一緒に決まってるだろ、俺はお前が選んだ伴侶だからな」








___本編完__




最後までお付き合い頂きありがとうございます。

多少の矛盾設定箇所あるかと思いますがさらりと流していただけると幸いです。

今後もお目を通していたただけましたら嬉しいです。
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