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オタク人生で最高の誕生日会⑴
しおりを挟むシガンたんの誕生日当日、俺は朝早くから起きて用意をしている。
もちろん今は寮に帰って来ているし、今日はシガンたんと俺しかいない。だけど、祝うからには全力で!ってことでケーキや料理をしながら、隙間時間で部屋の飾りつけをしている。
シガンたん喜んでくれると嬉しいなぁ。それに尽きる。
「ベルー?どうして今日は起こしてくれな…え?え、えー!!」
これぞ「え?」の三段活用とばかりのお手本のような反応を見せてくれた起きたてのシガンたん。
「ど、どうしたのこれ!?」
「本日はシガン様のお誕生日ですのでお祝いしたいなと…本家のような豪華さはできませんが少しでも喜んでいただけたらと思って…」
自分で言いながら、これは俺の自己満にすぎないのだと感じた。シガンたんに喜んでもらいたいのも、お祝いしたいのも…でもこれがオタクなのだ、仕方ない!
「こんなの…喜ぶに決まってるよ!ありがとうベル!とっても嬉しいよ!」
そんな俺のネガティブな思考など一瞬で払拭させる笑顔がそこにはあった。
「(俺はこの笑顔が見たかったんだ…)私も喜んでいただけて嬉しゅうございます。」
「っ!」
今年一番頬が緩んだかもしれない。そんなに推しに、シガンたんに喜んでもらえるなら俺はなんだって出来るかもしれない。
「ベル!これも美味しいよ!全部美味しい!」
満面の笑みを浮かべて次々と俺が作った料理を食べていくシガンたん。餌付けしている気分になるが、この際気にしないでおく。
「本当にこれ以上ないくらい、良い誕生日になったよ!」
俺の推しに直接お祝い出来るなんて…本人不在の誕生日会が常だった俺のオタク人生で一番最高の誕生日会だ。
「ねぇベル、誕生日会のときに出した宿題は考えてくれた?」
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