すれ違う恋の行方〈中学編〉

秋 夕紀

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第1章 梅枝七海(14歳)=立松千宙(14歳)

§3 登校デート

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 登校デートを始めてから、1ヵ月が経った。15分の間に話す内容は、学校や部活、友だちの事、音楽やゲーム、前の晩に見たドラマの話などであった。
「ねぇ、中間試験の成績はどうだった?」と私が訊くと、
「まあまあかな。一応テスト勉強はしたからね。梅枝は?」と訊き返された。
「国語と英語は良かったけど、数学と理科が苦手なの。今度勉強教えてよ!」
「俺と苦手教科が反対だから、期末テストは一緒に勉強しようか!」
「ホントに?約束だからね!」
 私は嬉しくて、飛び上がりたいくらいだった。また、ある朝は、
「昨日、梅枝の走ってる所を見たよ!中距離なんだね。」
「えー、恥ずかしいな!見てたの分からなかった!私もサッカー部を時々見てるんだ。立松のポジションはどこになるの?」
「МFと言うんだけど、守ったり攻めたりする役目だよ。」
「今度の大会はいつ?応援に行ってもいい?」
「夏休みに入ってすぐだけど、本当に来るの?まあいいけど。」
 千宙君との約束が少しずつ増えていく。「まあいいけど」って、迷惑だったかもしれない。でも一人で応援していたら変だし、初絵を誘って行くしかない。そのためには、私たちの仲を打ち明けないといけない。それと勉強の約束もしたけど、どこでするか。図書館、私の家、彼の家、嬉しい悩みは尽きない。

 昼休みに教室の窓にもたれて、立松君との事を考えていると、初絵たちの女子グループ3人に取り囲まれた。
「七海、ボーっとして、何か悩み事ですか?」と一人の子が言うと、
「最近、立松君と仲が良いみたいだけど、二人は付き合っているのかな?」と初絵がいきなり突っ込みを入れてきた。私は最初ごまかしていたが、尋問のような厳しさに白状する事にした。
「付き合っているのかどうかは分からないけど、朝は一緒に学校に来ている。」
「それは、付き合っていると言うんだよ。それで、立松君が好きなの?」
「それも良く分からないけど、一緒に話をしていて楽しいよ。」
「それは、好きってことじゃないの?それで、一緒に登校するだけなの?」
 3人の執拗な問い掛けに、今が良い機会だと思って話した。
「今度一緒に勉強する約束をした。それと、サッカーの応援に行くんだけど、私一人で行く勇気がなくて…」と言い終わらない内に、
「よし!皆で応援に行こう!それで七海の恋を応援しよう!」と初絵が言うと、他の子たちは手をたたいて同意していた。

 保健だよりのアンケートが各クラスで行われ、様々な反応が見られた。七海のクラスでは、内容に興奮して大騒ぎする男子や、恥ずかしそうにしている女子、周りとひそひそ話をする者もいた。それでも皆、真面目に回答していた。アンケートの集計は、各クラスの保健委員が行い、今日が提出日になっていた。
「今日、アンケートの締め切りだね。放課後、全体をまとめるから忙しいよ。」
「そうだね。実は私、女子の分の集計がまだできていないんだ。」
「そうなの?部活が大変だったみたいだから、仕方ないよ。俺が手伝って上げるから、気にしなくていいよ。」と言う千宙の優しさに、私は感謝していた。
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