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第3章:変わりゆく生活
第100話:領都防衛2
カイトが後ろに下がったのを確認して、私とポーラ、シャロンで、ツイバルドの群れに向き合う。
ギャーギャー鳴きながらこちらに向かってくる、2つの首を持つでっかい鳥。
・・・・・・正確には、亜竜だっけ?
以前、私を同族の雌だと勘違いして、求愛という名の襲撃を受けたときから、私の大嫌いな生物だった。
最初に仕掛けたのはシャロンだ。
拠点付近でもたまに出現するツイバルドは、最近ではシャロンの担当だ。
今回も、「自分が!」とばかりに、翼を広げて飛翔していく。
ツイバルド相手に、『風魔法』は効果が薄い。
『風魔法』はツイバルドの得意とするところだし、空中では簡単に身体を捻って躱されてしまう。
飛んでいるツイバルドを撃墜できるほどの、大風を発生させることができれば話は違うのだろうが、シャロンはそこまでの攻撃はできない。
それに、そんな大風を起こせば、周りへの被害も大きくなる。
そのためシャロンは、高速で突進し手の爪で翼を切り裂いて地面にたたき落としたり、首を噛み千切ったりしていた。
・・・・・・ただ、今回はそれでは具合が悪い。
これまでシャロンが対処していたのは、せいぜい3、4頭の小さな群れだったのに対して、今回は100頭近い。
ツイバルドの嘴で突かれ、足で蹴られて、シャロンは退避を余儀なくされたのだった。
「・・・コトハ姉ちゃん」
「ポーラ、行くよ!」
そう叫びながら、石弾を打ち出して、シャロンに迫るツイバルドを撃墜する。
ツイバルドは、翼に魔力を纏わせることによって滞空しており、翼に穴を開ければ、魔力をうまく纏わせることができず、勝手に墜ちるのだ。
墜ちたツイバルドは、マーラとスティアが踏み潰してくれるので、とりあえず撃墜することを優先する。
ポーラはシャロンと合流した。
シャロンは少し怯えてしまっており、ポーラの側から動かない。
・・・そういえば、シャロンはツイバルドに襲われ、親を失っている。
シャロン自身も撃墜され、瀕死なところに出会ったのだ。
その経験を思い出しているのかもしれない。
「ポーラ! シャロンの側にいてあげて! 可能なら、少しでいいから撃墜を!」
「うん!」
ポーラも上空のツイバルドに向かって石弾を飛ばす。
私よりもポーラの方が、石弾の狙いの正確性は高い。
だが、威力はまだ弱く、一撃で撃墜には至らない。
だが、ツイバルドをイラつかせるには十分なようで、10頭ほどがポーラとシャロンの方へ向かった。
しかし、これは問題ない。
シャロンが『風魔法』で防壁を作り、近づいてくるのから順にポーラが石弾をぶつけていく。
ツイバルドは、空中から突進するも顔面に石弾をぶつけられて墜とされ、それを逃れても退避を余儀なくされる。
また『風魔法』による攻撃は、シャロンの風の防壁によって相殺され、意味をなさない。
そうして打ち合いを続けて、10分程度で、ポーラの元へ向かったツイバルドは、全頭撃墜された。
私の前にいる残り80頭ほどのツイバルド。
石弾を飛ばし、少しずつ墜としていくが、連中もバカではない。
・・・・・・いや、バカなんだけど、戦闘センスがある?
