無能な俺が、年下騎士さまの溺愛ゲージを溜める話。

ツキハ|BL小説

文字の大きさ
5 / 35
1章 ニート、日当たりのよい部屋に住む。

※ニートは二度目の夜があるのは想定外。

しおりを挟む
 クッキーの件がクルクルお髭の家令にばれて、チクチクと嫌味を言われつつソファで転寝をする。基本的にという文言だからセーフ理論は、残念ながら通用しなかったらしい。


「よろしいですね、ルシア様。週末はレガル様がいらっしゃいますので、準備を怠りませんよう」
「はぁい」

 ふん、と鼻を鳴らして立ち去った家令を見送って……寝送って? から、またうとうととまどろむ。どうせ活動しすぎて疲れているので、しばらくはこうやってのんびり過ごしたかったところだ。丁度いい謹慎タイム。

 レミリアが金髪をしょんぼりと揺らして謝罪しに来たが、彼女は何も悪くない。俺は平気だし、またクッキーが食べたいなと告げれば、お持ちしますと言ってくれる優しい子で、俺はひじょーに感動している。




 数日たって、またゴロゴロとしていたら、うちの執事が鼻息荒くシーツを引っぺがして、準備をしてくださいとピーチクパーチク言うものだから、渋々また尻を洗う。いや、二回目は無いって、と言っても聞きやしない。

 もしかしてと期待して風呂から上がれば、またあの美味しいワインが置いてある。うん、まあ、これ何か入ってるんだとは思うけど、美味しいから飲んじゃおう。前回の経験を活かして半分だけと思ったが、美味しかったので1/3しか残らなかった。まあまあ成長したよね。


 少ししてやはり体が火照るから、ここは我慢せずに自分で触れる。枕をたてかけて、それを背もたれにしながら、声を押し殺しつつ扱く。薬の力も手伝ってすぐに濡れてくるが、いつものように何か想像しようとして、不意に前回尻に埋め込まれた感触が思い出されて、きゅっと無意識に後ろを締め付けたのが恥ずかしい。


「……触ってみるくらい、いいか」

 確かこの辺に~、と引き出しを漁れば、目的のものが見つかる。手のひらにひっくり返せば、出し過ぎて慌てて胸元からおなかにかけてべったり零してため息一つ。まあいいかと、そのまま指先で掬い取って、おそるおそる後ろに指を沈めてみる。

「……なんか、違うな」

 ぐにぐに、と中を探ってみるが、まあ指が入ってますねという感想以外に何もない。違和感が減っていると言えば前に進んだと言えるかもしれないが、俺は気持ちよくなりたいのであって、指を入れて満足するような殊勝なニートではないのだ。


 姿勢が良くないのかもしれないと、うつぶせになって、背中側から指を入れてみる。


「違うなぁ」
「何がだ」
「いや、気持ちよくなくて……、へぁ?」

 思わず飛び上がって振り向けば、白銀のオールバックを下ろして無造作に流した、藍色の目の美丈夫がそこに居た。間抜けにも口を開けたまま見上げる俺をじっと見つめた彼が、そのまま覆いかぶさってくるから困惑する。

「あ、の……?」
「お前のやり方では夜が明けても話が進まない。私がやる」

 有言実行とはこのことか。旦那様があっという間に俺の脚をつかみ、後ろに指先を沈めて中を広げ始める。指の剣だことかのせいだろうか、自分でするのと全然違っていて、他人に中を好き勝手にされている事実に今更ながら照れが来る。

「っ、ん」
「前よりは出来ているな」

 前は一切自分で解してないからな。なんて、内心ドヤ顔をしていたら、バレたわけでは無いだろうが、気持ちのいいところをぐにぐにと押されて、慌てて枕に顔を埋め声を抑える。何てテクニシャンだ。血を求める悪魔なイケメン騎士さまは夜の営みも上手い。ニートは完全敗北だ。年上の威厳などゼロである。


 フー、と何度も息を吐いて、後ろの感覚に集中していた俺だったが、少しは余裕も持てていた。何せ二回目だ。快感の逃がし方もちょっとはわかっているし、ニートと言えどセックスくらいできる。


 そんな自信に満ちていた時だった。


「っひぁ、っは、ぅ」
「すっかりこちらも反応しているようだが、触れてすぐにこれとは、やはり体の仕込みも済んでいたようだな」

 前は抑制剤でも飲んでいたのか? それともワインはどこかに捨てたか。 という、意味の分からない言葉がかけられるけど、それどころではない。 

 突然の強烈で想定外の刺激が、興奮でガチガチになった前にもたらされて、少し力を抜いていたものだから、枕で押し殺しきれない声が漏れてしまう。動きがなんだか激しくなっていく気もして、イってもなお続くそれに半泣きになりながら静止したけども、何と旦那様、当然のごとくこれをスルー。もしかして、やめてはもっとと同義、とか言うタイプ???

「っゃ、ぁ、ま、って」
「目的は何だ」

 セックスの? 気持ちよくなることですけど???? と思ったが、それを口に出来るほど余裕がない。変な声が出ないように必死になっても漏れるくらいなのだから、そんな余裕ある筈もない。


「言う気が無いなら構わないが」
「っひ、ぁぁ」

 引き抜かれた指の代わりに、もっと熱くて太いものが押し付けられて、一気に貫かれる。はく、と口から息が漏れるだけの瞬間は、一瞬だ。入れるだけだった前と違って、すぐに引き抜かれて、また奥まで押し入られては、もはや声をこらえるなんて気を遣う余裕はない。


「ぅ、ん、っゃ、あ」

 気持ちよさで何度も中をしめつけて、余計に中からの刺激が強まって、また快感が押し寄せる悪循環。気持ちがいい、以外のことを考える余裕なんて消し飛んで、でも、これだけ気持ちがよければ、もう何でもいいやと思えてしまう。

「口を割るまで終わらないが、いいのか」
「な、にを」
「――ここがイイようだな」

 指で散々もまれ押された、そこに、先端が押し当てられたと気付いたのは、目の前がちかちかとした後のこと。ローションで濡れているせいか、俺の出したもののせいか、ぐち、と、信じられない音を立てる結合部を視界に入れてしまったら、もう駄目だった。


 体の奥までじんじんと痺れるような、深い波が押し寄せる。声をあげなければとても耐えられない深い、深い、得体のしれない感覚で支配されて、目の前の彼のうめき声と共に中に広がる熱がまた、俺をぞくぞくとさせる。

「っはぁ、は、ふ、ぁ」
「っ、くそ」

 ようやくずるりと引き抜かれた後も、俺は呆然と天井を見上げるしか出来ず。しかし。

「うぁ!?」
「……後始末する」

 突然米俵のように担がれて、え? 俺殺されるんです? と思っていたら、風呂で再び指で尻を暴かれてひんひん喚く羽目になったのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

脳筋剣士と鈍感薬師 ~騎士様、こいつです~

季エス
BL
「ルカーシュは、駄目よ」  その時胸に到来した思いは安堵であり、寂しさでもあった。  ルカーシュは薬師だ。幼馴染と共に、魔王を倒すために村を出た。彼は剣士だった。薬師のルカーシュは足手纏いだった。途中で仲間が増えたが、それでも足手纏いである事に変わりはなかった。そうしてついに、追い出される日が来たのだ。  ルカーシュはそっと、瞼を伏せた。  明日、明日になったら、笑おう。そして、礼と別れを言うのだ。  だから、今だけは、泣いてもいいかな。

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

処理中です...