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第1章
謁見
しおりを挟む私達は医務室を出てそのまま、謁見の間に来ていた。
「遅くなって申し訳ありません。王立魔術師団近衛隊隊長ナーシィ。」
「王立騎士団近衛隊隊長ロイ。陛下のお呼びかけにただいま参上いたしました。」
「そう硬くならずともよい。ここには見知った者しかおらぬ故、いつも通りでよい。して、此度の呼び掛けには少々面倒な事情があってな。ナーシィ、先ほどのことは聞いている。見事な働きであった。休み時間もなくすまない。」
「いえ、もったいなきお言葉です。」
「詳しい話がしたい。二人とも席にかけるといい。」
そう言われ、今まで膝まづいていた体勢から身体を起こすと宰相様達だけでなく騎士団・魔術師団の団長、サーシスや皇后様までいらっしゃった。
「失礼します。」
錚々たるメンバーに驚きつつ、促された席へ腰を下ろす。
「皆、忙しい中集まってもらいご苦労。緊急を要するため急遽集まってもらった次第だ。実は、今日から3日後に隣国から使節団が来ることになった。隣国とは冷戦状態であったが、今回の使節団の派遣で良好な関係にしていきたいとの旨が綴られた文が届いている。だが、実際はローリア王国の滅亡を図っているとの情報が影から入っている。そのため今回の使節団の来訪は何事もなく終わることは無さそうだ。そのため、それぞれで万全の準備をしてもらいたい。」
陛下は簡潔にそう伝えると、今度は宰相様が話始める。
「今回は準備までの日にちが極端に少ない。そのため、いつもなら隊員でよかった警備や護衛は役職持ちが担当してもらうようお願いします。その他、接待は殿下を中心に王家の方々行ってくださるためその指示に従うようお願いします。」
なるほど。何が起こるか分からないから犠牲を無駄に出さないように役職持ち、もっと言えば実力者のみに絞るってことか。
「では、それぞれで話し合ったことをまたお教えいただくようお願いします。」
宰相様のその一言でその場はお開きになった。
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