57 / 75
第3章
王太子……
しおりを挟むそれから陛下達国の重鎮たちには休んでもらって王太子の聴取が始まった。団長たちと私、ロイが入った。
王太子が今回の計画を企てた理由を話すにはあの頃の話をする必要があるとのことで……話はあの伯爵家がいた頃へ遡る。
**********
俺はあの時の行動を未だに後悔している。まぁ、ナーシィに出会えたという点では良い行動だったと思わずにはいられないが……
俺が10歳の時、街に出ていた俺は護衛を好きなことがしたく護衛を撒いて街を徘徊していた。何回もしたことがあるし、自国の城下町でまさか拉致なんて物騒なことがあるとは思ってなかったし、帰ってから軽く怒られるぐらいだと思っていた。無知だったんだ、何もかも。
その日は入ったこともない裏路地の様なところを見つけて、無性に興味が引かれて入ってしまった。
そこで見た光景は未だに忘れられない。異様な光景だ、1人の女性が複数人の相手をして、一撃で動かなくなる人だった者達。これは現実なのかとゾッとした……早くここから離れないと!そう思うのに、そう思うほど自分の足は思うように動いてくれなくて、焦りと自分もあの人だった者達のようになるのかもしれないと、生まれて初めて感じる死の恐怖に身体も思考も停止する。
まんまとその女性に見つかり、刃物を一振り………
「あら、よく見るとすごく綺麗な顔……ここで殺すのは勿体無いわ!」
いきなりテンションが上がった目の前の女性はパチンッと指を鳴らすとどこからともなく黒服の集団があらわれ、俺を拘束する。
子どもが出来る抵抗が敵うわけもなく、呆気なく拉致された。
これから何が起こるのだろうか…俺はもう二度とあの場所に帰れないのか…命は助かったものの絶望という二文字が現実に突き付けられる。
もしかしたら死んでいた方が幸せだったのかもしれないと思わざるを得ないほどの苦痛が待っているなんて、到底箱庭育ちの俺には考えられるはずもなく……
連れてこられた場所はどこかの国だろう貴族のお屋敷。自国に裏家業の様な事をする貴族があっただろうか…
上機嫌な目の前の女性、とてもじゃないけどさっきまで人を殺していた人には見えない。人を殺してもここまで普通の生活が出来るということはそれほど慣れていて、思考あるいは感覚が狂ってしまっているのだろう。
その目の前の女性は上機嫌のままある人に俺を紹介した。それがナーシィ。その時は名乗りもしてくれなくて、あの貴族の子供ぐらいにしか思ってなかったけど、あの何も映さない死んだような目はその時の絶望にいた俺の心をつかむにいは十分だった。
それから地下へ連れて行かれ、コレクションと呼ばれている人達の仲間入りをした。
それからの俺は、その伯爵夫人に従順な奴隷。俺の意思や気持ち関係なく、魔法で操られ、時には薬によって支配される。
知らない女たちの相手をさせられ、見世物になるのは日常茶飯事。夫人を満足させられるまで鞭や刃物で身体を傷つけられることもあった。俺より先にいたキレイな顔の男や女が、成長して気に入らないからと殺されるところや売られるところを何度もこの目で見た。初めは泣きもしたが、泣いたって誰も助けてくれない。どんなに願ったって死ぬこともできない。俺は生きながらに地獄を味わったんだ。
終わりの見えない地獄に俺の神経は麻痺していた。何をしても、何を見ても何も思わなくなってきたんだ。本当に辛かったのはその時。
俺はもう普通の人間じゃなくなったんだと……俺はこの人達と同じ人種になってしまったんだと思うと涙が止まらなかった。
そんな時だ、心を動かされたのは……………
0
あなたにおすすめの小説
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
ある、王国の物語。『白銀の騎士と王女 』
うさぎくま
恋愛
白銀の騎士と言われている神がかった美貌の騎士アレン・メルタージュとボルタージュ王国王女エルティーナの純愛物語。
今世そして来世にまでまたぐ、「魂」が巡る二人の物語…。
美貌の騎士からの惜しみない愛を感じてください。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる