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21 抱擁
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深夜陛下とギスランが話をしていた事など知る由もないマリアンヌはいつも通りの時間にメイに支度を手伝ってもらい朝食をとるために迎えにきたギスランと共にダイニングへと向かった。
そこにはすでにランバートが席についていた。
「マリアンヌ様おはようございます。」
「おはよう、ランバート、あら?あなた1人なの?陛下はまだお休みなのかしら?まだお加減優れないの?」
前日顔色の悪いレインは食事中も気もそぞろで早々に床についていたはずだ、ここにいないということはまだ具合が悪いのかと心配したマリアンヌだった。
「いえ、体調は…ご心配には及びません、大丈夫です。陛下は…朝早くにここを立ち城に戻りました。ああ、勿論ゲートは使っていませんよ。あれの事は陛下は知りませんし、契約者以外使えませんしね!護衛もいますしそもそも陛下自身護衛要らない程お強いですから、ご心配には及びません。」
ランバートは深夜のレインとギスランのやり取りの内容は聞いてはいないがかなり憔悴していたレインを見る限り相当ギスランにやり込められたことが窺い知れた。
それと目の前の友人はマリアンヌに愛しいという自身の想いを一切隠す事のない態度で接している。…その態度の変化が彼の強い決意を感じさせた。
おそらく自分の想いを陛下に告げたのだろうと容易にわかった。
「そう、なの?それなら良いのだけれど、だいぶ顔色も悪かったでしょ、何より様子が変だったから気になっていたんだけど…公務でお疲れだったんでしょうね、いくら獣人が体力に自信あっても過信してはいけないわ!休養も大事だから、少しお休みいただいてもよかったんだけど…」
「ご心配いただきありがとうございます…今度陛下にも休むように言っておきますね!」
それから、他愛もない話をしながら朝食を済ませたマリアンヌはギスランと共に離宮の庭園の一角にに作った薬草園に散歩がてら向かった。
ゆっくりとした足取りでお互いの手を絡ませて、いわゆる恋人つなぎで体をピッタリ寄り添いながら歩いていた。
ギスランとは心を通わせていたがはっきりとは口にしていなかった事もあり、手を繋いで歩くことは多々あったがこれ程あからさまにベタつく事がなかったのでマリアンヌは少し恥ずかしさと戸惑いを感じていた。
「ギ、ギスラン?す、少し…近すぎない?」
恥ずかしさで頬を染めながらギスランを見上げながら立ち止まった。
「ん?そうかな?本当の近いっていうのはこういう事だろ?」
そう言いながらグッとマリアンヌを抱き寄せた。
「あ!、え?」
抱きしめられたマリアンヌの顔は身長差でギスランの胸の位置、ドキドキと早い鼓動が聞こえる。
(すごくドキドキする…この鼓動は?…私?…ギスラン?…どうしたのかしら?急にこんな…こんな…恥ずかしいけど…心地いい暖かい)
ギスランに抱きしめられドキドキしながらも無意識にマリアンヌもギスランの背中に腕を回していた。
どれくらいそうしていたのだろう、ほんのわずかな時間だがマリアンヌは幸せを感じていた。
抱きしめられたままのマリアンヌの耳元にギスランは唇を寄せ
_『愛してる』_
そう囁き頬にキスをした。
マリアンヌは耳を、頬を、首までも真っ赤にさせ潤んだ瞳で顔をあげギスランを見上げた。
「ギスラン……、」
ギスランはマリアンヌを抱きしめていた腕を緩め右手の親指でマリアンヌの唇をなぞり
「本当ならここに、したいのですが……今はまだ我慢します。…マリアンヌ様の離縁が成立するその日まで……その日がきたら…覚悟してください!私の愛は重いですよ。」
そう言ってマリアンヌの頬に手を当て優しい眼差しを向けおでこにキスを落とした。
マリアンヌはコツンとギスランの胸に額を当て小声で
_『ギスラン、愛してるわ』_
マリアンヌは今までは指輪を通してお互いの気持ちは伝わっていたがまだ自由の身ではなかった事もあり態度と“私も同じ気持ち“などと間接的にギスランに気持ちを伝えていた。
今、初めて直接“愛“を言葉にした。
今はまだレインと婚姻関係にあるマリアンヌはこの結婚は王命による政略結婚であったが、輿入れ当初レインが離縁を望んでいたので誓約書によりすんなり離縁できると思っていた。
だがギスランへの気持ちが募り自覚した最中にレインの告白を受け、離縁したくないと告げられた。
マリアンヌは誓約書通りに必ず離縁してもらうと強気にレインに告げたが果たして王族のしかも政略結婚でそれが可能なのかと不安があった。
兄も母も兄が即位したら迎えに行くと言ってくれていたが…レインが望んでくれなければ内心は離縁できないかもしれないと思っていた。
だが、今日はギスランの何かを決意した強い意志を感じマリアンヌも意志を固め気持ちを言葉にした。
マリアンヌは知らなかった、政略結婚と話を持ち掛けたが父はただマリアンヌの幸せの為にと結んだ縁だったことを…。
