ファンタジー世界へ行ったら神様(男)もついてきました。

ささや

文字の大きさ
6 / 9
異世界移転と初めてのギルド

5.バラの花束

しおりを挟む

「じゃあ、このスライムの核を壊してみて。」

ロイドさんが指示をくれる。それを聞いて俺は「えいや!」と踏み出した。

今、俺とロイドさんは始まりの草原でスライムを倒している。昨日買った新品の片手剣と防具をつけて初クエスト中!!

……とは言え、俺は完全ど素人。なのでこのクエストは俺の実戦練習を兼ねている。

「むぎぎ…」

手にありったけの力を込めた。だが、スライムの核は予想以上に硬く、中々割れてくれない。

「愛しい子、これはコツがあってね…」

ロイドさんが俺の手に重ねて教えてくれる。
手が重なっただけ…なのに、俺の心臓はバクバクとうるさく鳴っていた。

「…で、ここをこうして……」

手を添えながらコツを教えてくれるロイドさん。やばい、全然集中できん。

「…聞いてる?」

ロイドさんが心配そうに顔を覗きこんでくる。近いっ、顔が近いっ。あぁぁ、集中しなくちゃいけないのに!

「は、はいっ、大丈夫ですっ。」

「そう…?なら良かった。続けるよ。」

「はい、よろしくお願いします!」

ロイドさんと俺はそのままクエストを続け、スライムを倒しまくった。
この数時間で何とか片手剣は形に出来た…気がする。とりあえずスライムの核を砕けるくらいにはなった。

でも数時間片手剣を振り回していると結構疲れる。もう俺の腕はぱんぱんだ。

ロイドさんは横目で俺の腕を見て、それに気づいたのだろう。

「うん、ここら辺で終わりにしようか。」

風魔法で最後のスライムをなぎ払いながら終わりを俺に提案する。
正直腕も体力も限界だったから助かった…

「は、はい。じゃあ戻りましょう。」


ギルドへ帰ると朝と違って賑やかだった。やっぱ夜のが人多いんだな…

さっき倒したスライム20体を受付で換金する。1体100マリーで合計2000マリーになった。

「これ、なんに使います?」

ほくほくとロイドさんへ笑いかける。初クエスト金はできれば何か楽しい事に使いたい。

「…じゃあ、1000円丁度の夜ご飯を食べるのはどうかな?せっかくだし。」

ぴっ、とロイドさんがメニュー表を指差す。1000円メニューは割と豊富で美味しそうなものが沢山並んでいた。

「いいですね!…んー、じゃあ俺、飛び兎のハンバーグで!…ロイドさんは?」

「あぁ、じゃあ同じものをよろしく。」

今日稼いだお金を払い、注文する。そういえば、稼いだお金でご飯食べるの始めてだ…


ちょっと感動しながらご飯を食べていると、マスターが帰ってきた。手には赤いバラの花束を持っている。誰かにもらったのだろうか?

「あ、マスター!お疲れ様で…えっ、」

ずいっ、と花束が俺の前へ差し出される。まさかこれ俺へのバラ?

「…ちゃんとしとこうと思って。俺、本気だからさぁ。」

「え、ちゃんとって…」

「あー……、セイ…俺はお前が好きだ。まだ心が俺にないのは分かってる…でも、頑張るから。だから、好きでいてもいいなら受け取ってほしい。」

マスターのバラを持つ手が…震えていた。
真剣なんだって伝わってきて、ちゃんと答えなきゃって思わされる。

「…俺、好きとかまだよくわからないです。でも、それでもいいなら。」

手を伸ばしバラを遠慮がちに受け取った。答えられるかは分からないけど、向き合いたいって思ったから。

「…あぁ!構わない!絶対好きって言わせてやる!!」

マスターは泣きそうな顔で笑った。そして、横に座っているロイドさんを見る。
視線に気づいたロイドさんは、何故か苦い顔をしていた。

「ロイド、一歩俺はリードしたぞ。」

「…うるさい。」

ロイドさんは拗ねたように呟く。
ガッとご飯をかきこんで「おやすみ、愛しい子。」と2階へ上がっていってしまった。

その時に向けられた表情は怒っているような泣きそうな顔で、俺には読み取れなかった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...