ファンタジー世界へ行ったら神様(男)もついてきました。

ささや

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異世界移転と初めてのギルド

3.バーンとの出会い

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中へ入ると、中世的な街並みや人で溢れかえっていた。中には獣人もおり、もふもふ欲が刺激される…

「じゃあ、ギルドへ行こうか。下へ降りてる時に知り合ったギルドマスターがいてね、そこにしようと思うんだけどどう?」

街に見とれているとロイドさんが提案してきてくれた。ホント、頼りっぱなしで申し訳ない…

「あっ、はい!俺はどこでも大丈夫です」

「アイツは僕に貸しがあるからね…何もしなくても手続きは済むと思うよ。」

ロイドさんの顔がにやりと歪んだ。貸しって一体なんなんだろう…


15分ほど歩き、俺たちは街外れにある小さなギルドに着いた。看板には「旅立ちのエデン」と書かれている。

扉を開けると酒の香りと血の匂いが鼻をくすぐる。鎧を着た者が多く、ムキムキで怖そうな人達が多い。

「マスターはいる?」

ロイドさんが受け付けへ話しかける。
同時にギルド証っぽいものと鍵?を見せた。

「え…、…あ!はい…っ、少々お待ちください!」

受け付けをしてくれた男の子は、鍵を見ると慌てた様子で奥へかけて行った。何その鍵、怖い。


しばらく待っていると、マスターらしき男が奥から出てきた。赤いくせ毛でつり目なイケメン。狼?ぽい耳と尻尾が生えている…獣人だ!

「よぉ!ロイド~、鍵持って来てくれたんだな。助かったぜ!」

「バーン、久々だね。…早速で悪いんだが、この子のギルド申請手続きをして欲しい。」

ロイドさんに背中をぽんっと押され、前に出る。

「えっと、セイって言います。14歳です、よろしくお願いします。」

ぺこっ、と頭を下げる。第一印象大事!

「……セイ、か。いい名前だ…で、挙式はいつがいい?あぁ、俺はいつでもいいぜ。明日の満月の日とかいいと思う。」

「…え?」

ギルドのマスターは言うや否や俺の手の甲へキスをする。

「これからいい家庭を築いていこうな?しっかし、ロイドは気が利くよなぁ、俺の嫁を連れてきてくれ……ぶほぅっ」

デジャヴ。先程と同じ様にロイドさんがマスターを風魔法で吹き飛ばした。

「いってぇ…何すんだよ~、ロイドぉ?」

マスターは頭をさすりなが立ち上がる。アレを受けても平気なんて、相当強いな…

「バーン、死にたいんだね?僕の愛しい子を辱めるなんてよく出来たものだ…いいだろう、上に戻り次第落雷を落としてやる。」

ロイドさんの目がマジだ。本当に落雷落としそう。

「あ?それは反則だろ…てかなんだよ、その執着っぷり……ロイドの嫁ってんなら手ぇ引くけど?」

「…まだ違う、と言っておこうかな。」

「…ふーん?じゃ、俺が狙っても問題ねー訳だな?」

ぴりぴりした空気がギルドを包む。今すぐにでも戦い出しそうな勢いだ。 
とりあえず止めなくてはと、パッと2人の間へ割って入った。

「あ、あのっ、俺達っ…ギルド証発行しに来たんです!!」

わたわたと手を振って必死にアピールする。マスターはその様子をガン見し、何故か緩み切った顔になった。

「…おー、そーかギルド証か!いいぞぉ~、セイなら大歓迎だ!よし、ついてこい!」

ルンルン、とマスターは歩き出す。
どうにかマスターはごまかせたが、ロイドさんはまだ不服そうで無言のまま俺を抱き寄せた。

「…僕、機嫌悪いから愛しい子の充電が必要。」

拗ねた様な口調で腕を絡めてくるロイドさん。多分、これ拒んだらギルド証発行の前にギルドがなくなるな…

「分かりました…じゃあ、くっついたまま部屋行きましょう?」

「うん…」


部屋へ入ると、「テキトーに座っていいぞー」とマスターが紅茶を出してくれた。

「じゃ、ギルド証な…ホントは色々メンドーな手続きあるんだが、セイだから全部省こう!て事で完成したものがこちらです~」

ぽんっ、と手にギルド証が置かれた。えっ、いいのかな、そんな簡単に貰っちゃって。

「え、いいんですか…?」

「ノープロブレム!セイは俺の嫁さんになるんだしこれくらいはね!」

ぱちーんとウインクするマスター。職権濫用をフルに使ってるね…

「あの…、さっきから気になってたんですけど、嫁って…?」

そう、さっきから気になってた。男同士なのになんでそんな話になるのか不思議だったのだ。

「…そーいや、話してなかったね。」

俺にくっついたままのロイドさんが答えた。そういえば、と言う割には声のトーンが低く落ちついている気がする。

「まず、バーン。愛しい子は落ち人だ。僕が連れてきた。」

「はっ、落ち人!?てことは異世界から来たのかよ!」

マスターが驚いたように声を荒げる。
落ち人…?なんだ、それ。聞いたことない。俺がキョトンとしてると、マスターが教えてくれた。

「セイ、落ち人ってのはな、異世界からやって来るやつの事だ。滅多にいないが…そうか、じゃあこっちの事わかんないのも無理はないな。」

マスターは、ロイドさんに目配せをする。説明しろ、という事だろうか?

「まず…この世界には男しかいないのは話したよね?だから、恋人も結婚も男同士でする。妊娠用の薬草があってね、それを行為前に飲む事で妊娠できるんだ。」

なるほど…確かに、女が居なきゃ男同士で恋愛しないと種が残せないもんな。

「愛しい子、男同士での恋愛に抵抗はあるかい?」

ない…と言えば嘘になる。でも、いじめられてばっかで恋愛なんかした事なかったし、そこまでのこだわりはない。

「幸せな家庭が築ければ…俺はそれで。」

「そうか!それなら良かった…!説明してなくてごめんね、言ったら愛しい子がこの世界に来てくれないんじゃないかと思って…」

ロイドさんの目が若干涙目になる。イケメンの涙って庇護欲そそるなぁ…

「ははっ、神様でも怖いもんはあるんだなぁ?」

愉快そうにマスターが笑う。ん…?今の流れからしてマスターはロイドさんが神様だって知ってるんだよね…?何でだろう。

「…まぁ、聞きたい事はまだあるだろうけどおいおい話していくね…そろそろ日が暮れてきたし、宿取らないと野宿になっちゃう。」

言われて窓を見てみると、確かに夕暮れ時になっていた。カラスが鳴く頃だ。

「あー、それならうちの宿屋貸してやるよ。ロイドとはもーちょい話したい事あるし…」

マスターは言うと同時に、壁に掛けてあったカードキーを俺とロイドさんへ投げる。

「いいのか?じゃあ有り難く使わせて貰うよ。愛しい子、先に寝てなさい。この色ボケと僕は話す事があるから…」

2人は向き合うと、黒いオーラを放ち始めた。多分、さっきの続きをやる気だろう。

「わ、分かった、二階だよね。」

慌てて扉へ向かう。巻き込まれる前に寝てしまいたい…

「上の02号室だ。部屋は綺麗にしてあるからそのまま使っていいぞ。」

「うん、ありがとうマスター!」

その後、部屋から激しい音が聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう…





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