『風魔法』で石弾の進路を乱しつつ、空中にいることを活かして、安全距離を維持しながら攻撃してくる。
私も、これほどの数のツイバルドを一度に相手したことはなく、手詰まり状態だった。
別にツイバルドの攻撃が脅威なわけではない。
『風魔法』も突撃も、『自動防御』により弾かれる。
『自動防御』は私を狙った、魔法や物理攻撃に対して、自動的に魔素で作られた防壁を展開し、防御する。
攻撃の威力が高い場合や、連続する場合には、防壁が破壊されてしまう。
まあ、その場合でも目立つ場所以外は『竜人化』している私には、半端な攻撃は効果無いのだった。
鱗で覆われてるからね。
・・・・・・でっかい嘴とか怖いから、できる限りよけるけどね。
しかし、私たちがツイバルドの対処に手間取ることは、ファングラヴィットの相手を、第3部隊に任せるということを意味するのだ。
それは彼らにとって、地獄の始まりを意味する・・・・・・
♢ ♢ ♢
~カイト視点~
騎士団の皆さんの元まで戻り、お姉ちゃんやポーラの様子を見る。
どうやら、シャロンが退却したようで、シャロンとポーラが一緒に、コトハお姉ちゃんが1人で、上空のツイバルドを打ち墜とそうと魔法を連射していた。
・・・しかし、状況は良くなかった。
さすがに数が多く、ツイバルドたちも無理して攻撃してこないようで、膠着状態となっていた。
ポーラとシャロンも合流し、一緒に魔法を放っているが、状況は変わらない。
負ける様子も怪我をする様子もないが、無力化するまでにまだまだ時間がかかりそうであった。
「レーノさん! ツイバルドはお姉ちゃんたちがなんとかしてくれると思うので、向かってくるファングラヴィットを僕たちで!」
「あ、ああ。・・・あの空飛ぶ魔獣は、ツイバルドというのか。初めて見たが、私たちでは太刀打ちできぬであろうな。悔しいが、コトハ殿たちに任せ、準備しよう」
そういうと、レーノさんは、第3部隊の各小隊長に目配せし、
「全員、戦闘用意だ! 訓練通り、5人1組で、ファングラヴィットに相対せよ! 恐れることなどない! 我らは誇り高き、バイズ辺境伯領の騎士団なのだ! 牙の生えたウサギごとき、敵ではない!」
と叫んだ。
騎士たちは、「おおっ!!」と雄叫びを上げ、散っていく。
まずは、ファングラヴィットの両翼よりも広がるように散開する。
その上で、5人1組を作る。
5人の内訳は、大きな盾を持つ騎士が1人。
他の騎士よりも分厚い重装備を装着する騎士が2名。
槍を持つ騎士が2名だ。
騎士たちの対ファングラヴィット戦術は、シンプルだ。
大きな盾を持つ騎士が、盾を構える。重装備の騎士が、大きな盾を持つ騎士を後ろから支え、衝撃に備え、また押し合いに負けないように足場を固める。
そして、ファングラヴィットの突進を、盾で受け止める。
ファングラヴィットは、真っ直ぐに盾に突進する。
ここで、3名の騎士で、うまく受け止めることができたら、槍を持つ騎士が、両サイドから、ファングラヴィットの身体を槍で貫く、という戦法だった。
この戦法は、シンプルで理解しやすいな。
だけど、実践するのはかなり難しいと思う。
ファングラヴィットは、賢い魔獣ではないけど、バカではない。
エサだと思い、突進した人間が、盾を構えれば、突進をやめるくらいのことはする。
なので、ファングラヴィットが突進を中断できないタイミング、つまりある程度接近してから、盾を構え、受け止める体制を整える必要がある。
またタイミングに成功したとしても、3名がうまく連携し、衝撃を受け止めることができるように、ガッチリと組み合う必要がある。
3名の騎士の腕力や脚力はもちろん、力を込めるタイミングなども揃える必要がある。
当然、3名の息を合わせる必要があるし、訓練を重ねる必要がある。
そして最後に、攻撃する2名の騎士。
一見、動きの止まったファングラヴィットに槍を突き刺すだけの簡単な仕事にも思える。
しかし、ファングラヴィットが動きを止めるのは、せいぜい数秒であり、その間に正確に急所を刺し抜かなければならない。
並大抵の兵士にできることではなく、訓練を重ねた精鋭騎士にのみ可能な攻撃だった。
・・・・・・騎士さんたちの訓練を見させてもらったけど、すごい練度だったな。
しかし、精鋭中の精鋭の第3部隊の騎士たちがいても、この戦いは厳しいといわざるを得ないかな。
第3部隊の騎士の数は、200名ほど。
実際に組を作っているのは160名ほどなので、対処できるのは30羽ちょっとかな。
コトハお姉ちゃんたちの援軍は期待できないし、僕が頑張らないと・・・・・・
ギャーギャー鳴きながらこちらに向かってくる、2つの首を持つでっかい鳥。
・・・・・・正確には、亜竜だっけ?
