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第3章
戦闘⑵
しおりを挟む「ねぇ、君の心が壊れるのはあとどれくらい?」
その言葉を聞いて、プツンと何かが切れる音がした。
「そうか、お前は私を壊したいのか?私が昔に戻れば満足か?」
怒りが頂点に達しているはずなのに、変に冷静な自分がいる。
「そう、そうだよ!君のその顔が見たかった!!」
私の顔を見て興奮気味に声を上げる王太子。心底キモチワルイ。
「そうか、なら望みを叶えてやろう。」
そう言って王太子の目の前へ瞬間移動し、腰に差していた剣を抜く。
「それで刺して僕を殺しても、みんな一緒に死ぬだけだよ?」
王太子の言葉を無視して、一思いに刺す。
「え…」
「なっ!」
どこからか聞こえる、思わず漏れたであろう声の後……
「っ!いやぁぁぁぁぁ―――!!!」
シャミリア様の悲鳴が木霊した。
「ッなにを、している、のだ。君は。なぜ自分の胸に刺している?なぜ君は僕の思い通りになってくれないのだ?」
王太子の戸惑いながらも綴られた言葉に笑いながら答える。
「王太子が言ったんでしょう?昔の、私が良いと。私が、死んだら…あなたの中……にいる、私だけが残る…あなたの…思い通り、でしょう?」
徐々に息苦しくなっていく中で、言い切ってニヤリと笑って見せる。
周囲を見渡すと、茫然とするロイや動けないことに悔しいそうにするハルト、涙が止まらないサーシスにシャミリア様。言葉が出ない様子の陛下に皇后さま、ただ立ち尽くす両団長の姿が見えた。みんな三者三様の反応に心の中でクスッと笑ってしまう。ごめんね、みんな。
心の中で謝って、王太子を見ると静かに涙を流していた。
「なんで…なんでぇ……僕はただ、ただナーシィがほしいだけなのに……ナーシィを僕のものにしたかっただけなのに……」
幼子のようにポロポロと涙を流しながらそう話す王太子にギョッとする。
ここにいる全員が気を抜いている今のうちに、魔法を解除し絶対服従の為に張られていた結界を解除する。
私の大切な人たちは、外から働いていた他の力が抜けたことを感じたのだろう。一目散に私の方へ駆けてくるのが見え、力が抜けた私は床へ倒れそうなところを抱きかかえられる。
「お前はっ!なんてことしてんだ!俺はこんな事望んでいない!お前以上に大切なものなんて、ないのに!」
瞳いっぱいに涙をためてそう言ったロイに抱きしめられる。
「うん、ごめん。ごめんね。」
「ナーシィ様!あれほど!あれほどご自分を大切にしてくださいと申しましたのに!どうして、どうじでごんだごどを!」
顔を涙でグチャグチャにしたシャミリア様に怒られる。
遅れてやって来たハルトが急いで治癒魔法を展開する。が、私に集まった光は弾けてしまう。
「うそ、どうして。そんな!なんで治癒魔法が効かないんだ…」
初めてのことにいつもの強烈な口調はどこかへ置いて来てしまったらしい。
王太子を拘束して集まって来た団長たちや陛下、皇后さま、重鎮たちもハルトの言葉に涙を浮かべる。
「そ、んな…助からないのか?ナーシィ、俺はこれからどうやって生きて行けって言うんだ…」
悲観するロイに心が痛む。
「うん、……だから騙したみたいになってごめんね。」
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