不器用な父が娘の幸せにと結んだ縁だったが父の思惑とは違った結果となったが喜んでくれている事を…。
マリアンヌは知らなかった、兄の訪問で今後の人生を大きく変える男たちがいることを…。
そこにはすでにランバートが席についていた。
「マリアンヌ様おはようございます。」
「おはよう、ランバート、あら?あなた1人なの?陛下はまだお休みなのかしら?まだお加減優れないの?」
前日顔色の悪いレインは食事中も気もそぞろで早々に床についていたはずだ、ここにいないということはまだ具合が悪いのかと心配したマリアンヌだった。
「いえ、体調は…ご心配には及びません、大丈夫です。陛下は…朝早くにここを立ち城に戻りました。ああ、勿論ゲートは使っていませんよ。あれの事は陛下は知りませんし、契約者以外使えませんしね!護衛もいますしそもそも陛下自身護衛要らない程お強いですから、ご心配には及びません。」
ランバートは深夜のレインとギスランのやり取りの内容は聞いてはいないがかなり憔悴していたレインを見る限り相当ギスランにやり込められたことが窺い知れた。
それと目の前の友人はマリアンヌに愛しいという自身の想いを一切隠す事のない態度で接している。…その態度の変化が彼の強い決意を感じさせた。
おそらく自分の想いを陛下に告げたのだろうと容易にわかった。
「そう、なの?それなら良いのだけれど、だいぶ顔色も悪かったでしょ、何より様子が変だったから気になっていたんだけど…公務でお疲れだったんでしょうね、いくら獣人が体力に自信あっても過信してはいけないわ!休養も大事だから、少しお休みいただいてもよかったんだけど…」
「ご心配いただきありがとうございます…今度陛下にも休むように言っておきますね!」
それから、他愛もない話をしながら朝食を済ませたマリアンヌはギスランと共に離宮の庭園の一角にに作った薬草園に散歩がてら向かった。
ゆっくりとした足取りでお互いの手を絡ませて、いわゆる恋人つなぎで体をピッタリ寄り添いながら歩いていた。
ギスランとは心を通わせていたがはっきりとは口にしていなかった事もあり、手を繋いで歩くことは多々あったがこれ程あからさまにベタつく事がなかったのでマリアンヌは少し恥ずかしさと戸惑いを感じていた。
「ギ、ギスラン?す、少し…近すぎない?」
恥ずかしさで頬を染めながらギスランを見上げながら立ち止まった。
「ん?そうかな?本当の近いっていうのはこういう事だろ?」
そう言いながらグッとマリアンヌを抱き寄せた。
「あ!、え?」
抱きしめられたマリアンヌの顔は身長差でギスランの胸の位置、ドキドキと早い鼓動が聞こえる。
(すごくドキドキする…この鼓動は?…私?…ギスラン?…どうしたのかしら?急にこんな…こんな…恥ずかしいけど…心地いい暖かい)
ギスランに抱きしめられドキドキしながらも無意識にマリアンヌもギスランの背中に腕を回していた。
どれくらいそうしていたのだろう、ほんのわずかな時間だがマリアンヌは幸せを感じていた。
抱きしめられたままのマリアンヌの耳元にギスランは唇を寄せ
_『愛してる』_
そう囁き頬にキスをした。
マリアンヌは耳を、頬を、首までも真っ赤にさせ潤んだ瞳で顔をあげギスランを見上げた。
「ギスラン……、」
ギスランはマリアンヌを抱きしめていた腕を緩め右手の親指でマリアンヌの唇をなぞり
「本当ならここに、したいのですが……今はまだ我慢します。…マリアンヌ様の離縁が成立するその日まで……その日がきたら…覚悟してください!私の愛は重いですよ。」
そう言ってマリアンヌの頬に手を当て優しい眼差しを向けおでこにキスを落とした。
マリアンヌはコツンとギスランの胸に額を当て小声で
_『ギスラン、愛してるわ』_
マリアンヌは今までは指輪を通してお互いの気持ちは伝わっていたがまだ自由の身ではなかった事もあり態度と“私も同じ気持ち“などと間接的にギスランに気持ちを伝えていた。
今、初めて直接“愛“を言葉にした。
今はまだレインと婚姻関係にあるマリアンヌはこの結婚は王命による政略結婚であったが、輿入れ当初レインが離縁を望んでいたので誓約書によりすんなり離縁できると思っていた。
だがギスランへの気持ちが募り自覚した最中にレインの告白を受け、離縁したくないと告げられた。
マリアンヌは誓約書通りに必ず離縁してもらうと強気にレインに告げたが果たして王族のしかも政略結婚でそれが可能なのかと不安があった。
兄も母も兄が即位したら迎えに行くと言ってくれていたが…レインが望んでくれなければ内心は離縁できないかもしれないと思っていた。
だが、今日はギスランの何かを決意した強い意志を感じマリアンヌも意志を固め気持ちを言葉にした。
マリアンヌは知らなかった、政略結婚と話を持ち掛けたが父はただマリアンヌの幸せの為にと結んだ縁だったことを…。
不器用な父が娘の幸せにと結んだ縁だったが父の思惑とは違った結果となったが喜んでくれている事を…。
マリアンヌは知らなかった、兄の訪問で今後の人生を大きく変える男たちがいることを…。
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