以前、私を同族の雌だと勘違いして、求愛という名の襲撃を受けたときから、私の大嫌いな生物だった。
最初に仕掛けたのはシャロンだ。
拠点付近でもたまに出現するツイバルドは、最近ではシャロンの担当だ。
今回も、「自分が!」とばかりに、翼を広げて飛翔していく。
ツイバルド相手に、『風魔法』は効果が薄い。
『風魔法』はツイバルドの得意とするところだし、空中では簡単に身体を捻って躱されてしまう。
飛んでいるツイバルドを撃墜できるほどの、大風を発生させることができれば話は違うのだろうが、シャロンはそこまでの攻撃はできない。
それに、そんな大風を起こせば、周りへの被害も大きくなる。
そのためシャロンは、高速で突進し手の爪で翼を切り裂いて地面にたたき落としたり、首を噛み千切ったりしていた。
・・・・・・ただ、今回はそれでは具合が悪い。
これまでシャロンが対処していたのは、せいぜい3、4頭の小さな群れだったのに対して、今回は100頭近い。
ツイバルドの嘴で突かれ、足で蹴られて、シャロンは退避を余儀なくされたのだった。
「・・・コトハ姉ちゃん」
「ポーラ、行くよ!」
そう叫びながら、石弾を打ち出して、シャロンに迫るツイバルドを撃墜する。
ツイバルドは、翼に魔力を纏わせることによって滞空しており、翼に穴を開ければ、魔力をうまく纏わせることができず、勝手に墜ちるのだ。
墜ちたツイバルドは、マーラとスティアが踏み潰してくれるので、とりあえず撃墜することを優先する。
ポーラはシャロンと合流した。
シャロンは少し怯えてしまっており、ポーラの側から動かない。
・・・そういえば、シャロンはツイバルドに襲われ、親を失っている。
シャロン自身も撃墜され、瀕死なところに出会ったのだ。
その経験を思い出しているのかもしれない。
「ポーラ! シャロンの側にいてあげて! 可能なら、少しでいいから撃墜を!」
「うん!」
ポーラも上空のツイバルドに向かって石弾を飛ばす。
私よりもポーラの方が、石弾の狙いの正確性は高い。
だが、威力はまだ弱く、一撃で撃墜には至らない。
だが、ツイバルドをイラつかせるには十分なようで、10頭ほどがポーラとシャロンの方へ向かった。
しかし、これは問題ない。
シャロンが『風魔法』で防壁を作り、近づいてくるのから順にポーラが石弾をぶつけていく。
ツイバルドは、空中から突進するも顔面に石弾をぶつけられて墜とされ、それを逃れても退避を余儀なくされる。
また『風魔法』による攻撃は、シャロンの風の防壁によって相殺され、意味をなさない。
そうして打ち合いを続けて、10分程度で、ポーラの元へ向かったツイバルドは、全頭撃墜された。
私の前にいる残り80頭ほどのツイバルド。
石弾を飛ばし、少しずつ墜としていくが、連中もバカではない。
・・・・・・いや、バカなんだけど、戦闘センスがある?
