初めての物語【B面】~First Story~

秋 夕紀

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第13章 初めての不信

6 惨めな自分

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 真斗と会ったのは、代休の日から1週間後だった。学校帰りに公園に立ち寄り、しばらく勉強に専念するために、距離を置こうという話を愛海からした。
「何だよ、それ。折角良い感じになって来たのに、別れるって事なの?」真斗は納得がいかないらしく、愛海に食い下がってきた。
「私は、今でも真斗のことが好きだよ。でも、今のような関係は嫌なの。身体の繋がりばかリを求めて、欲求を満たすだけで気持ちがないような気がするの。」
 愛海の言葉を黙って聞いていた真斗は、
「好きだから、愛海とキスしたいし、抱き合いたいし、それがいけないのかな。お互いに身体を確かめ合う事が、恋愛の結果だと思うのだけど。」と言った。
「私は恋愛に臆病だったけど、真斗とならば、と思って突き進めた。だから、こうなった事は後悔してない。真斗との関係も続けたいけど、恋愛は欲望を満たすだけのものじゃない気がする。今の私達には他にやるべき事がたくさんあるし、恋におぼれてしまいたくないの。」真斗は面倒臭そうな様子だった。
「分かったよ。しばらく会わないようにしよう。その代わり、最後に1回…。」愛海は真斗の言葉にあきれて、立ち上がった。
「真斗は、私の気持ちを全然解かろうとしないんだね。解かったら教えて。そしたら最後の1回でも2回でもするから、それまでは会わない事にする。」
 愛海は、真斗の態度にも、自分自身の言葉にも悲しくなった。二人でようやく燃やす事のできた火を、今、消そうとしている自分がみじめだった。
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