『風魔法』で石弾の進路を乱しつつ、空中にいることを活かして、安全距離を維持しながら攻撃してくる。
私も、これほどの数のツイバルドを一度に相手したことはなく、手詰まり状態だった。
別にツイバルドの攻撃が脅威なわけではない。
『風魔法』も突撃も、『自動防御』により弾かれる。
『自動防御』は私を狙った、魔法や物理攻撃に対して、自動的に魔素で作られた防壁を展開し、防御する。
攻撃の威力が高い場合や、連続する場合には、防壁が破壊されてしまう。
まあ、その場合でも目立つ場所以外は『竜人化』している私には、半端な攻撃は効果無いのだった。
鱗で覆われてるからね。
・・・・・・でっかい嘴とか怖いから、できる限りよけるけどね。
しかし、私たちがツイバルドの対処に手間取ることは、ファングラヴィットの相手を、第3部隊に任せるということを意味するのだ。
それは彼らにとって、地獄の始まりを意味する・・・・・・
♢ ♢ ♢
~カイト視点~
騎士団の皆さんの元まで戻り、お姉ちゃんやポーラの様子を見る。
どうやら、シャロンが退却したようで、シャロンとポーラが一緒に、コトハお姉ちゃんが1人で、上空のツイバルドを打ち墜とそうと魔法を連射していた。
・・・しかし、状況は良くなかった。
さすがに数が多く、ツイバルドたちも無理して攻撃してこないようで、膠着状態となっていた。
ポーラとシャロンも合流し、一緒に魔法を放っているが、状況は変わらない。
負ける様子も怪我をする様子もないが、無力化するまでにまだまだ時間がかかりそうであった。
「レーノさん! ツイバルドはお姉ちゃんたちがなんとかしてくれると思うので、向かってくるファングラヴィットを僕たちで!」
「あ、ああ。・・・あの空飛ぶ魔獣は、ツイバルドというのか。初めて見たが、私たちでは太刀打ちできぬであろうな。悔しいが、コトハ殿たちに任せ、準備しよう」
そういうと、レーノさんは、第3部隊の各小隊長に目配せし、
「全員、戦闘用意だ! 訓練通り、5人1組で、ファングラヴィットに相対せよ! 恐れることなどない! 我らは誇り高き、バイズ辺境伯領の騎士団なのだ! 牙の生えたウサギごとき、敵ではない!」
と叫んだ。
騎士たちは、「おおっ!!」と雄叫びを上げ、散っていく。
まずは、ファングラヴィットの両翼よりも広がるように散開する。
その上で、5人1組を作る。
5人の内訳は、大きな盾を持つ騎士が1人。
他の騎士よりも分厚い重装備を装着する騎士が2名。
槍を持つ騎士が2名だ。
騎士たちの対ファングラヴィット戦術は、シンプルだ。
大きな盾を持つ騎士が、盾を構える。重装備の騎士が、大きな盾を持つ騎士を後ろから支え、衝撃に備え、また押し合いに負けないように足場を固める。
そして、ファングラヴィットの突進を、盾で受け止める。
ファングラヴィットは、真っ直ぐに盾に突進する。
ここで、3名の騎士で、うまく受け止めることができたら、槍を持つ騎士が、両サイドから、ファングラヴィットの身体を槍で貫く、という戦法だった。
この戦法は、シンプルで理解しやすいな。
だけど、実践するのはかなり難しいと思う。
ファングラヴィットは、賢い魔獣ではないけど、バカではない。
エサだと思い、突進した人間が、盾を構えれば、突進をやめるくらいのことはする。
なので、ファングラヴィットが突進を中断できないタイミング、つまりある程度接近してから、盾を構え、受け止める体制を整える必要がある。
またタイミングに成功したとしても、3名がうまく連携し、衝撃を受け止めることができるように、ガッチリと組み合う必要がある。
3名の騎士の腕力や脚力はもちろん、力を込めるタイミングなども揃える必要がある。
当然、3名の息を合わせる必要があるし、訓練を重ねる必要がある。
そして最後に、攻撃する2名の騎士。
一見、動きの止まったファングラヴィットに槍を突き刺すだけの簡単な仕事にも思える。
しかし、ファングラヴィットが動きを止めるのは、せいぜい数秒であり、その間に正確に急所を刺し抜かなければならない。
並大抵の兵士にできることではなく、訓練を重ねた精鋭騎士にのみ可能な攻撃だった。
・・・・・・騎士さんたちの訓練を見させてもらったけど、すごい練度だったな。
しかし、精鋭中の精鋭の第3部隊の騎士たちがいても、この戦いは厳しいといわざるを得ないかな。
第3部隊の騎士の数は、200名ほど。
実際に組を作っているのは160名ほどなので、対処できるのは30羽ちょっとかな。
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